蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「赤い橋の下のぬるい水」



会社をリストラされた笹野は、ホームレスの太郎から宝物の話を聞く。
太郎が隠したと言うその宝は、北陸のある都市にかかる赤い橋のたもとに建つ家の中にあるはずだった。
別居中の妻に内緒で北陸行きの電車に乗る笹野。
赤い橋は確かにあり、太郎の言った家も存在していた。
その家には、サエコという女性と彼女の祖母が住んでいた。
痴呆がかった祖母と、ほそぼそと和菓子を作って暮らしているサエコ。
笹野は、身をよじりながら万引きをしているサエコを見かける。
彼女の足元には水たまりが出来ていた。

嘘のような、でももしかしたら、あるのかもと思わせる。
大人のためのファンタジー。
ま、男性に都合の良く出来ている話ではあるが。

町の風景は、北陸の漁師町をよくあらわしていて、人もどこか素朴に思える。
またその風景が、日常から離れた、ある種の異次元を感じさせる。
そこに、東京からやってきた笹野や、アフリカからマラソン留学してきた男が、どこか違う空気を運んでくる。

女の私が見て、ふ~んと思う程度の作品だが、少々お疲れモードの男性が見ると、ものすごく癒されるのかもしれない。

ラストシーンで、虹がかかるのだが、その虹があまりにもマンガチックで驚いた。
あれはわざとなのだろうか?
私はもう少しリアルな虹の方が良いと思ったのだが。




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