綿を植えよう。

綿を植えよう。

「ねむり姫」




森の中のりすの巣穴に

もう、何年ものあいだ
小さくなって眠りつづけているおひめさまがいました。

りすが自分のために作った
心地よいベッドを

ずうっと占領したまま
何年も
何年も


時々ひめは、
かすかな笑顔をうかべました。
もちろん、目は瞑ったまま

時折ひめは、
さも悲しそうな顔で
涙をつーっと流しました。
もちろん、目は瞑ったまま


いったいどんな夢をみているのだろう、と
りすの夫婦は話しました。

どんぐりをおなかいっぱい食べてる夢かな?
それとも
たべすぎておなかがいたい夢なのかな?



ある春の朝
朝露がきらきらひかるその朝に


小さな青い鳥が一羽
迷い込んできました。

そして
ねむりひめに、ちょこん、と
くちづけをしました。




ねむりひめは、ようやく永い眠りから目覚めました。

「みんなみんな、夢だったのね」


そう。
みんな夢だったのです。
みんな、みんなね…。


おしまい。






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