積んどく? 読んどく?

PR

Profile

shiba_moto

shiba_moto

Calendar

Favorite Blog

うたたね通信社 ~… 山村まひろさん
Hard-boiled or soft… クロフネ9627さん
片手に吊革・片手に… もりのゆきさん
yanyanの日記 ya226さん
あたまのなか 三日ぼうず3さん

Comments

shiba_moto @ Re:???(05/08) 通りすがりさん >氷室さんは永眠なされ…
通りすがり@ ??? 氷室さんは永眠なされてます。
shiba_moto @ Re[1]:野村美月 『“文学少女”と死にたがりの道化』(06/14) Neko月さん、こんにちは。コメントありが…
Neko月@ Re:野村美月 『“文学少女”と死にたがりの道化』(06/14) 深い。 面白い。 はまる。 読む。 サ…
shiba_moto @ Re[1]:土橋真二郎 『ツァラトゥストラへの階段3』(09/12) しばたさんへ コメントありがとうござい…
2006.01.20
XML
カテゴリ: 感想
 16日に石持浅海さんの『 セリヌンティウスの舟 』を読了しました。

 荒れ狂う大時化の海で遭難しかかったダイバー6人は、全員互いの身体をつかんで輪を作り、救助を待った。知り合いにすぎなかった6人は、この体験を通じ信頼で結ばれたかけがえのない仲間になったのだった。しかし、ダイビングをしたある日の夜、仲間の一人米村美月が青酸カリで服毒自殺をしてしまう。四十九日の法要のあと集まった仲間たちは、現場の写真を見て不審を覚える。なぜならば、写っていた青酸カリが入った小瓶は、キャップが閉められた状態で机の上に転がっていたから。

 ノベルスサイズ200ページちょうどとコンパクトに収められた作品。そしてその大部分が自殺した美月以外の5人による推理合戦というか討論になっています。「小瓶のキャップが閉められていた」ことと「机の上に転がっていた」ことという些細とも思われる2点から、「誰かが自殺を手助けしたのか?」「手助けしたとするなら誰なのか?」という展開に膨らめていて、その議論自体は確かにおもしろいものでした。

 ただし、ゆるぎない信頼関係にある仲間だからとはいえ、あまりにも殺人や事故の可能性に対する論考が少ない気がします。
 また遭難寸前という修羅場をくぐり抜けたと関係ではあっても、これほどまでに盲目的に仲間を信頼することができるのかはなはだ疑問ではあります。この点は実際にこういう体験をしたことはないですから、「ありえる」と言い切られればおとなしく引き下がるしかありません。
 前々から石持さんの作品にはパズラーとしての称賛とともに、「登場人物を理解できない」といったような感想が多くあった気がします。僕が石持作品を読むのは4冊目ですが、今までそういったことはあまり気になりませんでした。しかし、この美しすぎる信頼関係は別です。ちょっとどうかと。まあ、これも異世界の特殊な設定と解釈すればいいのかも。
 それに、美月の自殺の動機もちょっと納得し難いものがあります。まぁ、これも体験したことがありませんから・・・

 ということで、常に一風変わった舞台設定で論理をきれいに表現してくれるのが石持さんの作品。今回はさすがに「警察を呼ばない設定」ではありませんでしたが、警察介入後に「疑い」ではなく「信頼」をキーに「犯人」ではなく「協力者」を探す推理。期待しているだけに残念でしたが、次回作も楽しみです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.01.20 15:36:37
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: