明日の子どもたち

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<テレビ>2歳までは控えめにと提言 小児科医会

 2歳児まではテレビ・ビデオの視聴を控えめに――。日本小児科医会(師研也会長)は6日、「子どもとメディアの問題に対する提言」を発表し、乳幼児がメディアに接する時間を制限するよう呼びかけた。テレビやビデオを見る機会が多い乳幼児に、言葉の遅れや他人と視線を合わさないなどの問題が多く見られるという。同会は近く会員の約7000小児科医に対し、メディアの視聴時間などが記入できる問診票を配布し、本格的な実態調査をする。

 提言では、(1)授乳・食事中はテレビ・ビデオは止める(2)小学校入学前までの乳幼児はメディアと接触する総時間は1日2時間、テレビゲームは同30分までが目安(3)子ども部屋にテレビ、ビデオ、パソコンは置かない――などの注意事項を挙げている。米国の小児科医らも99年、2歳児まではテレビを見せるべきではないとの警告を出しているという。

 同会によると、言葉が遅れていたり、視線を合わせない、友人と遊べないといった乳幼児が最近、臨床現場から数多く報告されるようになり、そうした家庭ではビデオやテレビを長時間見せている例が目立つ。小児科医が視聴をやめるよう助言したところ改善したケースも少なくないという。

 提言をまとめた同会「子どもとメディア」対策委員会の内海裕美さんは「親子が顔を合わせて遊んだり、外で遊ぶ時間がなくなったことが、子どもの健全な発達を妨げている可能性がある」と指摘している。【須山勉】

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 幼い子供とテレビなどとの関係について、専門家は「メディアを否定する必要はないが、上手な活用方法を心がけることが重要だ」と指摘する。

 福岡市の市民団体「子どもとメディア研究会」(現・子どもとメディア)の実態調査では、1日にテレビがついている時間が長い家庭ほど、保護者と視線を合わせない乳幼児が増える傾向にあることが分かった。

 調査は02年秋、4カ月・10カ月・1歳半の乳幼児を持つ母親ら約1000人に実施。4カ月児のうち、保護者が目を合わせようとしても視線をそらす子の割合は、1日にテレビがついている時間が0~3時間の場合は37.5%、4~6時間では65.2%、7~9時間では90%、10時間以上では96.6%に上った。

 また、4カ月・10カ月児の母親ら840人のうち、母乳やミルク、離乳食を与えている時にテレビをつけていると答えたのは、67%に当たる563人だった。

 一方、茨城県立こども福祉医療センターの家島厚医師が診察した4歳7カ月の女児は言葉がうまく使えず、保育園でも光のある方向ばかりを向き、集団行動がうまくできなかった。母親に生活状況を聞いたところ、0歳時から家庭で育児ビデオを長時間見せていた。見せないよう助言したところ、約1カ月で症状が改善したという。

 家島医師は「親がいいものだと思って見せているテレビ番組やビデオでも、発達を妨げることがある。5歳以上まで続けると、問題点が改善されにくくなる」と指摘している。【須山勉】


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