蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「阿修羅城の瞳」




2000年夏、大阪・松竹座ではじめて見た舞台「阿修羅城の瞳」は衝撃的だった。
もちろん劇団☆新感線も初体験。
耳を劈くエレキギターの音、ロックのリズム。
役者たちは、まるで曲芸者のように舞台の上を駆け回る。
笑いの渦に巻き込まれながら、気がつくと自分も舞台上の世界に入り込んでいることに気がつく。そんなお芝居だった。

お目当てはもちろん市川染五郎という歌舞伎役者だったのだが、そんな気持ちも吹っ飛ぶほど、病葉出門というキャラクターの持つ色気に心底惚れこんでしまった。

そして2003年の再演。
出門の色気はますます冴えわたる。
すっぽんから登場した出門の放つ強烈なオーラに、ただただ心を震わせることしか出来ない私だった。

私の大好きな異界の物語が、舞台を離れて銀幕の中でどのように表現されるのか、楽しみでもあり怖くもあった。

そして今日、映画「阿修羅城の瞳」を見てきた。

染さまのファンとしては、申し分のない作品である。
歌舞伎役者としての彼の魅力も充分楽しめるし、なにより時代設定が江戸というのがいい。
芝居小屋で人気役者として演技する染さま。
楽屋で化粧をおとす仕草も、着物をさらりときる様子も、何もかも彼の粋な魅力を堪能するための演出としか思えない。

ストーリーも舞台のものとはかなり変わり、登場人物も少なくなっている。
ラストも確か違う解釈のようだ。
それは映画と舞台の違いだから仕方がないのかもしれない。
映画は、染さまの粋な姿を我々が心に留めるためのモノ。
ファンの私はそう解釈したが・・・。

クライマックスの台詞は、かなり舞台に忠実だった。
聞きようによってはかなりエロティックなので、赤面するのだが。

「手練手管でいかせてやるぜ。あの世へな」とか、
「突き立ててぇんだよ、俺の情けのありったけを、お前の中に」とか、
今思い出してもドキドキするような台詞がぽんぽん染さまの口から飛び出す。
そうそう、傷舐めのシーンもゾクゾクするほど官能的だった。

つ、椿、いいなぁ~。(結局はこれに尽きる)

舞台での椿は、富田靖子、天海祐希だったのだが、今回の宮沢りえが一番はまり役だったかも。
邪空役は、舞台は古田新太、伊原剛志で、今回は渡辺篤郎。
皆芸達者だったが、個人的に古田さんが一番よかった。
なぜかというと、古田さんの邪空は出門対して愛情のような友情を感じていたと言うこと。
執拗に出門を狙い、阿修羅の力を欲しがる邪空の心の動きが、出門に対するただのコンプレックスだけでは、説明が弱いような気がしたからだ。
コンプレックスだけではなく、出門を慕っていたからこそ、出門の命を絶とうとする。
そんな邪空像ならば、外道の働きをした彼を哀れに感じるだろう。
そして人と鬼の違いなどない、人と鬼はさかしまの合わせ鏡なのだと、観客は思い至るのではないだろうか。
深読みしすぎかな?(笑)

とにかく染さまの魅力が炸裂していた映画「阿修羅城の瞳」
彼の艶姿に酔いしれ、ますます想いをつのらせる私であった。
しばらくは染染モードに突入したままかも。

2003年 舞台「阿修羅城の瞳」観劇日記は ココ

映画「阿修羅城の瞳」公式 HP


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