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2007.07.20
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カテゴリ: 感想


 久しぶりに柴田さんの作品を読みました。平安時代を舞台にしたり、源氏物語を題材とした作品はたくさんあると思うのですが、今回は「源氏物語のネタを探す役目」、言い換えると源氏物語の共同執筆者というのがなかなか魅力的でした。
 扱われるのは日常の謎で、ネタ探しの中で小袖が出会った謎を紫式部こと香子が真相をたちまち解き明かすという形式。例えば、源氏物語では生霊によって殺されたことになっている夕顔。彼女のモデルとなった女性はどうして死んでしまったのか。その謎を解いた後に、香子が源氏物語に取り入れるという流れ。
 このあたりにタイムスリップ(?)の設定が活用されていて、小袖は現代語訳で読んだ源氏物語の記憶を活かしてネタを探し、あるいは謎解きのヒントを導き出します。ちょっとした都の噂話から「これはあの人のあの有名な物語につながるのね」といったように。また、平安時代の風俗や習慣について、当時の目線と現代での目線とを比較させることによって、巧みに読者をひきつけています。
 ただ、そういったシーンで思い出したかのように使われる方言には少々違和感を覚えました。京都在住の設定とはいえ、あまりにも唐突に出てくるので。もちろん、設定上京都在住でなければないしは京都にいなければならなかった“あたし”ですが、中途半端に方言を出す必要はなかったでしょう。

 謎解きについては少々軽いかもしれませんが、なかなか興味深くおもしろい作品でした。源氏物語に嫌悪感を持ち、枕草子の方がいいと言っていた“あたし”が、実際に人々に触れ、源氏物語にはまっていくのもいいですね。
2007年7月18日読了





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Last updated  2007.07.20 18:22:43
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