.

2009.01.11
XML

SSS

カテゴリ: カテゴリ未分類

打算的な恋に勝ち目はないよ


「小松ー」

久しぶりのハントで疲れているのだろう。
うつらうつらと舟を漕ぎ始めた小松に声をかけるものの、当然碌な返事が返らずトリコは溜め息を吐いた。
多少大きめに作られているとはいえ、大男のトリコには少し物足りなさを感じるこの電車内。
小松と横に並んで座った為、時折膝同士が触れる感覚はどうもムズ痒くてたまらない。
気にしないようにと、ハントのついでに捕獲した食材を齧っていたらついにその重さは腕へと圧し掛かってきて。

「マジかよ…」

いくらなんでも油断しすぎだろというぐらい、小松は穏やかな眠りについている。
腕へ寄りかかった頭は不安定で、電車の振動で倒れかねないと判断したトリコは“仕方なく”小松の頭を自身の膝元へ招いた。

(ヒトの気も知らねーで)

弄ぶように毛先に指を撫で付ければ、くすぐったそうに笑って頬を太腿へ摺り寄せる。
反応が楽しくて耳元や頬に触れて。
最後に残した唇は、自身の其れでそっと塞いだ。

「…チッ。美食屋四天王がお目当ての獲物を仕留めらんねーだなんて、笑い話にもならねえぜ…」

てめー起きたら覚えてろと頬を指で突けば、小松は何故か笑っていて。
あんまりにも呑気なので、思わずトリコも苦笑を堪える事はできない。
到着までまだ時間はある。暫しの仮眠を取る為、トリコはソファに身を委ねていた。



「起きろ小松。もう着くぞ」
「ん、んートリコさん……ってわああ何この体勢!?」
「もう着くが、着くまでの間俺に付き合ってもらうからな」
「えっちょっ…んー!」

その男、直球につき。



(虜/トリコマ)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.02.05 00:44:30


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: