2006年11月05日
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テーマ: 愛しき人へ(903)
カテゴリ: カテゴリ未分類
友人Mが以前ソファベッドを買ったときの話。

Mは腰痛持ちの私を、ベッドの組み立ての手伝いのために呼び出した。
私は腰をかばいいつつそっと手伝った記憶がある。
すなわち私はMのソファベッドの組み立てに関して目立った手助けはしなかったということだ。

その代わりといってはなんだが、
ベッドの組み立てが終わった後、私はMに手料理を振る舞った。
Mの部屋に行く前に二人で駅前のダイエーで食材を買い込んでいたのだ。
(この時点で、その日私が何のためにMの家に行ったのか目的があやふやになっている)

テーブルには春菊のおひたし、セロリのマリネ、大根の煮物、
鮭とネギの混ぜごはん等々私が作ったメニューが並び、
それに加えて甘エビの刺身も乗った。
ダイエーの魚売り場で買ってきたその刺身を食べていたときのこと。

「この青い粒々って卵だよね?」
「そうだね」
「これって・・・食べないよね?」
「私は食べずに捨てるけど・・・」
「だよね?」
二人で黙々と甘エビの殻をむき、卵を除いて口に運ぶ。
「でもさあ、この卵を食べるか捨てるかについて、はっきりと誰かに確かめたことある?」
「そう言われてみると、ないねえ」
「もしかしてさあ、この卵を食べないのは世の中に私たち二人だけかもよ」
「だよねえ。世間の人々は常識として普通に食べているかもしれない」
「でも、甘エビのお寿司頼んでも卵乗ってないか。大丈夫だね」
「わかんないよ、刺身の時は卵食べるのが普通かもしれない」
「うん・・・そして私たちが知らないだけで、“甘エビ博士”みたいな人がいてさあ、
 その甘エビ博士に私たちが『甘エビの卵って食べませんよね?』って聞いたら、
 博士は口をあんぐり開けて『え?!あなたたちは卵食べないんですか?!』って・・・」
「そうそう『卵こそがおいしいのに!何てことだ!信じられない!』って怒られるかも」
「どうする?食べてみる?」
「・・・どうしよっか・・・」
「・・・博士にバレなきゃ捨てても平気か」
「・・・だね。やめよう」

甘エビ博士にビクつきながらも、私たちは自分たちのやり方を通し、卵を捨て続けた。
「大丈夫だよ、こんな気持ち悪い卵絶対に世間の人々も食べないって!」
「だよね~大体さあ、甘エビ博士なんてほんとにいると思う?」
「何よ、甘エビ博士って」
世間がどうであれ、私たちはこれでいい!という確信が湧いてきた。
終いには、二人で甘エビの卵を取り除きながら笑いが止まらなくなった。
そして大爆笑を始め、
「甘エビ博士が・・・」
「博士が・・・」
と息も絶え絶えになりながら甘エビを食べ尽くしたのだった。


甘エビ(刺身)の卵を食べるか否かについては未だに確かめていない。
もし私とMの行為が間違っていたとしても
どうか、甘エビ博士には内緒にしていただきたい。








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最終更新日  2006年11月05日 14時37分27秒
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