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2008.12.27
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SSS

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頬に当てたてのひら


「ほら食ってみろよ小松」
「こっちも美味しいよ小松君」

そういって内心デレデレなこの二人は、今をときめく美食屋四天王のうち2名である
トリコとココだ。
基本的にお互い一人でハントをすることが多いので滅多揃わない光景に人さえいればとても注目されたかもしれない。
だがしかし、今二人と餌を与えられる小動物のような彼―小松以外に、人気は全くといっていいほど無かった。
当然だろう。ココは危険地区Aの猛獣が出るといわれる森。
小松も二人がいなければ、今頃死と恐怖を味わいつくされていたであろう。 

「うわーどっちもおいしそう!」

守られることに安心しているのか、はたまた目の前の食材に感動しているのか、
小松の大きな目がキラキラと輝いて純粋そのものだ。
思いきってココの差し出すスプーンを咥えれば、途端に口の中にまろやかな甘さと触感が広がって思わず頬を押さえてしまう。

「美味しいいい!口の中が蕩けるようですよココさん!」
「そりゃよかった」
「小松俺の!俺のは!?」
「いただきます!…はむっ……!!う、うみゃあああ!」
「よーし美味いか美味いか!」

顔がだらしなく緩んでしまうぐらいその美味しさは全身を駆け巡り、小松は嬉しさと恥ずかしさと感動で頬を押さえっぱなしだ。
自分ばっかり幸せでいいのだろうかと瞼をこじ開ければ、二人は変わらず楽しそうに微笑んでいる。
(よかった…)
まだ残る肉汁が滴る肉は、口内だけがその幸せの味を繰り返し噛み締めているのだった。


(…小松君のあの反応、可愛いなぁ…)
(俺がおしとやかに驚けって言ったの、実践してたな。後で褒めてやらないと)
(あれはもともとの可愛さだろ。わかってないな)
(ちげーよ俺が言ったからだって)
(ああ小松君可愛い…)
(無視か!)




(虜/トリココマツ)





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Last updated  2009.01.28 01:52:35


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