蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「サルサ!」

この映画もまた、他のビデオに入っていた予告編を見て、借りてみたくなった。
白皙の美青年がショパンを弾く場面に、「ん?ラテン音楽の話じゃないの?」と思った瞬間、彼の指が情熱的な動きに変わる。
彼はショパンと決別し、サルサの世界へと飛び込んでいく。

この冒頭のシーンが面白く、インパクトがあった。
ストーリー全体は、先が読める展開だったが、サルサのリズムに酔わされて、心地よい気分で映画を見ることが出来た。
主人公の青年レミ(ヴァンサン・ルクール)は、サルサを演奏したいのだが、キューバ人の友達から「君はバニラ色の肌だ。サルサをやるにはチョコレート色の肌ではないと」と言われ、わざわざ褐色の肌にする。その変ぼうぶりがおもしろい。
ショパンを弾く姿がピッタリだった美青年が、サルサの似合うサクシーな男に変身するのだ。
冒頭のシーンで白い肌のレミは、ショパンからサルサに演奏を変えるのだが、演奏は素晴らしくても、どこかに違和感があった。
それが、肌の色を変え、自らキューバ人になりきってサルサを弾くと、もう彼がフランス人には見えなくなってくる。
レミと、彼のサルサ教室にやってきたお堅いナタリーとの恋や、彼女の祖母の純愛のエピソードが絡まりあい、ストーリーは進行する。
サルサ音楽を聴いて、皆が踊っている姿を見ていると、「あくせくしてないで、人生は楽しまなくっちゃね!」というメッセージが聞こえてくるようだ。
自身の恋や、周りの人の生き様を見ているうちに、彼が得たもの。
それによって彼は、音楽の極意を悟る。

ラストシーンで、レミがフランス人の姿に戻り、サルサを弾いているが、そのときには最初感じた違和感がなくなっていた。





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