蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「フェリックスとローラ」




大好きな映画監督、パトリス・ルコントの 「フェリックスとローラ」 を見る。

ルコント監督と言えば、「髪結いの亭主」(1989)「仕立て屋の恋」(1990)が有名。
この「フェリックスとローラ」はそれらの作品よりも後、2000年の作品。
先の2作品の結末は、哀しいほど切ない。
愛するが故に選択する道は、時としてエゴイズムにもとられがちだが、ある意味究極の愛の形と言えよう。
その記憶が残っているため、少々ドキドキしながらストーリーの進行を見守っていた。
しかし、ルコント監督の作品に出てくる俳優は、男前が少ないよね。
「髪結いの亭主」のジャン・ロシュフォールしかり、「仕立て屋の恋」のミシェル・ブランしかり。
「フェリックスとローラ」のフィリップ・トレトンもハンサムというルックスではない。
しかしジャン・ロシュフォールやミシェル・ブランのように、味がある俳優ではある。
そうそうローラ役のシャルロット・ゲンズブール、少女の頃と雰囲気がかわったように思えた。
役柄かもしれないが。
彼女の口元は、好きになれないなぁ。
笑うとニィ~と出る歯がちょっと・・・。

移動遊園地にローラという女がやってくる。
バンバー・カーのチケット売り場にいるフェリックスは、一目で彼女に恋をする。
どこか寂しげなローラに、フェリックスは声をかけた。
彼女は「私を雇ってくれない?」と言い、フェリックスは快諾。
謎の多い彼女にどんどん惹かれていった。
ある日、移動遊園地に謎の男があらわれる。
彼の姿を見たとたん、ローラは激しく動揺するが・・・。

オープニングの映像が頭にこびり付いたまま映画を見ていると、ローラの謎にフェリックス同様振り回されてしまうかも。

恋するフェリックスとローラの会話は、なぜか「冬ソナ」のユジンとチュンサン(ミニョン)の会話と酷似していて、恋って万国共通なのね~としみじみ思った。

例えば、
ローラ「私を知らないのに好きに?」
フェリックス「恋は理屈じゃない」

ミニョン「じゃあ・・・例えば、僕を好きな理由は?」
ユジン「はい?」
ミニョン「答えられないでしょう?本当に好きな時には、そんなふうに理由を言えないものなんですよ」

他に、
ローラ「本当に私と暮らしたい?」
フェリックス「もう君は僕の中に住んでいる」

ミニョン「じゃあ何が重要なんですか?」
ユジン「家の外見は関係ないと思います。愛する人にとっては、お互いの心がいちばん大切な家だから」

ま、フランス映画の「フェリックスとローラ」の方が、洗練されたセリフだが。

ミステリータッチの「フェリックスとローラ」だが、結末は意外とノーマル。
主人公のフェリックスは、「髪結いの亭主」や「仕立て屋の恋」の主人公達のようなクセのある人物ではない。
彼のノーマルさが、ラストを救いのあるものにしているとも言える。

謎の部分を残しておくのが、恋を長続きさせるコツだと、恋愛本などには書いているが、それもホドホドがいいようで。
ローラのように謎が多すぎると、男は惹かれながらも疲れてしまうかも。
フェリックスのノーマルな選択が、私は好きだし、これからの二人はしみじみとした愛を育んでいけると思う。

恋するフェリックスの言葉がいい。
「どうしたらいいんだ。幸せなのに切ない」





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