蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「おおさか・元気・文楽」

第一部は「文楽への招待」
義太夫節の解説を豊竹咲甫大夫さんが、三味線の解説を鶴沢清志郎さんが、そして文楽人形の解説を吉田蓑二郎さんがする。
おおお~、初春文楽公演で「阿古屋琴責の段」三曲を見事に演奏していた鶴沢清志郎さんが、三味線の解説をしてくださるとは。
豊竹咲甫大夫さんも、鶴沢清志郎さんと同様に先日、文楽協会賞を受賞した人。
最近馴染みになった名前の人々が、次々に舞台上に現れるのは、なかなか気分がいい。
そうそう鶴澤清志郎さんの手は、とても大きくてしなやかだった。
そして右手の甲の真中に、ほくろがあった。
三味線のばちを持つ手に動くほくろが、なんとも艶かしく感じられた。
義太夫、三味線、文楽人形の解説の後は、今日の演目「曽根崎心中」の場所を追ったビデオを見る。
もちろんNHKが作ったもので、当時お初と徳兵衛がたどった地の現在をカメラが追う。
さて、第二部はお待ちかねの演目「曽根崎心中」
生玉社前の段、天満屋の段、天神森の段を見る。
天神森の段の人形遣いは、お初が吉田蓑助さん、徳兵衛がなんと人間国宝の吉田玉男さんだった。眼福、眼福。
豊竹咲甫大夫さんと鶴澤清志郎さんの顔も見える。
なんとも贅沢な天神森の段を見ることが出来た。
解説者として出てきた作家の広谷鏡子さん曰く、「ラストシーンを見て泣かない人は、人間じゃない」
おかげさまで、私は人間だったようだ。
涙がにじんで、せっかくの吉田玉男さんの渾身の徳兵衛が、よく見えなかった。

2004年1月31日 NHK大阪ホール




© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: