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2008.12.31
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SSS

カテゴリ: カテゴリ未分類

一日だけ思い出して


「…ありえねーし」

此処最近、どうも調子を崩しているような気がする。
そうそれは、毎晩夢の中で誰かを思い出すように。

旧友であるトリコの友人であり、大事な料理人の小松。
初めて見た時はその存在に気付かぬほど不細工で美しさを微塵も感じなかったものだけれど、一度料理させてみれば奴等がこのちんちくりんに惹かれる理由が一瞬で解った。
美しい道具と、美しい料理の手捌き。
一つ一つの動作に無駄がなく、洗練された動きはまさに自分が求める『美』そのもので。
たまらず欲しくなってトリコに聞けば、物凄く嫌そうな顔をされた後に全力で断られた。
掻っ攫っても良かったが、ココも小松に好意を持っていると知ってやめた(何せ怒らせた時のココは半端じゃなく、怖い)
それでも折角知り合ったのだからとハントに誘えば、どうも次のその次の休みもトリコ達と料理やハントに行く予定らしく、約束を取り付けるにも一苦労だった。
以前なら『なんで俺が此処まで!』と思っていた所だけれど、案外悪い気がしないのが性質が悪いと思う。
四天王である自身を此処まで手間を掛けさせる小松は、案外凄いんじゃないかと最近になって感じた程だ。

そんな彼と約束を取り付けてから1ヶ月。ついに今週末、トリコ達には内緒でハントに連れて行く算段になっている(だが何故だろう。なんとなく嫌な予感がする)
その日数が近付くたび、毎晩のように夢の中に現れてはその不細工な笑顔で自身を慕うように駆け寄ってくるのだ。

『サニーさーん!』

一瞬だけ可愛いと思ったのは、きっと気の迷い。
夢の中でも触覚を使って、その頬を舐め上げて調子に乗ったのも…きっと迷いだ。
そうじゃなきゃこの感情は、説明できない。

(ありえねーし)
(…俺がすきなのは、俺だけなのに)

せめて小松がもう少し美しければ、きっとこの想いも変わっていたのかもしれない。



眠れない。
けれど寝ないと美によくない。
でも寝たくない。


何度も何度も寝返りを打ちながら、サニーは消えてくれない脳内の彼を内心で詰っていた。


(次会ったら、ゆるさねーし!)




(虜/トリココマツ←サニー)





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Last updated  2009.01.29 23:00:26


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