蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「嵐の青春」




懐かしのレスリー・チャンの映画です。
しかも彼のごく初期の作品。私はまったく知らなかったんですけど、1982年に香港で制作され、レスリーが第2回香港電影金像奨助演男優賞にノミネートされたらしいです。



ストーリー

ルイスは裕福な家庭で育ったが、DJをしていた母はすでに亡く、若い継母と同居していた。
彼の従兄妹キャシーが日本留学から帰国し、日本人の恋人の話をする。
しかしキャシーは、市営プールで監視員をしていたトムと知り合い、付き合うことにする。
自由奔放なキャシーと強引で純粋なトムは、どんどん惹かれあっていった。
ルイスのほうは、喫茶店で知り合ったトマトという女性を、恋人のところに送っていく。しかし恋人にひどい振られかたをしたトマトを見て、彼女を慰めるうちに、恋に落ちる。
ルイスとキャシーはお互いの恋人と島でバカンスを楽しむが、キャシーの日本人の恋人がやってくる。そこへ彼を追いかけてきた怪しい人物が・・・。



まだ若いレスリーが可愛らしくて、劇中「女の子みたい」と言われるシーンで、『ほんと、可愛いわよね~』と強く頷きながら見てしまいました。いつの時期のレスリーも魅力的です。

ストーリーは、最初よくわからなかったんですが、まるで「欲望の翼」みたいに、登場人物たちの恋や青春模様を、観客が味わいながら見ていればいいのかもしれない・・・と思いながら見ていました。
かなり昔の作品なので、ファッションや風俗など、今から見れば滑稽だったり、古く感じる部分もありますが、それ以上に当時にすればスタイリッシュな演出なんだろうな~と思うところがたくさんありました。
男が船の上で立っていて、隣の女と話をしているシーンの次は、いきなり彼が甲板に寝転んで話をしているんですよね。彼が座るなり、横になろうとするシーンを間に入れていたら、違和感がないのですが、立ち姿の次に寝姿となる編集に、斬新さを感じました。同様に編集したシーンが何度か出てきました。

ただ苦笑したのは、日本人が出てくるところ。彼らの言葉が、まるっきりカタコトで、明らかに香港人を起用していると丸わかり。あとイベント会場で甲冑や刀を展示しているのですが、甲冑の顔の部分に血のような赤い模様?のある白い生地をかぶせていました。あれはナンなのでしょう。

またキャシーの日本人の恋人は、実は連合赤軍の1人で(!)、彼は組織から脱退して香港に逃れてきたのでした。そこへ日本から追っ手がやってきて、チャンバラを始めるのです。お互いに刀を持って切りかかるのですが、赤軍の追っ手が、やたらと「切腹、切腹」といって、組織を裏切った彼に切腹を迫るのです。戦国時代の武士じゃないんだから、1980年代に切腹なんて存在しませんよ~。でもちゃんと「介錯」なんて言っているんですよね。でも介錯を素人のルイスにやらせようとするのはどうでしょう。介錯をするのは、剣の腕に自信がある人じゃないとひどいことになるらしいですよ。
しっかし、日本赤軍がチャンバラをするなんて、突拍子もない設定でした。

リゾート気分で、香港富裕層の若者達の恋模様を見ていたら、ラストで驚きの展開でした。
ラストシーンも衝撃的だし。というか、映画を見終わって、冒頭のシーンを思い出すことも困難なほど、最初と最後の雰囲気が違っていましたね。かなり斬新な作品でした。

レスリーはやっぱりステキだったけど。(笑)


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