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2009.01.01
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SSS

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今日も会いたいと思うのはいけないことかな


にっこりと、綺麗な顔で笑うものだから小松は思わず息を呑んでしまった。



まだ仕事中であろう彼の人を思って、占いの棟へ足を運べば丁度その時店じまいが行われていた。

「やあ」
「あれ、ココさん。こんな時間に閉店ですか?珍しいですね」
「ふふ、君達が来るのは視えていたからね」
「また占いか」
「それが僕の本業さ。で、少しは楽しい土産話ぐらいあるんだろう?」
「はい!もートリコさんが暴れまくったり僕が滝から落ちかけたりで大変だったんですよ!」
「お前が落ちかけるのはいつものことだろ~?」
「そっそんな!…ことはある、かも」
「そういう所が小松らしいっちゃらしいけどな」
「だね。ま、此処で立ち話もなんだし、僕の家で食事でもどうだい?」
「え、でも」
「いいじゃねえか小松!家主が言ってんだ遠慮することねーよ」
「食いしん坊ちゃんは自分が食べる量を解ってその口聞いてるのかな?」
「こ、今回はちゃんと土産あるぞ!なっ小松!」
「は、はい!」
「小松君は遠慮しないで何時でも来ていいからね」
「おいなんだその態度の違い」
「何か文句でも?」

美しい冷笑に群がっていた女性陣が感嘆の溜め息を吐くが、トリコとしては居心地が悪くってたまらない。
何だってこいつは小松が絡むとこんなに素直なのか。惚れちゃってるのか、こいつに。

「小松はやらねーぞ」

まるで子供が、自分のお菓子を守るように、駄々を捏ねるようにふざけて小松の肩を抱いた。
それを見てココが怒り出せば、今度はこっちのものだと期待さえした。
だが目に映るのは、ニコニコと変わらず笑うココの姿で。

…トリコは次の瞬間には後悔していた。
ココは笑っている。だがその瞳は、少しも笑っちゃいない。

「トリコさん!もーいきなりなんなんですか!」
「あ、ああ悪い」
「全くだ。こんな奴は置いて、さっさと行っちゃおう」
「え、でも」
「キッス」

指を一つ鳴らせば、此処が大通りだという事すら気にせずキッスが舞い降りる。
砂が待って煙幕のように二人を包めば、小松はいつの間にかココの腕の中に納まっていて。

「こ、ココさん!?」
「ん?なんだい」
「あのっもしかして僕ら」
「お察しの通り、キッスの上だよ。このまま僕の家に行こうか」
「でもトリコさんが」
「後で迎えに行くよ。ちょっとした悪戯だから、心配しないで」
「そう…ですね」

小松としては、3人一緒がいいのだろう。歯切れが悪い返事に気付きながらも、ココはあえて気がつかなかったふりをした(だってそうでもしなきゃ、二人きりなんて)

「…毎日逢えたらいいのに」
「え?」
「今日も明日も、僕は小松君に会いたいなって思って」
「そんな風に言ってもらえて、嬉しいです」
「けど君は仕事だろう?」
「ココさんだって」
「僕は作ろうと思えば時間は作れるけどさ」
「ふふ、ならたまには逢いにきてください」
「え」
「僕、ココさんの為に料理振舞いますから!」

まるで向日葵のように明るい笑顔を向けられて、先程まで小さな嫉妬心に駆られていた自身がどうにも恥ずかしくてたまらない。
じんわりと篭る熱を吹き荒れる風のせいにして、ココは小松の両手を包み込んだ。



ずるいな。君はそうやって、僕の事ばかり喜ばせるんだ。


(虜/ココ→コマ+トリコ)





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Last updated  2009.01.29 23:51:56


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