蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「バティニョールおじさん」

1942年、第二次世界大戦中のパリ。ドイツ軍の手に落ちていた町で、肉屋を営んでいたバティニョール。ふとしたことがきっかけで、ユダヤ人摘発に手を貸してしまう。
心にわずかなひっかかりを感じつつ、日常の生活に戻ろうとしたバティニョールだが、家族の欲望や戻ってきたユダヤ人の少年シモンによって、どんどん自分が意図する方向からずれていってしまう。
シモンとその従姉妹2人、計3人のユダヤ人の子どもを、スイスに脱出させることになったバティニョール。
さて、どんな道中が用意されているのやら。

面白かったのは、主人公のバティニョールが最初から、聖人君子として描かれていなかったこと。
彼はどこにでもいるおやじで、自分の主義主張を明確に持っていない。ただ、日々を平穏に暮らせればいいのだ。
そんなどこにでもいる人物が、ナチスドイツの闊歩するパリから、ユダヤ人の子ども達をスイスに脱出させるという大仕事を請け負うはめになる。
彼の戸惑う姿には、共感する。
はっきりと反ナチス派の主人公が、そういう行動を起こすのではないところに、この作品の特徴があると思った。
ストーリーはそれなりにドキドキハラハラしたり、涙がこぼれたりしたが、ラストが物足りなかった。
あれで終わり?バティニョールの家族の後日談は?それからのバティニョールたちの生活は?などなど、気になることが多いままエンドマーク。
こういうナチス関連の映画では、やはり「ライフ・イズ・ビューティフル」が圧巻だったなあ。
「バティニョールおじさん」は、フツーの人が巻き込まれていき、最後にはユダヤ人に感情移入してしまう、という心理描写が面白かっただけかなあ?
シモン役の少年は、とてもよかったケド。

公式HP http://www.albatros-film.com/movie/batignole/index2.html




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