「ルー・大柴」



「だからダメなんだよ!ジャパンって国は!!!」

子供の頃見たテレビの中で、彼はそう叫んでいた。
今にして思えば僕にとって、「センセーショナル」という言葉の原点はここにある。

ルー・大柴は明らかに時代に愛されなかった男です。
あまりにも古い意味でハンサムすぎたし、
あまりにも西洋のダンディズムが似合いすぎていました。
(90年代、まともにテレビに出ている人でルーさん以上にダンディズムを着こなしていた人がいたでしょうか?)

知っての通り、日本人は突出したものを嫌う傾向があるので、
まず大抵の人は「困ったな」という島国意識で彼を迎えます。

ルーさんはそういった国民意識から「浮く」ことを仕事としました。
そして世間がルーさんを拒絶すれば拒絶するほど、ルーさんの輝きは増すのでした。

抱かれたくない男1位獲得。ルーさん・・・。



ここで一つ言いたいのは、世の中には

「媚びを売らない、という媚びの売り方がある」ということです。

つまり、ルーさんは世の中に迎合しないという方法で、世の中に迎合していたわけですが、ただ迎合するのと、ルーさんのようにスタイルを持って迎合するのを一緒にしてはいけません。

ルーさんのように「浮き」続けるには知力、体力、信念が多く必要です。
人を笑わせるのが職業の芸人さんはよく、「空気を読む」と言いますが、
ルーさんは当然のようにそれをこなした上で、「空気を壊す」ということを一連の動作で対処してゆかなければならないのです。

僕はルーさんをよく言う意味の「才能の人」とは思いません。ひらめきなどではなく、ルーさんはいわば「スタイル」で人を笑わせているのです。

「スタイル」はそんなに窮屈なものではありません。「俺はこう思うんだ~!」といった思想のほうが、よっぽど窮屈なのです。
そしてこうした「スタイル」を持つことで人は美しく、自分らしく生きていけるのではないでしょうか?

そんな大事なことを教えてくれた人。
ルー・大柴さん、
ありがとう。


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: