蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

『陰陽師』読本

書籍名:『陰陽師』読本~平安の闇に、ようこそ~
著者名:夢枕獏 編
出版社:文藝春秋社

感想:映画「陰陽師Ⅱ」の脚本、第一稿と第四稿を載せている。
映画のストーリーとは、かなり違うのだが、それぞれ十分楽しめる話だ。
第一稿と第四稿の、ストーリーや人物設定の変化を読み比べてみると、物を書く人の思考回路がわかるような気がして面白い。
試行錯誤しながら、一つの作品ができてくるんだなあ、と感慨に耽ってしまう。
夢枕獏氏と野村萬斎氏の対談も興味深い。
萬斎氏が語る、演技中の心理状態を聞くと、ますます彼に惚れてしまうことうけあいである。(笑)
他に、聖徳大学教授の山口博氏や、相模女子大学教授の志村有弘氏と、夢枕獏氏の対談が載っている。
山口教授による平安時代の人々の暮らしぶりの話が興味深い。
「陰陽師」安倍清明が生きた時代背景など、具体的に語られていて、平安の人々が身近に感じられる。

「陰陽師」の世界を、違う側面から眺め、味わうことのできる一冊である。





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