子どもの本の小部屋 それから農的生活のこと

子どもの本の小部屋 それから農的生活のこと

2016.09.30
XML
カテゴリ: 日本の児童文学
「やるべきことを先にやってから読みなさい」

これ、宿題やらずに漫画を読んでいる娘に、私がよく言うセリフ。

でもでも~、「今、読みたい」っていうこと、ありますよね。
あとで「ぎゃー、終わらないー!」って言いながら「やるべきこと」をバタバタ片付けなければいけなくなると、わかっちゃいるんだけど、読んじゃう。
うちの娘さんも、わかっちゃいるんだろうなあ。

​図書館で借りていたけれど、忙しくて忙しくて、返却期限がとっくに切れてしまっていた上橋菜穂子さんのデビュー作「 精霊の木 」を一気に読んでしまいました。
読み始めたら、止められない。
あとで、「ぎゃー!」と言いながら夜なべしてピーマンの袋詰め作業をしなければなりませんでしたけど。

これが、デビュー作とは…。
大学院生時代に、書かれたそうですよ。
いやはや、よく書けてます。

環境破壊で地球に住めなくなった人類は、宇宙に出ます。
宇宙に出た人類は、スペースコロニーで暮らすようになるが、やっぱり「星」に住みたい!ということで、いろんな星を開拓して移住するようになりました。
開拓とは、その星に住んでいた先住民族を排除すること。
けれど、その排除の歴史は、政府によって巧妙に隠されてきた。
彼らが未開で弱い民族だったから自然に滅びてしまったのだと、思われるように滅ぼしたのです。
主人公のシンと従妹のリシアが暮らすナイラ星の先住民「ロシュナール」も、滅んでしまいました。
ある日、リシアがロシュナールの持っていた「時の夢見師」の力に目覚めます…。


アバター ​」っていう映画がありましたよね。
上橋さんから影響受けてる?と思っちゃうところがありますよ。

政府がロシュナールを滅ぼすのに使った巧妙な手、それが「精霊の木」を焼くこと。
ロシュナールは、精霊の木から精霊を受けて大人になる。
精霊とのつながりがあってこそ、本当の生を生きられる。
だから「精霊の木」を焼かれ、精霊と出会えなくなった若者たちが、次々と自殺していってしまったのです。

映画の「アバター」でも、先住民たちが侵略者から命がけで守っていた木がありました。
「魂の木」だったかな。
高いテクノロジーを使って侵略する人類に対して、未開で素朴な先住民たち。
先住民はやっぱり、精霊たちとのつながりを大切にしていました。

「アバター」の先住民たちは、恐竜みたいな生き物に乗って空を飛ぶんですけど、その生き物との出会いっていうのが、とっても儀式的なんですよね。
自分のパートナーとの出会い…。何か運命的な…。
「精霊の木」のロシュナールと精霊の出会いも、まったくそのように描かれています。

文化人類学、とりわけ先住民の歴史を学んでいる人が書くと、自然、こういうお話になってしまうのかもしれませんね。
アメリカインディアンや、アボリジニの歴史が、本当にそのようであったのだから。

それが、上橋さん流になると、上橋さんが10代の頃に大好きだったという「ガンダム」や、アリソン・アトリーの「 時の旅人 」のエッセンスが出ていて、すごく面白かったです。
こういうところが、やっぱりデビュー作なのかな~。
上橋節がまだ完成してないというか、ね。


人気ブログランキングへ 人気ブログランキング
クリックで応援お願いします♪



灰色猫 伸び








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2016.09.30 12:21:52
コメント(0) | コメントを書く
[日本の児童文学] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

ねずみのフレデリック

ねずみのフレデリック

Favorite Blog

第2弾ブロッコリー頂… New! 根岸農園さん

2024.11.10 小さい… nene55555さん

JOURNAL LE … LE MIELさん
くるりるら* *shu..*さん
まちままの絵本日記 まちまま♪さん

Free Space

★免責事項★
1.当サイトを使用して、何らかのトラブルや損失・損害等が発生しても一切責任を負いません。
2.当サイトのリンクやバナーなどによって他のサイトに移動された場合、移動先サイトで提供される情報・サービス等については一切責任を負いません。

© Rakuten Group, Inc.
X

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: