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4月6日に「10の奇妙な話」についてのレビューを書いているのですが、その本のあとがきに2作品ほど映像化されていると紹介されていたので見てみました。「ピアース姉妹」「蝶の修理屋」どちらも少し原作と違うところがありましたが、なかなか面白かったです。「蝶の修理屋」は原作にあったラストの毒がなく、なんだか感動モノになってしまっていたので、そこは残念。最後までちょっと毒のある不思議な世界を展開してほしかったです。
2016/04/27
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昨年2013年のカンヌ国際映画祭のパルムドール賞受賞作品、「アデル、ブルーは熱い色」 GWのある日、私は美容室で雑誌を拾い読みしていた。髪は赤にカラー中。何気なしに映画紹介のページを見ていたら…。そう、眼にしてしまったのだ。この作品の映画評を。胸がドキドキして、すぐその場で上映館を探した。最寄りの映画館は昨日までだった。クソッ。しかしまだある。あと1週間で上映が終わってしまうが、まだ見られる。翌日私は上映館へと急いだ。早くアデルに会いたい。そしてエマに恋したい。ストーリーアデルは高校生。毎朝自宅からバスに乗り学校へ行く。授業を受けて友だちとおしゃべりして…。そんな毎日を過ごしていたが、上級生の男の子に誘われ、デートすることに。待ち合わせ場所に急ぐ彼女の前に、ブルーの髪が美しい女が現れる。横断歩道ですれ違った二人。無性に気になり、見つめるアデル。連れの肩を抱いて歩きながら、振り返るブルーの髪の女。デート相手とベッドを共にしても、ブルーの髪の女が気になって仕方がない。夢で彼女と抱き合い、満たされた思いで目が覚めた自分に驚くアデル。友だちと諍いをしたアデルを、慰めてくれた友人はバーに連れて行く。踊りに行った友人と離れ、独りで佇むアデル。ふと眼に入ったのはあのブルーの髪の女、エマ。人ごみに見失いそうになりながら、エマを追いかけたアデルの前に、エマがやってくる。そして二人は…。切ない映画だった。アデルと一緒にエマに恋して恋して、そして破れて。だって好きって言ったじゃない。あんなに激しく抱き合ったじゃない。アデルの泣き顔がそう言っている。女同士だから禁断の恋ではない。ただ愛し合っただけ。出会って恋に落ちて、好きで好きでたまらなくて、毎日が輝いていて。ずっと一緒にいることができると信じていたのに、どうして時は残酷なんだろう。美術学校の学生から、画家になったエマ。念願の教師になったアデル。一緒に暮らしているのに、アデルはエマの絵のモデルになったのに、少しずつ歯車が狂い始める。エマの家で、彼女の友だちを招いてのパーティの日。エマと親密に話をする女性、リーズがいた。彼女は臨月のお腹をかかえ、エマの隣に寄り添う。気になるアデル。その夜、家事を済ませてベッドに入るアデルに、エマは言ったのだ。文章を書く才能があるから、作家になればいいのにと。アデルは安定した職業の教師になりたかったんだからとエマに言うが、「せっかくの才能がもったいない。教師が本当にやりたい仕事なの」とアデルに言う。アデルはそうだと言い、エマに甘えるが、エマは月のものだからと拒否する。そう、少しずつ二人の歯車が狂ってきた。リーズと一緒にアトリエにこもり帰宅しないという留守電を聞いて不安になるアデル。以前から誘われていた同僚の元へ行き、一緒に酒を飲む。どうして相手のことを信じ切れなかったんだろう。否、相手を信じられなくても、どうして自分の気持ちを信じきることができなかったんだろう。こんなに愛しているのに。どんなに寂しくても不安でも、自分の相手への気持ちを信じていれば、あんなことにはならなかったのに…。いや、エマは最初言ったではないか。「偶然はない」と。この結果も偶然ではなかったのだ。そう必然。号泣するアデル。時間が経っても、まだエマのことを考えると涙があふれてくる。どんな時もエマのことを思い涙が流れる。エマに再会した時、その想いが溢れる。たとえ想いが遂げられなくても、エマを愛した、エマと愛し合った時間が大切なのではないだろうか。傷ついた経験さえ、鮮麗な思い出になる。その経験があるからこそ、これからの人生が豊かになるのだ。大丈夫、アデル。エマと愛しあい失った経験が、貴方の次からの恋を豊かにするから。相手が、女でも、男でも。
2014/05/06
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ご無沙汰しています。なかなか長い日記を書けないので、覚え書きのように、これまでに見たものなどを書きとめておきます。5月 美輪明宏さん舞台「愛の賛歌」6月 映画「ハーブ&ドロシー」 映画「奇跡」是枝監督とまえだまえだの舞台挨拶あり 荻野アンナさん講演会合間に小川洋子「人質の朗読会」沼田まほかる「ユリゴコロ」読了久しぶりに「ボルヘス怪奇譚集」読んでる。これは20代の時読んで面白かったもの。あと小川洋子モノを数冊積読ずっとずっとあこがれ続けていた是枝宏和監督にお会いできたのがうれしかったなぁー。会うと言っても遠くから眺めているだけですが(笑)作品同様に、温かい雰囲気の監督。まえだまえだは、子どもで芸能界に入っているので、もうちょっとこましゃくれた感じかなー?と思っていたのですが、なかなかどうして感じいい子たちでした。礼儀正しくて、監督にもきちんと敬意を払っていて。もちろん1つの作品を一緒に作り上げた一体感はありましたが、慣れ合いにならずに、ちゃんと距離をとっていて、それがよそよそしくならずに、見ていて気持ちのいい関係でした。一気にまえだまえだのファンになっちゃった!(笑)それから「ハーブ&ドロシー」は最高!でした。もし見る機会があったらぜひ見てほしい作品です。ドキュメンタリーなのですが、ARTを愛する人も、そうでない人も、見ていてきっと何か感じるものがあるはず。
2011/06/20
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久しぶりに河瀬直美監督の作品を見ました。2008年度公開の最新作「七夜待」です。今まで河瀬監督は、自分の故郷・奈良を舞台に撮影してきましたが、今回初めて海外で撮影しました。場所はタイ。奈良と共通している部分があったのでしょうか?ストーリー30歳になる彩子は、一人でタイに来ていた。慣れない場所で現地の人に尋ねながら観光案内所にたどり着く。目的のナラコートホテルは歩いていくには遠いとのこと。タクシーで行く事を薦められ、案内所前に止まっていた1台のタクシーに乗り込む。タクシー運転手はぶっきらぼうで、トランクに荷物も運んでくれない。自分でトランクをあけ、荷物を入れる彩子。座席に座り、ナラコートホテルの名前を告げるが、何回言っても通じない様子。ようやく運転手は頷き、タクシーは動き出す。旅の疲れが出たのか、彩子はそのまま眠ってしまった。気がつくとホテルどころか、森の中でタクシーは止まっている。何事かと驚く彩子に、運転手は降りろというゼスチャーをする。急に恐ろしくなった彩子は、荷物も持たず、逃げ出す。追いかけてくる運転手。森の中へどんどん入っていく彩子。彼女の目の前にフランス人のグレッグが現れる。彼は敵か味方か?彩子は…。なるほど河瀬監督らしい、観念で見る映画です。ストーリーがあるようで、明確にはないところが、河瀬監督らしいと感じるところ。しかし今までの作品とは違い、長谷川京子という女優を使ったところが、やや失敗かなと感じました。主人公の彩子は、日本でのことをリセットするためにタイに来たように思われます。身も心も疲弊している彩子に、タイ人のアマリはタイ古式マッサージを施してくれ、その効果によって、少しずつ彩子は元気を取り戻していきます。スレンダーで美しい女優が演じる彩子は、なんだか薄っぺらな感じがして、観客である私は物語の中に入っていけません。異国のタクシーの中で眠ってしまったり、見知らぬフランス人男性についていき、彼が滞在しているタイ人親子の家に居候するなど、警戒心がなく、あまりにも平和ボケしすぎではないかと、見ていてヒヤヒヤします。物語が佳境に入り、アマリの息子トイが行方不明になるシーンでは、彩子だけが浮いているような印象を受けました。トイを出家させたいと願うアマリが、嫌がるトイを説き伏せようとし、その後トイが行方不明になります。トイを隠したんだと思い込み、グレッグやタクシー運転手マーヴィンをヒステリックに糾弾するアマリ。言葉が通じないので、彼らが何を言い合っているのかわからない彩子が、それでも仲裁に入ります。しかし逆にアマリに逆襲され、興奮したグレッグに殴られる彩子。彼女も頭に血が上り、「どうして私が殴られなくちゃいけないの?」と叫びます。言葉が通じないから仕方がないのですが、彩子の言動はいつも自分中心のような気がしてなりません。結局彩子がトイを見つけるのですが、その必要性も感じられませんでした。理屈で考える作品ではないのですが、わからないというよりも、長谷川京子嬢が浮いていて、作品全体がしっくりこないように感じられました。ただこの作品は、言って見れば漢方薬のようなもので、西洋薬のような即効性はなく、一度心や体の中にある不純物を一気に吐き出してしまってから、病が完治するというようなものなのかなとも思いました。
2009/11/28
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奇しくも続けて10代の妊娠・出産をテーマにした映画を見た。どちらもWOWOWでオンエア。WOWOWさん、チョイスがニクイね。1本目は「JUNO」2本目は「コドモのコドモ」まず「JUNO」についての感想。この作品、第80回アカデミー賞4部門ノミネートされ、とても話題になったとか。最初は上映館も少なかったらしいけれど、口コミでどんどん上映される映画館が増え、結局アカデミー賞ノミネート。確かにストーリー、主演女優の演技など面白みたっぷりで、ぐいぐい惹き付けられながら見た。10代の妊娠・出産というと悲惨なストーリーというイメージがあるけれど、「JUNO」はヒロインのキャラがジメジメ感を拭い去っていたかな。予想外の妊娠にもちろん驚いてうろたえるんだけど、そこで思考停止にならないところがJUNOの持ち味。まず中絶するためにクリニックへ向かうJUNO。しかしそこで中絶反対のプラカードを持った同級生に会い「胎児にはもう爪が生えている」と言われ、クリニックの受付の女性の対応のまずさもあり、中絶をせずに帰宅する。産むことを決心するのだが、もちろん自分で育てるのではなく、養子に出すという選択をした。養子を求めているヴァネッサとマーク夫婦に里子に出すことを決め、両親(母親は継母)に訳を話す。私が驚いたのは、娘の妊娠を聞いた両親の反応。訳あり顔で話をはじめるJUNOに、クスリをしたのか?とか尋ねる両親。いや妊娠も充分驚くに値すると思うんだけど。(苦笑)彼女が、子どもは養子に出すと聞くと、父親は一緒に里親に会いに行くといい、怒るでもなく落ち着いたもの。う~ん、アメリカと日本の考え方の違い?それとも私って超保守的?これが自分の子どもだったら、思いっきりうろたえるだろうな私。あんなに冷静に話なんかできないと思う。ただ「JUNO」を最後まで見て思ったのは、自分の価値観が全てではないということ。JUNOはクラスでも変わった女の子という設定だけれど、彼女のストレートな思いがとっても気持ちよく感じた。興味本位の行動の結果が妊娠なんだけれど、罪悪感とか自分を卑下する事とかなく、思ったままに行動するJUNOが、とても魅力的に見えた。もちろんこれが現実の話だと、もっとややこしくなるのかもしれないけれど、でも人生の中の真実って、ほんとはこんな風にシンプルなものなんじゃないかな。日々の生活の中で、大人になるにつれて、「こうあるべし」という自らを縛ってしまう考え方を、JUNOの姿を見ていたら、少しは大人の世界から自分を解放したっていいんじゃない?って感じたんだよね。
2009/10/30
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第81回アカデミー賞 外国語映画賞を受賞した「おくりびと」ようやく見ました。アカデミー賞を受賞した時は、マスコミに何度も取り上げられていたので、映画評なども読んでいました。そのときに感じたのは、「ハリウッドもこんなに日本的な題材の作品を理解し、評価するんだ」ということ。くわしくは失念しましたが、新聞記事でアメリカでも日本的な死生観が理解がされてきたのが、死について考える事のできる「おくりびと」の受賞に繋がったのではないかというようなことが書かれていました。それを読んで私は、「おくりびと」が河瀬直美監督や是枝裕和監督のように、制作側がはっきりとした結果を見ている側に提示するのではなく、それぞれが自分の立場で熟考できるような作品だと思い込んでいました。そうではないんですね。ストーリーチェリストの小林大悟は、ようやくオーケストラに所属し、高価(1800万円!!)のチェロを購入して、音楽家として順調なスタートを切ろうとしていた。しかし楽団の解散、チェロの売却、故郷山形へ住まいを移すなど、生活の変化を余儀なくされていた。妻美香は大悟に理解を示し、同行した。大悟が山形で見つけた職は、納棺の仕事だった。妻にも幼なじみ山下にも理解されず、後ろ指をさされる毎日。妻はなんど懇願しても大悟が仕事を止めないので、とうとう実家に帰ってしまった。ある日山下の母が急死する。妊娠を告げに帰宅した美香とともに、山下の母の納棺に向かう大悟。死者を敬い、まるで儀式のように見事に山下の母を納棺する大悟の姿に、山下も美香も、納棺という仕事に理解を示すのだった。穏やかに過ごす大悟のもとに1通の電報が届いた。それは30年前に愛人と失踪した父の死亡通知だった。この作品が公開されるまで、納棺師という仕事があることすら知りませんでした。「おくりびと」が公開される前後、新聞連載で死者に関する職業が紹介されていたのを読み、また「遺品整理屋は見た!」という本を読んで、少しだけ知識を蓄えたくらい。評判になっていただけあって、モックンの所作が美しかったです。死者を清め、死に装束を身につける動作が、まるで茶道の所作のようで。全て型にはまり、その型を継承していくといのことが、よくわかりました。その点は歌舞伎や狂言と似たところがあるのかもしれません。ただ、です。最初に言ったように、死者を題材にした作品が、どうしてハリウッドで賞を取ったのか気にかかっていたんです。それが最後まで見て、わかりました。いわゆるハリウッド受けするようなラストだったからです。私がイメージしていたラストは、はっきりとしたものではなく、ただ人間は生きて死ぬ。その過程の1シーンを納棺師が携わるだけ。それ以上でも以下でもない。そういった淡々としたラストをイメージしていたんですね。ま、勝手にですけど。(笑)それが、30年ぶりに失踪した父と対面した大悟が、すでに死んでいる父の自分への思いを感じ、心を込めて父を納棺するんです。そして美香のおなかに宿っている新しい命を思い、魂の輪廻を感じるんですね。もちろん感動的なラストではあるのですが、いわゆるステレオタイプ。何が理解できないって、30年もこだわり続けた父への恨みつらみが、短時間で解消して和解していること。もちろん父はすでに亡くなっているので、彼と語ったわけではありませんが、父の掌に握りしめられていた石文で、死の間際まで大悟を思っていたことがわかります。その石文とは、自分の今の気持ちを表す石を拾って、相手に渡すという行為で、まだ父が家族と一緒にいたころ、大悟が父に渡したものでした。その石文を見て、大悟が父を許し、美香のおなかの中の自分の子どもへの思いを感じるという、いかにもハリウッド受けするラストが、私はかなり物足りませんでした。人間ってそんなに単純なものなんでしょうか。もっと複雑でどうしようもなくて、持て余してしまうからこそ愛しいんじゃないの?だからこそ、ステレオタイプなラストではなく、煩悩を感じながらも、これからも仕事に邁進し、淡々と生きていく大悟の姿を見たかったなぁ~。一生かかって父の生き方を理解するというか、認めることができるようになるとか。まあ、それだったらハリウッドで理解してもらえなかったかも。河瀬監督も是枝監督もカンヌで賞を取ったもんね。(笑)
2009/10/28
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え~、我が家が契約しているケーブルTVの11月放送番組表が届きまして、韓ドラ、映画などをさっそくチェック。お~!ジョンフンの「カフェ・ソウル」がさっそくオンエア。しかし衛星劇場なので見られず。衛星劇場はしばらく契約していたのですが、最近Mnetに浮気したため契約解除。はぁ~、仕方がないか。それよりもコーフンしたのは、「洋画★シネフィル・イマジカ」の番組表。大好きな映画、見たい映画が目白押し。きっと全部網羅できないとは思うのですが、はずせないのはチェックしておかなくては。ざっと見るとですね、なんですか、パトリス・ルコント監督とジェイムズ・アイボリー監督の作品が多くないですか?2人とも大好きなのよ~!うれしいわぁ~。「カルテット」「眺めのいい部屋 完全版」「熱砂の日」「モーリス」これはジェイムズ・アイボリー監督の作品。そして「仕立て屋の恋」「髪結いの亭主」これはパトリス・ルコント監督の作品。楽しみだわ~。ルコント監督の作品は、「髪結いの亭主」「仕立て屋の恋」「橋の上の娘」「タンデム」「イヴォンヌの香り」「タンゴ」「サン・ピエールの未亡人」「大喝采」「リディキュール」「フェリックスとローラ」などを見ましたが、どれも洒落ていて素敵な作品ですね~。特に「橋の上の娘」「大喝采」が好きだな~。シネフィルでは11月には他にも、「いつか晴れた日に」(これはアラン・リックマン様が出ているのでDVDを買った)、「サイボーグでも大丈夫」(ピが好演)、「大統領の理髪師」(レビューを書くのを忘れちゃっているけど、お気に入りの1本)、「ベルリン・天使の詩」(これはヴィム・ヴェンダース監督の名作)があり、まだ未見で見たいな~と思っている作品に「運動靴と赤い金魚」「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」「オードリー・ヘプバーンのモンテカルロへ行こう」「グリーン・デスティニー」「クリムト」「恋人たちの食卓」「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」(ん?カシちゃん?笑。でも出演はJ・ビノシュだって。豪華~!)「僕が9歳だったころ」などがあり、1ヶ月間家に閉じこもってTVを見ていたいと切望してしまうようなプログラムです~。
2009/10/23
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今日は久しぶりに講演会を聞きに足を伸ばしました。「風の歌を聴け-芦屋1970年代の風景」と銘打った講演会で、第1部が映画「風の歌を聴け」上映。第2部が大森一樹監督の講演会でした。「風の歌を聴け」は、小説は既読でしたが、映画は未見。もう20年も前の作品で、公開当時は興行的にコケてしまったとか。それから数年は、大森監督は映画製作が出来なかったと自虐的な話を前置きに、映画を見ました。ん~、何と言うんでしょうか。公開当時に大衆に理解されなかったというのは、なんとなくわかります。私は是枝裕和監督や河瀬直美監督の作品が好きなので、この「風の歌を聴け」も嫌いな作品ではないのですが、諸手をあげて共感するようなタイプではありませんでした。これは原作である小説にも言えることかもしれませんが、きちんとしたストーリーがなく、主人公の青年の周りの出来事が淡々と(たとえ衝撃的な内容でも)描かれています。途中でもろもろのイメージが挿入されていて、それらが繰り返されます。その狭間で、主人公のひと夏が過ぎていく……というお話です。理屈で見るのではなく、感覚で見る映画でしょうね。いつもどこか冷めている主人公の部屋の本棚には、吉本隆明や高橋和巳らの本が並べられているという設定も、この作品がただの青春映画ではなく、哲学的な内容を啓蒙しているのかなと感じました。これは講演会で大森監督もいわれていました。公開当時の映画評でさんざんな評価を受けたとき、「壊れた青春映画」といわれたそうなのですが、原作自体が青春小説ではなく、哲学小説だったと思っていた、それが今頃人々に理解されるようになってきたと話されました。ヒロイン役の真行寺君枝さんのことを、村上春樹さんが気に入られ、監督抜きで2人で女性誌で対談していたとか、それ以降の村上作品のヒロインは、どこか真行寺さんをイメージさせるものがあるとか、なかなか興味深いお話も飛び出しました。そうそう映画では、最初に鼠と主人公が酔っ払って車の運転を誤り、自損事故を起こしてしまうシーンがあるのですが、このロケ地が西宮球場前で、原作と違っていました。原作では芦屋市にある打出公園が、そのシーンの場所ではないかといわれています。(村上氏ははっきりと明示してはいません)大森監督によると、打出公園の前は狭く、とても事故を起こすシーンを撮れるスペースがないので、西宮球場前に変えたとか。その西宮球場も今は無く、阪急西宮ガーデンズというショッピングモールへと変わっています。映画「風の歌を聴け」は、昨年韓国ソウルでも公開されたそうで、なかなか盛況だったそうです。村上春樹の小説は外国での評価が高いですからね。でも残念な事に、今年もノーベル文学賞は逃しました他にも芦屋と村上春樹、そして「風の歌を聴け」制作にまつわるお話をいろいろと聞くことが出来ました。
2009/10/18
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大好きな映画監督の1人、ウォン・カーウァイの最新作「マイ・ブルーベリー・ナイツ」を見ました。前作「2046」は、う~ん、まあまあかな~と思っていたのですが、今回の「マイ・ブルーベリー・ナイツ」は好きなタイプの作品でした。ウォン・カーウァイ監督の作品は、「いますぐ抱きしめたい」(1988) 「欲望の翼」(1990)「恋する惑星」(1994) 「楽園の瑕」(1994) 「天使の涙」(1995) 「ブエノスアイレス」(1997) 「花様年華」(2000) 「2046」(2004)を見ました。どれも好きな作品ですが、「どれを選ぶ?」と言われたら、「天使の涙」を選ぶかなぁ~?う~ん、「2046」以外は甲乙つけがたいのですが。 ストーリーエリザベスは恋人の心変わりで失恋した。NYの恋人の部屋の近くにあるカフェに毎晩寄っては、オーナーのジェレミーに、失恋の痛みを聞いてもらっていた。毎晩エリザベスのためにブルーベリーパイを取っておいてくれ、彼女の話を嫌な顔一つせずに聞いてくれるジェレミーの優しさに心が癒されようとしていたある日、エリザベスはNYから姿を消す。失恋の痛みを乗り越えるため、旅に出たのだ。バーやカジノで働きながら、愛に傷ついた人々に出会うエリザベス。ジェレミーとの間をつなぐのは、ただ1つ。彼女が出す手紙だけ。ジェレミーはエリザベスを探そうと、手紙に書かれている町の店へと電話をするが、偽名を使って働いているエリザベスをつかまえることは出来ない。時間だけが過ぎていった。久しぶりに「映画を見た!」という実感が持てました。100分という短い時間の中で、1年近くかかってゆっくりと次の恋を始めようとするエリザベスの心の成長が、見ている私にもよく理解でき、自分自身も彼女と一緒に失恋を乗り越えた気分。(笑)翻って自分の今までの経験を思い起こし、彼女のように失恋をしっかりと受け止め、それをきちんと消化してきたかどうか、また失恋を自分の成長の糧にしてきたかどうか、検証しなおしてみました。・・・・自信ないなぁ。エリザベスはとにかく逞しいです。しかもそれがイヤミではないんです。彼女が旅先で出会う人たちは、愛に傷ついた人ばかりなのですが、彼女は自分の価値観を押し付けず、黙って彼ら、彼女らに寄り添っています。きっとエリザベスもそれが最良の手段だと知っていたのでしょう。束縛する夫から逃れようともがいていたスー・リンも、父親の庇護から飛び出したレスリーも、結局は失ってみてはじめて、自分が求めていたものを知るのです。彼女たちを見ていたエリザベスもきっと自分が求めていたものを理解したのでしょう。車を買うと、NYに戻ってきます。旅に出る女。ひたすら待つ男。激しい求愛の言葉もなく、刺激的なシーンもありませんが、心にひたひたと寄せては返す、温かな波を感じる事が出来る映画です。そう、きっとまた新しい恋がしたくなるはず。映像もスタイリッシュで、電車の映像が効果的に使われているし、1シーンが短めだったので、テンポがよく感じられました。映像のカットの仕方が独特で、ウォン・カーウァイらしいなと。ただ1つ残念なのは、映画の広報で象徴的に使われているラストシーン。あのシーンは絶対に先に見ないほうがいい!空腹の時、食事の前に大盛りデザートを出された気分。甘酸っぱいブルーベリーパイは、作品を堪能した後でゆっくりといただきたいものです。
2009/09/21
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9月のWOWOWは、大好きな映画監督の作品を3本もオンエアしてくれるので、とっても楽しみ!その監督とは、ジェイムズ・アイヴォリー彼の作品との出会いは「眺めのいい部屋」なんです。公開中当時OLだった私は、なかなか時間がとれず、ようやく見に行ったのは最終日。銀幕にはヨーロッパの町の美しさと階級社会の秩序が映し出されていて、感じ入ったのを覚えています。そうそう、今はこわ~~い魔女役をハリポタシリーズで演じているヘレナ・ボナム・カーターも当時は可憐な少女役でした。それから彼の作品が公開されるたびに見に行きました。「カルテット」「熱砂の日」「モーリス」「ハワーズ・エンド」「日の名残り」などを見ました。今回WOWOWでオンエアされるのは、初期の「ローズランド」と、カズオ・イシグロがブッカー賞をとった「日の名残り」、そしてかの有名な?「モーリス」「モーリス」はヒュー・グラントの出世作ですよね。彼は今ではラブコメ専門俳優のようになっていますが、若かりし頃は「モーリス」で、同級生の男の子を愛してしまう役を演じていました。美しかったです。カズオ・イシグロもアイヴォリー監督と縁が深いですね。「日の名残り」の原作者ですし、アイヴォリー監督の最新作「上海の伯爵夫人」の脚本も担当しているとか。うわ~、これみたいなぁ~。カズオ・イシグロといえば、「私を離さないで」は衝撃作でした。好きな小説の1つです。最新作「夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」はまだ未読。図書館にリクエスト中です。そろそろ秋も近づいているし、秋の夜長はお気に入りの映画を見たり、好きな小説を読んだりして過ごしてみたいものです。あくまで理想だけど・・・。
2009/08/25
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「西の魔女が死んだ」を見ました。主人公のまいを見ながら、ずっと我が家の長女のことを思い出していました。<ストーリー>中学生のまいは、学校に行かないと宣言した。登校拒否である。父親は単身赴任中で、母親は職業を持っていた。母親はまいの言葉に騒ぎ立てず、自分の母親、まいの祖母にしばらく預けることにした。豊かな自然に囲まれた祖母の家。まいは祖母と2人で、ワイルドストロベリーを摘み、ジャムを作り、シーツを洗い、ラベンダー畑に干し、ハーブティーで畑の作物に付いた虫を追い払うなど、きちんと心を込めた生活をしていった。大自然と凛とした“魔女”のような祖母の愛に包まれ、まいは少しずつ心の平安を取り戻していった。あの男にあの場所で出会うまでは・・・。ちょっと見る機会があって、上映会に行ってきました。久しぶりに、TV以外で見る映画に、わくわくしました。お話は淡々と進んでいきますが、画面の中の自然が美しくて、飽きません。「私はもう学校には行かない。あそこは私に苦痛を与える場所でしかないの」そう言ったまいに、西の魔女である祖母は「早寝早起き、食事をしっかりとって、よく運動すること」といい、まいに魔女修行と称した生活を始めさせます。学校に通っている時は、夜中の2~3時まで起きていたまいは、夜11時に就寝し、朝7時に起床する毎日を始めます。庭の畑で採れたレタスや、飼っている鶏が産んだ卵で料理を作り、命をいただくという行為から、まいはさまざまなことを学んでいきます。映画を観ている私自身も毎日の不摂生を反省しました。便利さと手軽さに慣れ、丁寧に生活するということを、つい忘れてしまっている毎日。とはいえ、まいの祖母のような自然と共生するような生活にシフトすることはできないとわかっています。でもきちんと物事を考え、子どもたちに伝えていかなければいけないと思いました。ただ1つ気になったのは、まいの母親が結局仕事を辞めて、夫の住むところへまいと一緒に引越しをすると決めたところ。まいの母親は自分の仕事が好きだったはずなのに、結局母親が仕事をあきらめるのが問題点の打開策になるのでしょうか?それからラストの、祖母がまいとの約束を果たしたシーン。あまりにもクリアなメッセージに、いくら魔女とはいえ「ありえない・・・」と思ってしまいました。肉体が消滅してしまい魂だけ残ったのに、窓にあのように鮮明に指文字なんてかけないでしょう・・・?それよりも、最後にまいが「おばあちゃん、大好き」と呟いた時に、かすかに「I know」と言う祖母の声が聞こえてきただけの方が、より心に染みるものがあると思うのですが。とはいえ、今を生きる中学生の生きにくさをとてもよく表現している作品だと思いましたし、まいのようにもがきながら暮らしている子どもたちに見てほしい、そして少しでも生きることに自信を持って欲しいと思いました。
2009/06/25
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映画館で公開当時、激しい性描写の方が話題になった作品、「ラスト、コーション」を見ました。今回はWOWOWでのオンエア(R-15)を見ました。トニー・レオン、けっこう好きなんですよね。1990年公開の台湾映画「非情城市」で聴覚障害者の写真技師役を好演していたんです。この映画、大好きで、おかげで台湾旅行をしてしまったほど。で、「ラスト、コーション」ですが、確かに激しい性描写はありましたが、それだけ突出した演出ではなく、ストーリー上必要だったのではないかと感じたんですよね。抗日運動家の女スパイ、ワン・チアチーは、日本軍に協力する特務機関のイーの暗殺を狙っていたんですが、なかなか好機に恵まれず、一時は暗殺計画も白紙に戻ります。それから3年、再びチアチーはイーの命を狙うように命令を受けます。舞台は香港から上海に移っていました。病的なほど慎重なイーも、次第にチアチーに関心を持つようになり、ある日映画を見に行くという彼女を映画館まで送ってやれと運転手に命じます。しかし運転手が彼女を連れて行ったのは映画館ではなく、とある部屋。不審に思いながらもチアチーは部屋に入り、そこに待っているイーの姿を認めます。彼女はレイプまがいの行為を受けますが、それから急速にチアチーとイーの関係が進んでいくのです。最初私はイーがそのような性癖があるのかと思ったのですが、それ以降のチアチーとのセックスは至ってノーマル?というか、前回のようなSMチックなものではなく、濃厚な愛の交歓でした。ではなぜ彼は最初彼女を手荒に扱ったのでしょう?私が思ったのは、猜疑心が強いイーのこと、色仕掛けの女スパイの扱いは知り尽くしていたのではないかということです。最初あのように乱暴に扱われたら、本当に彼のことを愛していなければ、また少しばかりの愛だけなら、すぐに彼から離れていってしまうと思うのです。彼への愛のリトマス紙として、あの乱暴なセックスがあるのではないかと思いました。女スパイなら、それくらいのことは承知の上かもしれませんが、やはりその後の態度でイーに感づかれてしまうように思います。それからイーとチアチーはお互いを激しく求め続けますが、一方のチアチーはいつ自分のスパイ行為がイーにばれるかと、不安に感じつつ生活をしています。彼女には香港時代から想いを寄せていた仲間クァン・ユイミンがいたのですが、彼の気持ちがいまひとつ掴めずにいました。が、どんどんイーとの情事を重ねていくチアチーに対して、堰を切ったようにユイミンは彼女にキスをするのですが、時はすでに遅く、チアチーの心はイーの方へ傾いていたのです。最初は任務としてイーに抱かれていたチアチーですが、肌を重ねるにつれ、イーへの愛が目覚めていきます。彼らは多くの会話を交わしません。肌を重ねる事でお互いの全てを知っていくようです。でもこの作品はセックスを奨励するものではなく、むしろある愛の形を知らしめる作品のような気がします。もちろん会話は大切ですが、それが許される状況ではなかったら、肌を重ねる事も会話の一つではないかと感じました。チアチーがイーに呼ばれた日本料理店で、彼のために歌った中国の歌「天涯歌女」は印象的でした。イーがそっと涙する姿に感動してしまいました。この時代、中国、香港、台湾は本当に混乱していましたから、イーが中国人としての自分を考えた時、涙してしまうのもわかるような気がします。ラストは悲しい結果になってしまいました。イーを助けた時、むろんチアチーは死を覚悟していたでしょう。でもどうして上層部から渡された毒薬を飲んで自害しなかったのでしょう。私は彼女がカプセルを握った時点で、自害するものだとばかり思っていました。でもチアチーは仲間達と一緒に処刑される道を選びます。仲間達と処刑場に並んだ彼女は、もしかしたら香港の時のように、自分だけ逃げる行為を避けたかったのではないでしょうか。死ぬのなら、仲間と特にクァン・ユイミンと一緒に死にたいと思ったように感じました。それは男女の愛ではなく、長い間同じ目標に向かって(イーの暗殺という皮肉なものでしたが)活動してきた仲間としての気持ちだったように思います。この「ラスト、コーション」を見ながら、ずっと思っていたのは、東方神起の「呪文」の歌詞と重なる部分が多いという事です。映画を見ながら、ずっと「呪文」が私の頭の中を流れていました。(笑)東方神起 呪文の歌詞
2009/05/02
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いつ公開が終わるかとヒヤヒヤものでしたが、なんとか前売り券を無駄にしなくて済みました。さて翔クンファンの長女はもちろんのこと、相葉ちゃんやニノファンの次女も、そして私も楽しみにしていた「ヤッターマン」見に行った人たちから聞いた話によると、「子ども向けというより大人向けの内容だった」とか「翔クンのキスシーンがあった」「下ネタが多かった」などなど。大人向けの内容ということで、ちょっと期待していました。映画館には小さい子どももたくさん来ていたので、『大人向けらしいよ、大丈夫?』などと心配しながら見ていたのですが・・・。う~ん、微妙。大人向け・・・ねえ。そうですね、大人向けといえば大人向けなのかもしれません。下ネタというか、メカのお色気シーンがあって、娘達と見ていた私は、妙に彼女たちを意識してしまいました。エロチックというよりエッチな感じ。ああいうのを大人向けだと言ったんでしょうか。私の考えていた大人向けと大分違ったような。他に、パロディのようなシーンもあったし、地名がすべてパロディっぽいネーミングだし、最初に出てきた戦いのシーンの場所が渋山のハッチ公前で、ハチ公ならぬみなしごハッチの銅像があったので、これは私と同年代の感覚だな~と。翔クンが目当てで行ったものの、きっともう見ないだろうな~。ストーリーのお決まり加減は別に問題ないと思うし、いきなりの始まり方もいいんじゃないと思ったし、エンドロールの後の次週予告も面白かったけど、何ていったらいいんだろう。中途半端な印象を受けました。子どもも大人も楽しめるわけじゃないし、大人の鑑賞に耐えうる内容でもなく、あ、これは高尚な内容じゃなくてもいいんです。「ロッキー・ホラー・ショウ」や「ピンクフラミンゴ」みたいなぶっ飛んだ内容の映画も大好きだし。でも「ヤッターマン」はそんなにぶっ飛んでもいないし。翔クンファンの長女などは見終わった後、「いや~退屈で最初寝ちゃったよ~」なんて言ってました。彼女の場合、翔クンのキャラがいまいちだったようですが。ただ1つ見ごたえがあったのは、阿部サダヲさんの演技。特に海江田博士がドクロベエに体を乗っ取られ、自分の娘に危害を加えようとするシーンは圧巻でした。娘を殴ろうとするドクロベエと必死にそれを阻止しようとする海江田博士。1つの体の中に2つの精神が存在するという状況が伝わってきました。劇団☆新感線の舞台で鍛えられていますからね、彼は。ということは、主要なキャストの演技にも難があったってことかな。ドロンジョ様もヤッターマン1、2号も棒読みだったよね・・・。ボヤッキーはさすがな演技でした。やっぱり生瀬さんだわ。パンフのキャストのところに「ボヤッキーのチャームポイントは『かわいらしさ』です」と書いてあったのですが、まさにその通りでした。ルックスは良くなくても(ごめんなさい)誰よりもドロンジョを愛する心がいじらしかったです。それなのに事故のような1度のキスで、ドロンジョの心はヤッターマン1号に持っていかれて・・・。それにしても1号の2号への気持ちが、最後まで伝わってきませんでした。ドロンジョとのキスの後、自分の唇を押さえて動揺したりして。でもサクッと「ヤッターマンは2人で1人だ」みたいなことを言って、いきなり2号とラブラブに。2号がそれまでに嫉妬をするシーンはあったのですが、1号の気持ちはよくわかんなかったなぁ~。ま、深く考えずに楽しめばいいんでしょうがねぇ・・・。
2009/04/11
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「おくりびと」がアカデミー賞外国語映画賞を受賞しましたね。よかったです。なんとなく、芸術作品が選ばれるというイメージのカンヌに比べて、アカデミー賞は娯楽作品が受賞すると思い込んでいたのですが、今回「おくりびと」が受賞して、そうでもないのかな?と認識を新たにしました。とはいっても、私はまだ「おくりびと」を見ていないので、詳しい内容はわからないのですが。ずっと見てみたいと思ってはいたのですが、なかなか時間がとれず、オスカー取っちゃったので、しばらくは映画館が混むかな?とちょっと躊躇したりして。ほとぼりが冷めてから、或いはDVDが出てから見ようかなと思っています。ユーモアもちりばめられているようですが、人間の「死」と「生」を扱っている内容だと聞き、カンヌで賞を取った河瀬直美監督の表現とどう違うのか、比べながら見てみるのもオツかな~?なんて思っています。外国語映画賞にノミネートされていた「戦場でワルツを」「ザ・クラス」「バーダー・マインホフ・コンプレックス」などの作品も見てみたいです。また短編アニメ賞は「つみきのいえ」で、これまた日本の作品でした。受賞ニュースで流れた映像をちらっと見たのですが、温かな映像だったので、全編見てみたいな~と思いました。またまた見たい映画が増えてしまいました。(笑)
2009/02/24
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「殯(もがり)の森」制作のときに、ひとコマもがりサポーターというものに参加したのですが、それから河瀬監督の事務所からちらし類を送ってくれるようになりました。今回は、監督の最新作「七夜待」のちらしと、監督直筆(コピー)の手紙、なら国際映画祭シンポジウムなどの紹介ちらしが入っていました。 最新作は舞台をタイに移し、いつもは素人を使っていた河瀬監督が、今回は女優の長谷川京子を起用しています。公式サイトへのリンクは、このブログのTOPに貼っていますので、どうぞ行ってみてください。予告編などが観られます。また「七夜待 日々癒ブログ」などもあり、盛りだくさんな内容になっています。この作品、タイに単身やってきた主人公(長谷川京子)が古式マッサージに触れ、癒されながら新しい自分に出会う物語だそうです。今まで故郷奈良を舞台にしてきた河瀬監督が、今度は異国タイを舞台に、どのような世界を見せてくれるのか、とても楽しみです。
2008/09/08
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だ~いぶん前に母娘3人分の前売り券を買っていた、「花より男子F」を7月6日に見てきました。かなりの込み具合で、前から4列目の中央で見たんですけど、最初はちょっと気分が悪くなりそうでした。ストーリー庶民の牧野つくしは大学を卒業し、大企業道明寺ホールディングスの代表となった超セレブの道明氏司と婚約することになった。両家揃っての結納の日、つくしは司の母、楓から道明寺家に伝わるティアラ「ビーナスの微笑み」を渡される。ダイヤ、ルビー、サファイアなどの宝石が埋め込まれた豪華なティアラを前に、道明寺家に嫁ぐことに一抹の不安を覚えるつくし。そんな彼女の気持ちを反映したかのように、ホテルの部屋に不審な男が侵入し、大切なティアラを盗んでしまった。司とともにつくしは盗まれたティアラを探しに、ラスベガス、香港、そしてある場所へと向かうことになる。さすがにドラマと比べて、話の内容がシンプルでした。時間を考えると仕方がないのかもしれませんが、ドラマを見ながらのドキドキ感があまりなく、物足りなかった気もします。反対にドラマでは物足りないと感じていた、つくしと司のラブラブぶりが映画ではたっぷりと味わえて、その点は満足でしたね。ま、この映画、あまりにも公開前に宣伝しすぎたというか、飽きるほど予告編を見せられていたので、実際に映画を見たときに新鮮さがなくて、勿体なかったなと感じました。あの予告を見ているだけで、ほとんどのストーリーはわかってしまいそうだったし。それほど濃い内容ではなかったということですね。でも、実は私、泣いちゃったシーンがあるんです。これを言っちゃったらネタバレになるかもしれませんが・・・。京都のシーンで、つくしの両親が司に謝るところ。娘を想う親の気持ちが伝わってきて、横で見ている娘達のことを考え、私も1人の母親として、つくしの両親と同じように考えるな・・・と思い、じんわりと涙が出ました。ドラマを見ているときにも感じたのですが、つくしの家族っていいですよね。ちょっぴり見栄っ張りなところもあるけれど、子ども達のことを愛しているステキな両親です。司じゃないけれど、本当に素晴らしい娘を育てたな・・・と思いました。映画を見終わった娘は、「アクションシーンが少なかった」と不満気でしたが、(予告で美作さんが車の爆発で吹っ飛ぶシーンを何回も見ていたので)私はドラマで少々欲求不満気味だったつくしと道明寺のラブラブシーンが盛りだくさんだったので、その点はかなり満足でした。もうこれで本当にファイナルなのね。つくしと司のように、財力のあるなしなど関係なく、お互いにフィフティ・フィフティな関係って、とってもステキだな~と思いました。
2008/07/14
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忘れないように、最近見た映画のタイトルを書いておきます。自分自身の覚書日記ということで。「トンマッコルにようこそ」「大統領の理髪師」「おばあちゃんの家」「ダーウィンの悪夢」「花より男子ファイナル」「花男」以外は、深く考えさせられる作品でした。特に衝撃的だったのは「ダーウィンの悪夢」私たちがなすべきことを何か?考え、行動しなくてはいけないと思いました。とはいえ、「花男」も考えさせられましたよ。親の愛情について。思わず泣いちゃったシーンもありました。やっぱり潤くんはステキでした♪
2008/07/08
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今日は朝から衛星劇場で是枝裕和監督インタビューと作品をオンエア中です。今月は彼の最新作「歩けども 歩けども」公開記念として、このような企画があったようですね。インタビューは30分で計4回。どの回も作品の間に埋め込まれているような感じで、作品を鑑賞する前に監督の意図がわかる仕組みになっています。このインタビューがホントに面白いです。インタビュアーは元キネマ旬報編集長の植草信和氏。映画についての知識が豊富ということ以上に、寡黙な是枝監督のしゃべりを邪魔しないインタビューは心地よいです。是枝監督は映画監督としてデビューする前、TVディレクターとしてTV番組を制作していたことは有名な話ですが、初の映画作品「幻の光」がTV制作をきっかけに出来上がっていったというのは初耳でした。ドキュメンタリー制作と映画製作との間で、監督が何を考えてきたかを聴くことが出来て、とても充実したインタビュー番組でした。1と2はもう放送してしまいましたが、3と4はこれから放送です。興味がある方はぜひご覧になってください。
2008/06/29
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前売り券を買ったまま、なかなか見に行く時間がなかった潤くん主演の「隠し砦の三悪人」子どもたちと一緒に6月1日に見に行ってきました。以前「クロサギ」を見に行った時は、上映時間ギリギリに駆け込んでしまったので、今回は30分以上余裕を見て行ったのに、映画館は長蛇の列。「ん??何で?」よく考えると、1日は映画の日でした。一律料金¥1000、前売りは¥1300・・・。考えなしのオバカな私でした。それでも、長蛇の列の人々は、「隠し砦~」にはほとんど入ってこず、ゆったりと見ることが出来ました。(汗)さてさて、肝心の内容ですが、黒澤監督の作品はまだ未見なので比べることはできないのですが、今回の作品は脇役陣が豪華で目を見張りました。まず敵役の冷酷な鷹山刑部に椎名桔平、同じく敵方で関所を守るものの頼りない武士役に高嶋政宏、ヒロイン雪姫のじい役國村隼、あとはほんの1シーンだったかもしれないほど脇役に、生瀬勝久、古田新太、上川隆也・・・。どうですこの豪華さ。ストーリーを追いながらも、脇役にも神経を集中させて見ていました。この脇役陣、芸達者な人ばかりなので、もっとじっくりと彼らの演技を見たかったですね。そう思わせるからこそ、演技派なのかな。え?肝心のマツジュンはどうなのかって?それはもちろんステキでしたよ。汚い格好で髭もじゃの容姿でも、やはり美しいことは隠せないですわね。最後まで汚い格好だったのは、ちょっと残念だけど。1度でいいからこざっぱりした武蔵を見てみたかったですね~。(笑)高嶋兄のシーンが、意味もなくモタモタしていたと感じました。雪姫一行が関所を通ろうとするときの苦労はよくわかるのですが、高嶋兄演ずる本状久之進が男だと勘違いして雪姫を小姓に欲しがり、今度は女だと言われ、あわてるシーン、あれだけ多くの時間を費やす意味がわかりませんでした。あと残念だったのは雪姫役の長澤まさみ嬢かな。容姿は凛としていてイイのですが、いかんせん台詞回しがどうも・・・。今まで姫様として家来たちにかしずかれていたけれど、男装し庶民の格好で追っ手をまくんですが、その戸惑いがあまり伝わってこなかったです。それから今までの自分の生活に疑問を持ち、庶民の苦しみを知ってからは、君主としての自分の存在意義も考えるんですが、雪姫が深く考える部分が見えてこなくて、残念でした。それから私が危惧していたのは、武蔵と雪姫がラブラブになったら・・・ということだったのですが、(これはファン心理というもので、作品内容とは関係ないんですけど)この部分はあっさりしすぎていて、かえって肩透かしをくらったようでした。もちろん、戦国時代という設定ですから、身分の違いは決定的で、武蔵と雪姫が結婚できるとは全く思っていなかったのですが、どこまでの恋愛にするんだろう~?という心配があったんですね。(笑)結果は、淡い、淡すぎる、恋という名で呼ぶことすら出来ないような想いだけだったんですが、雪姫のほうが打算的に感じられて、ラストの武蔵がなんだか哀れでした。もちろん身を引くのは武蔵の心意気なのですが、雪姫のほうは、いやにあっさりと想いを断ったんだなと感じました。と思っていたら、映画のパンフに長澤嬢のインタが載っていて、雪姫の武蔵への想いはどのようなものだったか答えていました。それによると彼女の解釈は、武蔵ほど雪姫は彼のことを想っていなくて、信頼はしているけれど、通常の恋愛感情とは違う・・・というものでした。うう、それだったら命をかけて雪姫を助け出した武蔵は哀れではないですかぁ~?武蔵は一緒に逃げようとまで思っていたし、命をかけて敵の中に飛び込んでいったのに。それでは、なんですか?雪姫は武蔵たちを利用したってことですか?できれば雪姫を武蔵を心から愛し、それでもお家復興のために自分の気持ちを抑えて、君主として生きることを選ぶ・・・そんな凛とした、それでいて武蔵を愛する女でもある雪姫を見たかったです。そんなこんなで、確かにエンターティメント性の高い娯楽作品ではありましたが、もう少し登場人物の感情の動きが繊細で深いものがあれば、もっと良かったと思いました。(主題歌もとってつけたようで、映画にそぐわないような印象を受けました)1回見れば充分かな。ごめん、潤くん!「花より男子F」も見るから!←すでに前売り券購入済
2008/06/08
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珍しく地上波で映画を、しかもハリウッドものを見ました。この「コンスタンティン」は、ロードショー中に予告を見て、興味を持った作品なんですよね。映画館には見に行かないし、DVDレンタルもしないけれど、TVで放送されるなら見るかも・・・という感じ。早々に家事を済ませ、21時にTVの前へ。これも珍しい・・・。いつもは何か用事をしながらの視聴なのですが。おかげでじっくり見ることが出来ましたが、予想よりも怖くなく(私はホラーが大の苦手)悪魔や地獄の描写もCGを多用していたので、恐怖感もあまりなかったです。よりリアルに表現できるCGの方が、人間が演じる悪魔や亡者よりも怖くないとは皮肉です。私自身、すでにCG慣れしているのかもしれません。<ストーリー>生まれつき悪魔や天使を見ることが出来る特殊能力の持ち主ジョン・コンスタンティンは、人間界にやってきた悪魔達を地獄に送り返す仕事をしている。20年前自殺をしかけたことで、天国には行けないことが決まっている。(と、天使ガブリエルが言っている)コンスタンティンが、いつものように悪魔祓いをしていると、今まで感じたことのない不穏な空気を感じた。地獄と天国の間の微妙なバランスが崩れかけているようなのだ。同じ頃、双子の妹イザベルの自殺に不審さを感じた女刑事アンジェラが、コンスタンティンのところにやってくる。コンスタンティンと同じ能力を持っていたイザベルの死の原因を探るべく、コンスタンティンとアンジェラは悪魔に戦いを挑む。(以下ネタバレあり、注意)こういうキリスト教がらみのストーリーは、宗教が生活の中に染みこんでいない日本人の私としては、理解しがたい部分があります。自殺者は教会で弔ってもらえないとか、十字架をつけると聖水になるとか。しかしこの作品を見ながら感じたのは、キリスト教徒は神を信じ、悪魔を恐れるという感情を、日常生活の中でごく自然に持ち続けているんだなということです。だからこのような作品が生み出されているんでしょうね。悪魔、天使、堕天使、地獄、天国・・・・などを作品の中で見ていると、思い出したのは、映画「ドグマ」この映画もキリスト教を描いた作品なのですが、こちらはコメディタッチです。公開当時は物議をかもしだしたそうですが、監督は敬虔なキリスト教徒だと主張しています。キリスト教徒ではない私が見ると、そんなに目くじらを立てるような内容ではないと思うのですが、当人達にとっては神への冒涜だと感じるのでしょうか。(ま、神は女性だったとか、キリストには妻がいたなどという内容ですからね・・・。なんとなく「ダ・ヴィンチ・コード」を思い出しますね)さて、「コンスタンティン」ですが、神を信じないコンスタンティンが、悪魔の息子が人間界にやってくるのを阻止しようと、自らが地獄に堕ちるのを覚悟で再度自殺を図ります。悪魔との取引きで、地獄界にいるイザベルを天国へ送ってもらい、自分は悪魔に手を引かれて地獄へと向かうのですが・・・・。思ったとおり、そこに天国から一筋の光が差してきます。自己犠牲の精神により、人間界を救ったコンスタンティンを、神は許したのです。しかし怒り狂った悪魔によって、天国行きを邪魔され(そんなことが出来るんですね。私は悪魔より神の力のほうが強いと思っていたのですが)再び人間界で生きることになります。あ~、辛そう。まるで続編が出来るような終わり方でしたね。続編が出来たら、またTV放送を待ちます。
2008/05/25
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ストーリーマドリッドに住むシングルマザーのマヌエラは、最愛の一人息子エステバンを交通事故で失った。悲嘆にくれるが、息子の死を、別れた夫に伝えるため、バルセロナに向かう。夫の行方を探す過程で、旧友に再会し、エステバンが死ぬきっかけとなった舞台女優とも出会う。妊娠した若い修道女とも知り合い、彼女がエイズ感染者と知りながら同居を決める。さまざまな出会いを通して、マヌエラは生きる力を蘇らせていくのだが・・・。登場人物がそれぞれ個性的で、自分の生き方を貫いているのが見事。主人公マヌエラの旧友は、豊胸手術をした男性で、女装をしています。男性でありながら、見た目は女性であり、マヌエラのかけがえのない友人なのです。この作品では性の違いが一体何であるかを問いかけています。女性と男性の違いは、子どもを産むか産まないかだけなのでしょうか。自分の子どもとは、自らが産んだ子だけを指すのでしょうか。性について、家族について、力強く生きることについて、深く考えさせられる作品です。1999年 スペイン監督・脚本 ペドロ・アルモドバル出演 セシリア・ロス マリサ・バレデス第72回アカデミー賞外国映画賞1999年年 カンヌ国際映画祭 最優秀監督賞受賞
2008/05/16
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春休み中の子ども達にせがまれて、映画「クロサギ」を見に行ってきました。映画館で映画を見るのって、久しぶりです~。でも朝1番の時間を見たので、ギリギリに映画館に駆け込んでしまいましたけど。まず本編が始まる前に、これから封切の映画の予告編が流れたのですが、マツジュン大好きな私にとって、美味しすぎる時間でした。「花より男子F」と「隠し砦の三悪人」両方の予告が見られました~♪一方はセレブな潤クン、他方はワイルドな潤クン。どちらも捨てがたいわぁ~。ちょっぴりハイテンションになったところで、映画「クロサギ」が始まります。いきなり山Pのアップにドキッ。ドラマの黒崎もステキだったけど、映画もコスプレ満載で目の保養になりました。(笑)ストーリーは、詐欺師だけを狙う詐欺師「クロサギ」の黒崎(しゃれみたい?)が、シロサギの男、石垣を陥れようとする話なんですが、そこに、以前石垣にだまされたさくらという女性などが絡んでくるんですよね。黒崎の情報源でもある詐欺師界のドン桂木との関係もありそうで、ドラマよりも人間関係が少々複雑になっていました。ただ、ドラマの拡大版という印象は否めず、「クロサギSP 2時間拡大版」という感じでした。人間って、こんなにたやすくだまされるんですね。レイコという元会社社長が、実印サギにあって、全財産を石垣に騙し取られるんですが、実印って、人から簡単にもらうものなんでしょうかね。ありえない・・・と思ってしまいました。ダイヤモンドがはめ込まれた、あんな悪趣味な実印を、自分の大切な会社の実印にするかな~?また黒埼が石垣に近づくんですが、最初はIT系青年実業家として、次はPCメーカーの会社員として、変装しているんですが、顔の形や声でばれないんでしょうか?一応氷柱で試してみて、ばれなかったので石垣の所に行くんですが、もっと変えなくていいのかな~?って思ってしまいました。一般人相手なら、いいかもしれないけれど、相手はシロサギなので、いつ見破られるのかヒヤヒヤしながら見てました。(笑)暴力団も、もっと怖いんでしょうね。石垣を脅している目の前に黒崎がいるのに、彼には指一本も触れないのって、なぜ?あんな場面を他の人間に見られたら、ともにあの世行きなんじゃないんでしょうか?しかも石垣が殺されなかったし・・・。なんだか、もう少し登場人物の心理描写を描いてくれたらよかったな~とも思いました。黒崎は自分のために死人が出たことで苦しむし、桂木もいろいろな謎かけをして、ある意味黒崎に自分を託すようなことをしますが、いまいち芝居がかっていると思ったんですよね。桂木のやることって唐突過ぎるというか・・・。あの舞台でのやりとりなど。「クロサギ」を見ての教訓は、楽して大金を得ようとするのは、ムリだと肝に銘じた方がイイということ。見なくても、当たり前のことだけど。ドラマ「クロサギ」を子どもたちと見ているときも、「お金が欲しいなら、額に汗して働きなさい。それで手に入れなさい。または節約して貯めなさい。楽して大金を手に入れようとするから、だまされるの。」と口を酸っぱくして言っていたんですが、さてわかってくれたでしょうか。ま、私は映画でも山Pのホテルボーイ姿、警備員姿、「パイレーツ・オブ・カリビアン」姿(これ、最後まで山Pってわからなくて、パンフを見て気づいた鈍な私)、チンピラな兄ちゃん姿など、いろいろなコスプレ山Pが見られたから、眼福ってところだけど。(笑)特にホテルボーイ&警備員の制服姿に萌え~♪でした。(笑)映画「クロサギ」公式サイトはこちら
2008/03/31
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さてさて、昨日の日記でも少し触れましたが、韓国と日本のドラマや映画の違いについて、私なりに感じたことを書いてみようと思います。ちょうど最近「フライ,ダディ,フライ」を見たところなんですよ。で、韓国版「フライ・ダディ」と日本版「フライ,ダディ,フライ」を見て、違うと感じたところなどをお話しますね。これは原作が金城一紀で、2005年に日本で映画化され、2006年に韓国でリメイクされました。韓国版は映画館でもDVDでも見たのですが、日本版は最近ようやくDVDで見ました。先にリメイクされた韓国版を見たんですけれど、原作は同じですが、やはり演出に違いがあると感じましたね。わかりやすさ、登場人物に感情移入しやすいのは韓国版でした。主人公のチャン・ガビル(イ・ムンシク)が愛娘のために自分を鍛える過程が、とてもよくわかったし、(確かイ・ムンシク自体が撮影中に8キロ近いダイエットをしたとか)彼を指導するコ・スンソク(イ・ジュンギ)の孤独感がリアルに伝わってきました。スンソクは幼い頃暴漢に襲われた事があり、そのときの恐怖感から今でも暴漢の「赤い目」を夢に見ていました。それほど心に傷を負っていたのです。画面いっぱいに大写しにされる獣のような「赤い目」を見る観客もまた、スンソク同様恐怖感に捕らわれます。しかし日本版「フライ,ダディ,フライ」はそのような場面がありません。設定としてパク・スンシン(岡田准一)“これが韓国版のコ・スンソクにあたります”も幼い頃暴漢に襲われたことになっていますが、恐怖感の象徴である赤い目は出てきませんでした。韓国版のチャン・ガビルに当たる主人公は、日本版では鈴木一(堤真一)ですが、彼は前述のようなダイエットはしないので、スレンダーなまま鍛えているという感じで、見た目でも鍛えたということがわかる韓国版に比べ、いまいちインパクトに欠けましたね。本当に彼は強くなっているんだろうか?という疑問が拭えません。鍛えたということが目に見えるシーンは、日韓どちらも主人公がバスと競い合うところですね。以前は疲れた顔でバスに乗って、家路を急いでいたのに、鍛えるようになってからは、毎晩バスと一緒に走り出し、なんとかバスに勝とうとします。最初はもちろん易々とバスに置いていかれるのですが、それがだんだんと競り合うようになり、最後は最寄のバス停までバスより早く走り抜けるようになります。そのバスとの競争シーンも、日本と韓国では表現方法が異なりましたね。韓国版では、乗客のプライバシーには触れずに、ただ主人公を見守る人たちとして描いていましたが、日本版は個々の乗客の性格や置かれている立場までていねいに描き、そんな彼らが一生懸命にバスと追いかけっこをしている主人公にエールを送る様子をドラマチックに表現しています。それはそれで面白く、ドラマに厚みを持たせているとは思うのですが、私個人の好みで言えば、韓国版のようにさらりと表現している方が、主人公とスンソクの関係をより際立たせるような気がしました。全体的に、日本版は哲学的とでもいうのでしょうか、さらりとした表現をし、韓国版は観客の情に訴えるような、エンターティメント性を重視した内容になっていると感じました。ただ日本版でのスンシンは、在日韓国人という設定で、韓国版のスンソクとは立場が違うので、そのあたりが彼の抱える孤独への理解の一助になるんでしょうか。
2008/03/11
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前から見たいと思っていたんですよね。レンタルしようかな~?と思っていたのですが、TVでオンエアしてくれて、うれしかったです~。ちょうど昨年の夏、初めての裁判傍聴に行ったので、そのときのことを思い出しながら、夢中になって見てしまいました。(それについての日記はこちら)作品自体は、とてもよく出来ていました。一人の平凡な青年が、あれよあれよと言う間に痴漢に仕立て上げられていく様子がよくわかりました。このような冤罪事件が、もしかしたら日常的に行われているのでは・・・?と疑いたくなるほどです。警察官や検察官の捜査がいかに強制的に自白を促しているか、「疑わしきは罰せず」ではなく、「確証がなければ、すべてクロ」という捜査。被害者や周りの人間の感情による事実誤認。そして公平であるはずの裁判官の、自分の出世のための保身的な態度。今まで私は、警察、検察、裁判所などでは公平な捜査や裁判が行われていると信じて過ごしてきました。しかしこの映画を見て、「本当にそうなのだろうか?」と不安が頭をもたげてきました。真実を見極められ、常に公正に人を裁けることが、人間に本当にできるのでしょうか?しかし見終わってから時間が経ってくると、また別の考えが出てきました。それは、あの映画はドキュメンタリーではなく、結局フィクションなのだということです。もちろん脚本を書くときや、撮影をするときには、緻密な取材をしたでしょう。冤罪事件が実際に存在するわけですから、内容がフィクションだけという訳でもないと思います。でもあの映画の登場人物たち、事件、捜査方法、裁判の内容などは「事実」ではないのです。視聴者である私は、事件の真実を知った上で、警察の捜査や裁判の経過を見ていました。だから「それはおかしい!彼は無実なのよ!」と思うことができたのです。もし何もわからないまま、捜査や裁判を見ていたら、「一体被疑者、被害者、どっちが本当のことを言っているの?」と思ったことでしょう。このようなことを忘れて、映画そのものを信じ込んでしまう危険性を感じました。無実の罪だとわかっている主人公の気持ちに共感したままだと、刑事も検察官も、被害者の女子高校生にまで憤りを感じてしまうのです。もちろん周防監督はそんなことではなく、今の日本の捜査方法や裁判制度について、疑問を投げかけているのでしょう。それでも、何も考えずに、ただ映画の内容だけを鵜呑みにして見てしまっていたら、警察や検察、或いは裁判官への不信感が募るだけになってしまいます。映画のように偏った捜査をする刑事や検察官、そして偏った判決を出す裁判官がいるかもしれませんが、一生懸命に公正にしようとしている刑事・検察官・裁判官が大多数だと思いたいです。痴漢の被害者にしても、卑劣な行為のおかげでどれだけ心や体に大きな傷を負っているか知れません。映画でも少し触れられていましたが、痴漢にあってから、電車に乗れなくなったという女性も実際にいるとききます。そのようなことをふまえ、来年から施行される予定の裁判員制度をもっと、国民1人1人が熟知しなければならないな~と感じました。「それでもボクはやってない」は、とてもよくできた作品です。裁判制度について、数多くの人の関心を集めたことは、良かったと思います。だからこそ、視聴者は一方的な考えに偏ることなく、あの映画自体はフィクションだということを理解したうえで、もう一度日本の裁判制度や裁判員制度について、情報を集めて、じっくりと自分の意見を考えなければいけませんよね。私自身の自戒も含めて。「それでもボクはやってない」公式HPはこちら。
2008/03/02
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久しぶりにレンタルして映画を見ました。最近はWOWOWや衛星劇場で、どんどん新しい作品がオンエアされるんですけどね。今回借りたのは、懐かしのレスリー・チャンの映画です。しかも彼のごく初期の作品。私はまったく知らなかったんですけど、1982年に香港で制作され、レスリーが第2回香港電影金像奨助演男優賞にノミネートされたらしいです。ストーリールイスは裕福な家庭で育ったが、DJをしていた母はすでに亡く、若い継母と同居していた。彼の従兄妹キャシーが日本留学から帰国し、日本人の恋人の話をする。しかしキャシーは、市営プールで監視員をしていたトムと知り合い、付き合うことにする。自由奔放なキャシーと強引で純粋なトムは、どんどん惹かれあっていった。ルイスのほうは、喫茶店で知り合ったトマトという女性を、恋人のところに送っていく。しかし恋人にひどい振られかたをしたトマトを見て、彼女を慰めるうちに、恋に落ちる。ルイスとキャシーはお互いの恋人と島でバカンスを楽しむが、キャシーの日本人の恋人がやってくる。そこへ彼を追いかけてきた怪しい人物が・・・。まだ若いレスリーが可愛らしくて、劇中「女の子みたい」と言われるシーンで、『ほんと、可愛いわよね~』と強く頷きながら見てしまいました。いつの時期のレスリーも魅力的です。ストーリーは、最初よくわからなかったんですが、まるで「欲望の翼」みたいに、登場人物たちの恋や青春模様を、観客が味わいながら見ていればいいのかもしれない・・・と思いながら見ていました。かなり昔の作品なので、ファッションや風俗など、今から見れば滑稽だったり、古く感じる部分もありますが、それ以上に当時にすればスタイリッシュな演出なんだろうな~と思うところがたくさんありました。男が船の上で立っていて、隣の女と話をしているシーンの次は、いきなり彼が甲板に寝転んで話をしているんですよね。彼が座るなり、横になろうとするシーンを間に入れていたら、違和感がないのですが、立ち姿の次に寝姿となる編集に、斬新さを感じました。同様に編集したシーンが何度か出てきました。ただ苦笑したのは、日本人が出てくるところ。彼らの言葉が、まるっきりカタコトで、明らかに香港人を起用していると丸わかり。あとイベント会場で甲冑や刀を展示しているのですが、甲冑の顔の部分に血のような赤い模様?のある白い生地をかぶせていました。あれはナンなのでしょう。またキャシーの日本人の恋人は、実は連合赤軍の1人で(!)、彼は組織から脱退して香港に逃れてきたのでした。そこへ日本から追っ手がやってきて、チャンバラを始めるのです。お互いに刀を持って切りかかるのですが、赤軍の追っ手が、やたらと「切腹、切腹」といって、組織を裏切った彼に切腹を迫るのです。戦国時代の武士じゃないんだから、1980年代に切腹なんて存在しませんよ~。でもちゃんと「介錯」なんて言っているんですよね。でも介錯を素人のルイスにやらせようとするのはどうでしょう。介錯をするのは、剣の腕に自信がある人じゃないとひどいことになるらしいですよ。しっかし、日本赤軍がチャンバラをするなんて、突拍子もない設定でした。リゾート気分で、香港富裕層の若者達の恋模様を見ていたら、ラストで驚きの展開でした。ラストシーンも衝撃的だし。というか、映画を見終わって、冒頭のシーンを思い出すことも困難なほど、最初と最後の雰囲気が違っていましたね。かなり斬新な作品でした。レスリーはやっぱりステキだったけど。(笑)
2008/01/28
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もう4日も日記更新していないんですね~。(汗)もちろんいつものようにバタバタしているんですが、それにプラスして、今韓国ドラマを一気に見ている最中なんです。以前日記でも紹介しましたが、今月WOWOWで「エア・シティ」が一挙オンエアされているんですよね。毎日2話ずつ。年末に向けてHDDを空けておかなくてはいけないので、毎日録画したものを必死に見ています。あと3話を残すところまできました。「エア・シティ」についての感想は、全部視聴してからということで。(WOWOWでは2月8日からジュンギくんの「犬とオオカミの時間」を放送するらしいので、とっても楽しみにしています。ネット視聴だったので、日本語字幕つきが見たかったんです~。)さて、今日の本題に入りましょう。(って、おおげさだけど)ちょっと調べ物をしていて、明るい選挙推進協会のHPを見ていると、なんと河瀬直美監督の作品がアップされていて、驚きました。これは平成17年度制作で、インターネットムービーとしてyahoo!動画などで配信されたとか。全く知りませんでした。It's your CHOICE!というサイトにもアップされています。ここは選挙について若者とコミュニケーションするサイトらしく、選挙に行かない若者たちのために、5人の映画監督がメガホンを取り、5つのオムニバス映画を制作し、このサイトにアップしていました。(過去形にしたのは、現在河瀬監督の作品しか見られないからです。)河瀬監督の他に、飯田譲治監督、林海象監督、金子修介監督、山田英治監督など、日本映画界を代表する才能ばかり。河瀬監督以外の作品も見てみたかったです!特に林海象監督。以前彼の作品が大好きで、よく映画館に見に行っていましたから。でも河瀬監督の作品がまだ見られてよかった・・・。いつまで見られるんでしょう。今は時間がなくて見られないので、時間ができればすぐに見ておかないと・・・。メイキングもあるようなので、楽しみです。
2007/12/20
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今日は一気に見てしまった嵐主演の映画「ピカ☆☆ンチ ダブル」についての感想を。「ピカ☆ンチ」を見て、一気に彼らの世界に浸ってしまい、続けて「ピカ☆☆ンチ ダブル」を見たんですが、1作目でアメリカに旅立ってしまったタクマが3年後に再び八塩団地に戻ってくるところから、お話は始まります。青春真っ只中の高校3年生だった彼らが、どのようにして社会に出て行ったのか、また大人の世界でどんな風に暮らしているのか・・・少しずつ見えてきます。折りしも、懐かしの八塩団地は再開発の波に襲われようとしています。六本木ヒルズのような「八塩ヒルズ」(笑)建設を推進する自治会派とそれを阻止しようとする住民一派「八塩ピース」が日夜小競り合いを繰り返しています。ガウス八塩店で働いているハルも、「八塩ピース」の一員として活動をしています。シュンは編み物学校に通い、今は教える立場に。ボンはさすらいの板前修業に出たまま行方不明。バリバリのツッパリだった忠にいたっては、サラサラヘアで白い歯も眩しく、家電量販店で働く一児の父になっているのです!新開発の問題を絡めながら、物語の核は、あの5人がどのような大人になったのか・・・あるいはなっていないのかを検証していきます。家庭を持つようになり、背負うものができた忠が、出世のために屋形船に乗らなくてはいけなくなります。苦渋の決断をする忠の姿に、涙が出てきてしまいました。「オレは絶対にあの船には乗らねぇ」そう言っていたあの頃。でも当時は、背負うものは何もなかったんです。守るべきものが増え、安全な道を選択していくのが大人・・・。まっすぐに生きてさえいればよかった、あの頃とはもう状況が違う・・・のでしょうか。私は思いました。「あんな船に乗って、接待をしなければいけないことが、間違っている」と。根回し、接待、ワイロ・・・そのようなものを必要としなければいけない社会のほうが間違っているんだと。きっと私もまだ青いんでしょう。彼らのように。でも屋形船に象徴されるような大人の醜い部分を飲み込んでまで、大人になりたくないですね。それを大人というのならば。でも忠は、再開発問題に巻き込まれた仲間を助けるために、再びあの頃の瞳に戻ります。板前修業がなかなかうまくいかず、だしのとり方でつまずいているボンも、師匠に「だしには生き方が出る」と教えられ、技術ではなく、心で味を取ることに気づきます。タクマも、ハルやだまされている地元住民の眼を覚ますために、みんなの心の歌「道」を熱唱します。ニノのその歌声のステキだったこと・・・。まさに癒しの歌声。胸がじ~んとしました。みんなの心が一つになって、彼らはまた一歩ステキな大人に近づいていきます。カリフォルニアに戻るというタクマを見送りにきた4人は、ハルからそれぞれノートを受け取ります。表紙には「LIFE IS HARD だから HAPPY」の文字。1作目のラストで、アメリカに行くタクマが団地にかかる橋の裏に書いた「LIFE IS HARD だけど HAPPY」の文字と少し違っているのですが、この違いがもう最高にステキで、感動しまくりました。「だけどHAPPY」も、前を向いている感じでよかったけど、「だからHAPPY」というのは、もはや哲学的ですらあると思うんですよね。この2つの言葉を見たときに思い出したのは、イタリア映画の名作「LIFE IS BEAUTIFUL(ライフ イズ ビューティフル)」いえ、確かに単語が似ていますけど、タイトルにこめられた意味が、とっても似ているような気がするんですよね。人生楽しいことばかりではなくて、いやもしかしたら辛いことのほうが多いかもしれない。でもだからこそ、より多くの人生の滋味を味わうことができる。そんなことを感じながら、「ピカ☆☆ンチ ダブル」の5人の成長を見守りました。映画の主題歌「PIKA☆☆NCHI DOUBLE」の歌詞も味わい深いです。映画を見た後聞いたら、涙がこぼれてしまいました。歌詞全部イイんんですが、特に感動したのは、以下。眩しすぎる時間を大分過ぎてしまった大人にとって、心にヒリヒリと染みてくる歌詞です。「終わったはずの夢がまだ 僕らの背中に迫る 刻まれた想い出が騒ぎ出す限られた愛と時間を 両手に抱きしめる せめて今日だけは消えないで」(おまけ)こんなの見つけました。「ピカンチ占い」
2007/11/20
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レンタルビデオ屋で見つけて借りてきました。実は内容には、あまり期待していなかったんですよね。翔クンは、すっごいリーゼント姿のヤンキー役だし、潤クンはなんだかひ弱なボンボンって感じだし・・・・。『相葉ちゃんとニノは、まあ見られるかな~』な~んて軽い気持ちで観始めたんですけど、これが脳天直撃に面白く感動しちゃいました。原案はV6の井ノ原くんだそうで、平凡な男子高校生たちの日常を描いているのですが、なぜか惹きつけられるんですよね。なぜなんだろう・・・。まず、「ピカ☆ンチ」ではサブタイトルの「LIFE IS HARD だけど HAPPY」に『そうだよね~』と納得しながら、平凡な高校生 岡野瞬 シュン(相葉雅紀)の日常を追体験します。その中で、彼の友人たちが次々と登場してきて、そのキャラの濃さにぐんぐん視聴者は「八塩団地」に吸い込まれていき、まるで自分の第何号棟かに住んでいるような気分にさせられるんです。貴田春彦 ハル(大野智)・・・気が弱く、八塩団地でもっともツイてない男の子。団地からの投身自殺を目撃する回数が多く、その気弱な雰囲気からキャッチセールスに引っかかりやすい。新聞配達の途中で見初めた女の子がいるが、なぜかその子の母親に気に入られてしまった。鴨川忠 チュウ(櫻井翔)・・・暴走族鮫川一家の現総長。原チャリで八塩団地内をぶっ飛ばしている。金髪リーゼントに特攻服姿で決めている。恩田琢磨 タクマ(二宮和也)・・・スケボーが大好きな少年。八塩団地の中の貧乏棟に両親と住んでいる。クールかつ大胆な性格で、5人のリーダー格。物語の後半で、サラ金に借金をした父親に愛想をつかした母親が出て行き、肉体労働を始めた父親と2人暮らしになるのだが、琢磨にさらなる不幸が襲い掛かる。涙なしには見られない。二葉廉太郎 ボン(松本潤)・・・八塩団地内の高級所得者が住んでいる第33棟に住んでいるが、誰にでも公平に接する気のイイ奴。父親の経営するレストランの関係から、ベトナム人家庭にホームステイ?する。男の子が観たら、登場する5人の高校生の中で、一番自分のキャラに近い人物になった気分になってしまうかも。女の私の場合は、好きなタイプの男の子を目で追うような感覚で見ていたんだけど。(笑)大人の世界の醜い部分の象徴・・・屋形船での宴会に興じるおっさんたちを見て、「オレは絶対にあの船には乗らねぇ」と5人が言い、屋形船に向かってズボンを下ろし、「おしりペンペン」って叫ぶところは、笑いながらも、今大人の世界に生きている私に対して、「で、お前はどうなの?」と聞かれているようで、ちょっとドキッとしましたね。物語は瞬を中心に展開していくんですけど、それぞれのエピソードが可愛らしくて、微笑ましく感じました。原宿で一目ぼれした女の子みくに、どきどきしながら電話をし、デートの約束を取り付け・・・。デートコースを考え、みくに翻弄されながらも、青春を謳歌している瞬を相葉くんは伸び伸びと気持ちよく演じていましたね。とても好感が持てました。ツッパっている忠も、実はとても優しくイイ奴で、頼りないハルもボンも、クールなタクマもお互いを信頼して、助け合っている姿に、じ~んとしました。嵐のみんな、とってもいい味だした演技をしています。「LIFE IS HARD だけど HAPPY」という言葉が胸に刻まれ、私が遠い昔に忘れてしまっていた、ちょっぴり切なく甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれた作品でした。続編「ピカ☆☆ンチ ダブル~LIFE IS HARD だから HAPPY」も一緒にレンタルしたので、その感想もまた・・・。
2007/11/19
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韓国版「イルマーレ」は数年前に見てお気に入りの作品になったんですが、そのハリウッド・リメイク版「イルマーレ」も、ちょっと見てみたかったんですよね。参考のために。(笑)キアヌ、かっこいいし。で、TVで放送していたのを録画して見たんですけど・・・いまいちでしたね。だいたいのシチュエーションは同じなんですが、なんだか違和感があるんですよね。以下ネタバレあり注意まず大切な物語の舞台であるイルマーレという名前の湖畔の家が、韓国版に比べてみすぼらしいんです。家の中央に変な中庭のようなものがあり、電動?でガラス張りの屋根が開くんですが、かなり滑稽です。いくら初期の作品とはいえ、高名な建築家のものとは到底思えません。韓国版のほうが、もうちょっとロマンチックなつくりでしたね。家の前の木にイルミネーションが光ったりして、風景も美しかったですし。それに韓国版のイルマーレは湖畔ではなく、海沿いに建っていましたよね?あと、1番違和感を感じたのは、ヒロイン・ケイトの性格。彼女は医者という設定でした。韓国版の「イルマーレ」では、ヒロイン・ウンジュは声優。ウンジュが住み慣れたイルマーレを去るときに、次の住人への手紙をポストに入れておくのは、去っていった恋人からの連絡があるかもしれないという、かすかな望みのためなんです。でもケイトの場合は、そんな設定ではなく、ただ「郵便局に住所変更届を出したけど、きっと配達ミスがあるわ。」だって。どう考えても韓国版のほうがロマンチックで心に染みます。また2年前のケイトの忘れ物を、キアヌ演じるアレックスが駅に取りに行く場面は、なんと何も知らない2年前のケイトが、当時の恋人と抱き合いながら別れを惜しんでいるではないですか!ちょっと引いてしまいました。韓国版では、ウンジュの忘れたカセットレコーダを、イルマーレの住人であるソンヒョンが時空を超えるイルマーレのポストに入れて、返してあげるんです。自分の声を録音して。イイですね~。それからケイトは、2年前付き合っていて今は別れた恋人と再会し、彼が当時のケイトの浮気をなじると、「成り行きでキスをしただけ」と逆ギレするんですよね。成り行きでキスするんかい!?と突っ込んでしまいました。しかも後から、その「成り行きでキス」した相手が、実は2年前に出会っていたアレックスだったことが判明。それを知ったケイトは「どうして言ってくれなかったの?あなたに惹かれはじめていたのに」と言いだす始末。だって、2年前にケイトとアレックスが出会ったのは、彼女の誕生パーティ会場であり、彼女の恋人が主催していたんですから、アレックスが「実は2年後のあなたと僕は文通しているんです」なんて言えるわけないでしょう!恋人には成り行きでしたキスだった言っているんだし。あ~、しかも交通事故にあったアレックスの救命活動をしながら、ど~して自分の誕生パーティでキスをした相手だと気づかないかな?惹かれはじめていたって言ってなかったっけ?彼女にとって、キスってそんなものなのか・・・。アレックスと会うことを諦めたケイトが、恋人とよりを戻し、それなりに仲良く暮らしていたのに、アレックスの死を知って動揺し、2年前の彼に知らせにいくんです。結局ケイトはアレックスと再会して、イルマーレの前でキスをしてお互いの気持ちを確かめて、2人はハッピーな気分なんですけど、何も知らないケイトの恋人はどうなるんでしょうか?彼は少々ヤキモチ焼きなところがありますが、彼女への不貞行為は皆無なわけですよ。それなのにきっとケイトは、あっさりとふっちゃうんでしょうね。何て不実な女性なんでしょう。振られた恋人を思い続けるウンジュちゃんのほうが、よっぽどかわいいです。ハリウッド版「イルマーレ」は、韓国版に比べて大人のラブストーリーに仕上がっているといわれていましたが、本当にそうなんでしょうかね?大人の恋ってのは、あんなに身勝手なモンなんでしょうか。韓国版のほうが、ロマンチックで切なくて、セリフが美しくて、数倍ステキな作品だったと感じました。
2007/11/09
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来年は嵐関係での楽しみがたくさんありそうです~!うれしい♪特に最近は潤クンのファンなんですけど、その潤クンが来年映画2本に主演するそうなんですよね~。1本目は皆さんご存知の通り夏公開の「花より男子~ファイナル~」で道明寺司役。2本目は黒澤明監督作品「隠し砦の三悪人」のリメーク(来年5月10日公開予定)で、主人公の農民武蔵役。ニュース記事はこちらとこちら。監督が潤クンを起用したのは、「ナイーブな目に野性味を感じた」からだとか。なるほど~。うんうん。嵐コンで「Cry for you」を観た時とか、ドームDVDで黒ラメの衣装を着ている潤クンを見たときなど、「クールでワイルドな役もいいなぁ~」と思っていたのですが、(吸血鬼役も良さそう!壊)まさしくうってつけですねぇ~。(今回はクールではないようですが)しかも脚色は劇団☆新感線の作家・中島かずき氏が担当らしいですよ~。うわ~、新感線の舞台はスピード感あふれていて、とても面白いので、めちゃくちゃ楽しみです!ちなみに主人公に思いをよせる雪姫には長澤まさみ。黒澤オリジナル作品での主人公は侍の六郎太で、今回は阿部寛が演じるそうです。ビジュアル的にも良さそう。眼福、眼福。撮影開始は11月1日から。もうすぐですね。潤クンには頑張って欲しいものです。でも来年の嵐コンはいつあるのかなぁ~?早く生でも観たいんだけど・・・。←贅沢者
2007/10/29
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ドラマ「花より男子」をイッキに見て、その後レンタルしたのは、映画「僕は妹に恋をする」松潤が、兄妹の禁断の恋をどう演じるのか、興味津々でした。見終わった今でも松潤演じる頼の切ない気持ちが、私の心に染み込んでいて、まだ苦しい気分です。<ストーリー>頼と郁は双子の兄妹。幼い頃、遊んでいた草原で頼にシロツメグサの指輪をもらい、「郁は僕のお嫁さんだよ」といってもらった言葉を郁は今でも覚えている。彼女は勉強ができてカッコイイ頼が大好きなのだ。しかし最近の彼女の心配事は、頼が郁にそっけない態度をとること。頼の親友の矢野に交際を申し込まれた郁だが、頼のことが気になって、なかなか返事をすることが出来ない。そんなある夜、頼は郁の寝顔を見ていて、もう自分の気持ちが抑えられなくなった。彼は郁のことが、ずっと好きだったのだ。郁の手にキスをし、自分の気持ちの高まりが抑えられなくなった頼は、彼女の唇に触れようとした。そのとき郁が目を覚ます。驚く郁に頼は、「ずっと好きだった。僕か他の男か選んで。」と言う。とまどう郁。しかし彼女は頼の気持ちを受け入れ、この夜2人は結ばれる。その日から、頼の苦悩の日々が始まった。禁断の恋に身をやつした2人の行きつく先は・・・?人を好きになると、幸せな気分になることもあるけれど、それ以上に辛く苦しい気持ちにもなりますよね。恋した相手が、好きになってはいけない人だったら、よけいに。頼のその気持ちが、見ている私にもどんどん伝わってきて、見ながら辛くて辛くて仕方がありませんでした。本当ならば、ずっと好きだった人と結ばれてからの時間は、幸せで仕方がないはず。それなのに頼にとって幸せの始まりが、そのまま彼にとって苦しみの時間のスタートになってしまったんですよね。自分だけでなく、最愛の人郁にまでその苦しみの時間を与えてしまった苦悩。人目を避けて放課後の理科室で抱き合う2人。禁断の恋は、スリリングさをも併せ持っていて、その甘美な時間を手に入れただけで満足していた頼ですが、その時間をクラスメートの友華に盗み見されていたと知った瞬間から、2人の関係を隠すための努力を始めます。そして友華も矢野も、郁までも傷つけてしまうんですよね。頼と郁の甘いシーンを見てしまった友華もまた頼に好意を寄せていて、郁に付き合って欲しいと申し込んでいた矢野も、実は禁断の想いを持ち続けていたんです。誰も悪くないのに、ただ人を愛しただけなのに、ただそれだけなのに、苦しみは果てしなく覆いかぶさってくるという現実。双子の兄妹なのに、全く似ていない2人なので、「禁断」という雰囲気はあまり感じられず、ただ頼の苦悩が哀れで、『ど~して、好きな人と相思相愛なのに、苦しまなくちゃいけないの!』とちょっと腹が立ってしまいました。(笑)俳優2人が似ていないからこそ、できれば2人が結ばれるまでの生活の部分をもう少し見せてくれていたら、観客は否が応でも「2人は兄妹なんだ」と理解し、頼のその後の苦しみがもっと伝わってくると思ったんですが。そうなるとラストシーンが、もっと共感できるものになったかな。あまりにも頼の苦しみが哀れで、このまま2人、誰も知らないどこか遠くに行って、ひっそりと愛を育みながら生きていって欲しいと思ってしまいましたから・・・。それにしても松潤の制服姿は萌え萌え度バツグンでございました。私の大好きな、ペッタンコのブラウスの胸にストンと落ちるネクタイが、めちゃくちゃセクシーで、ため息をつきながらの鑑賞でした。さりげなくズボンのポケットに両手を入れて立っている姿も、憎いほど絵になりますね~。美しくセクシーな男が苦悩する姿は、凄艶でさえありました。さ、お次は「花より男子 リターンズ」と「きみはペット」を鑑賞したいと思いま~す。
2007/10/06
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お久しぶりです~。PCからの日記の更新は、何日ぶりでしょう~?懐かしいわ~。恒例のイノさん検索で以下の記事を見つけました。「カンヌ・グランプリ『殯の森』が韓国で上映へ」河瀬直美監督の「殯の森」が、9月6日から開催される第8回ソウル映画祭のオープニング作品として上映されるそうです。韓国の観客は、河瀬監督の独特の世界を、どういう風に感じ、観るのか、とても興味があります。どうか盛況でありますように。
2007/08/13
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今年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「殯の森」が、東京や大阪で公開されていますね。ご覧になった方のレビューは、あまり見つからないのですが、興味深いコラムを見つけたので、ご紹介しますね。読売新聞の「エピス倶楽部」というコーナーに掲載されていた「内田樹のうほほいシネクラブ」というコラムです。「カンヌが評価する『作家性』とは」というタイトルで書かれていた内容は、河瀬直美監督の表現する映画の世界を理解するうえで、とても役立つと思われるものでした。以下抜粋します。カンヌ国際映画祭は「作家性の強いフィルムメーカー」を評価します。ですから、本作がカンヌでグランプリを取ったというのは、その作家性が評価されたということを意味します。でも「作家性が強い」というのは具体的にはどういうことなのか、映画を見ながらしばらく考えました。(中略)オーディエンスがどう受け取るかということとは(とりあえず)無関係に、「私はこうしたい」ということが先方にはきっぱりとある。こういう決意溢れるものに対しては、相手が「やりたいこと」をやり終わって「はい、終わりました」と宣言するまでは、黙って身を委ねる、というのが受け手のあるべき態度ではないかと私は思います。その種の作品に対峙するとき、観客は自分の好みとか批評的基準とかいうものを一時的に「かっこに入れる」必要があります。とりあえずしばらくの間は、作家の呼吸や脈動にできるだけ同化するように努力する。だって、そうする以外に作品の「中」に入る手だてがないからです。「作家性のつよい作品」というのはそういうしかたで観客に「身銭を切る」ことを要求する。そういうものだと思います。本作も作家の息づかいや脈拍に同調することが観客には求められます。というか、観客に求められているのはほとんど「それだけ」なんです。映画のリズムと合わせて呼吸しているうちに、だんだん意識がぼんやり霞んできて、足元が崩れるように「あやかし」の世界に沈み込んでゆきます。この甘美な墜落感は間違いなく天才的な作家だけが作り出せるものでしょう。(読売新聞 2007年7月13日より抜粋)大阪のプラネットプラスワンで上映されていた河瀬直美の世界、結局1作品しか見られなくて残念でした。もっといっぱい彼女の初期の作品を見たかったのですが。それでも是枝裕和監督との往復映像書簡が見られて幸せだったけど。この作品も、内田氏が解説している方法で鑑賞するとイイんじゃないかと思いますです~。sachikoさんがお知らせしてくださいました。7月18日の「徹子の部屋」に河瀬直美監督が出演されるそうです。要チェックですね。sachikoさん、お知らせありがとうございました。河瀬監督も、だけど、20日のゲスト國村 隼さんもちょっと見てみたいなぁ~と思っています。「萌の朱雀」で好演されていましたよね~。
2007/07/14
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大阪のPLANET+1(プラネット プラスワン)で公開中の「河瀬直美の世界」に行ってきました。彼女の未公開作品を含む20年間の作品を、公開中なんです。長編ばかりではなく、短編作品もいくつかまとめて、1つのプログラムがほぼ1時間になるように上映されています。どの作品も見てみたかったのですが、時間の都合で毎日通うわけには行きません。その中で1番みたいものを厳選して、見に行きました。A~Iまでのプログラムがあるなかで、私が選んだのはEプロ。なんと大好きな是枝裕和監督と、河瀬直美監督との映像による往復書簡なのです。これは見なくてはなるまいて。地下鉄の駅を出て少々迷いながら(駅から徒歩1分のところだと言うのに!)、小さなビルの前に到着。1階には「太陽ノ塔」というCAFEあり。映画の前後、ここでまったりできます。さて2階の映画館(館というより室と言う感じ)にあがる階段は、1人通るのがやっと。しかも急なので、恐る恐る上りました。座席は横に4席あり、それが9~10列あったので、40席ほどでしょうか。ほんとうにこじんまりとした映画館でした。さて、いよいよ上映です。次回作の予告を見た後、本編が始まりました。まず河瀬直美監督→是枝監督へ。電話をかける音。コール音の後、留守番電話のメッセージが流れます。あ、是枝監督の声だ。河瀬監督が是枝監督へ電話したと言う設定ね。その後、奈良の町の何気ない日常の風景が映し出されます。屋根の上の音符。南天の赤。干し柿。光溢れる、空。ぼそぼそと河瀬監督の声。これらの映像を見ながら思ったのは、人の心はそれぞれ違った素材で出来ているんだな~ということ。そして表現者たちの手段も、それぞれ違った成分で出来ているんだなということ。だから表現者と受け手の間には、それぞれの相性があるんですよね。私の心の素材に対して、河瀬監督の表現手段の成分は、とっても相性がいいみたい。何の違和感もなく、彼女の想いが心にスッと染み込んでくるんです。それが映像であれ、言葉であれ、まるで和紙が雨水を吸い込むように。頭で考えることなく、心にダイレクトに響いてくると言う感じ。「何が」と言葉にすることは難しいけれど、「何かが」私の心に残っていくんですよね。校庭の遊具で雲梯(うんてい)をする子ども。向こう側からも子どもがやってくるけれど、すれ違えなくて、相手は落ちてしまう。河瀬監督の囁く声。彼女の愛を欲する心の声のように聞こえました。次に、河瀬直美監督へ←是枝裕和監督最初から映像とともに、監督の説明が続きます。意外と理屈っぽい人なのかな?東京の町はクリスマス気分。そう1995年の12月です。この年の1月に阪神大震災があったんだよなぁと思いながら、この年の12月、私はどこで何をしていたんだろう?と考えます。そうです、長女を妊娠していました。そのころ是枝監督は、この映像を撮っているんですよね。是枝監督、自分の母校らしきところに行くんですが、カメラを手に持ったまま、すたすた歩くので画面が揺れること、揺れること。すぐ酔ってしまって、気分が悪くなりました。お願い、やめて~。自宅(実家?)マンションのベランダにある夏みかんの木は、自分が高校生の時に種を植えたもの。まだ花も実もつけないけれど、葉っぱはみかんの匂いがするとか。そういう表現に、是枝監督の持ち味の温かさを感じました。それぞれ10分ほどでしょうか?河瀬監督から10×3回、是枝監督からも10×3回の映像による往復書簡がありました。河瀬監督の映像は、どれも感覚的でした。温かな日差しの中、にこにこ笑い、カメラに向かって話しかける無邪気な河瀬監督。今度は友人たちのアップの顔ばかりを続け、自分の名前を呼んでもらいます。「河瀬直美」という人があれば、「直美ちゃ~ん」という人あり、監督の個性に比例するように個性的で面白い友人たちが登場します。それを見ているうちに、ちょっと涙が出てしまいました。なぜだろう。河瀬監督の、愛を欲する気持ちに反応した?それとも友人たちの素朴な温かさに感動した?どちらもかな。せんたくばさみ、洗った手袋、屋根に落ちたせんたくばさみ、やかん、ゆうやけ、空、どの映像も、河瀬監督の生きている世界をリアルに切り取ったものです。でもありきたりでもなく、決して退屈でもない。自分の生きる世界を、心の底から愛している監督の姿勢を感じます。世の中を大きく動かすことからは、程遠いかもしれないかもしれないけれど、でも本当のところ、世の中はこのようなささやかな日常の羅列でしかないんですよね。でもとても大切で愛おしい時間。そんな時間がなければ、人は本当の意味で生きているとは言わないんじゃないかな。そんな風に、河瀬監督の映像書簡は、しっかりと私の胸にも届きましたよ。そして是枝監督からの書簡は・・・。彼の手紙には、とても優しい、誠実な人間らしい感情が見て取れました。表現することの難しさ、見つめ続けることは、その対象へのかかわりになるのか・・・と真面目に考えるところなど、とても好感が持てました。ただ、頭で考えすぎているのかな・・・少々理屈っぽいという印象も。流れる映像も、少々ありきたりで退屈なものもあり。当時すでにTVドキュメンタリーの世界にいた是枝監督なので、商業的な手法が身につきすぎてしまっていたのかもしれません。自分の感じるままの感覚的な表現の河瀬監督とは、本当に対照的でした。でも、是枝監督の人間性に、また惚れちゃった・・・という感じ。(笑)これからも、日本の誇るべき2人の映画監督の作品を、楽しみにしています。(追記)河瀬直美監督TV出演情報『課外授業 ようこそ先輩』のアンコール放送があります。 ~二十歳の同窓会~ 映画監督・河瀬直美<本放送>6月23日(土) AM09:30~09:59 NHK総合テレビ<再放送>6月25日(月) AM00:00~00:29※ NHK教育テレビ 6月28日(木) AM03:15~03:44 NHK BS-2
2007/06/24
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毎月WOWOWやJ-COMからの番組表をくまなく見て、見たい映画のチェックをしつつ、いつも見逃してしまう私ですが・・・。来月は忘れないようにしたいと思います。なぜなら、河瀬直美監督の「萌の朱雀」と、ジム・シャーマン監督の「ロッキー・ホラー・ショー」がオンエアされるからで~す。WOWOWの番組表はこちら。「萌の朱雀」は、Gyaoで放送中ですが、WOWOWで放送するなら録画できるもんね~♪7月10日(火)18:04~「萌の朱雀」それから大好きな「ロッキー・ホラー・ショー」がTVでオンエアされるなんて夢のようです~♪この映画は1975年公開なので、もう32年も昔の作品なんですね~。さすがに私が映画館で見たのは、20年くらい前ですが。この映画の特徴は、参加型だということでしょうか。(笑)そしてリピーターが多いと言うこと。私も何度か映画館に足を運びました。さすがに仮装はしていきませんでしたけど、何度目に新聞紙や懐中電灯などを用意して行き、雨のシーンではヒロインと一緒に新聞紙を頭の上に乗せたり、「あそこに灯が」のセリフのときに、さっと懐中電灯に灯をともしたりしましたね。(笑)しかも私は一人で見に行っているんですよね・・・。(笑)執事リフ・ラフ役のリチャード・オブライエンさん、ステキです♪←当時、けっこう好きでした。「ロッキー・ホラー・ショー」の正しい見方(笑)くわしくはこちらをご覧下さい。7月6日(金)0:30~「ロッキー・ホラー・ショー」今度はTVの前で参加しようかしら。(笑)家族の冷ややかな視線が怖いケド。
2007/06/23
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この映画、公開前なのでまだ見ていないのですが、絶対に見たいとおもっています。原作の、大ファンなんです。好きで好きでたまらなくて、どうしたらこの作品をもっと多くの人に読んでもらえるかな・・・と思っていたら、映画化の話が新聞の載っていて、とっても楽しみにしていたんです。でも大切に思っている作品だけに、どう料理されているのか、少々心配でもあったりして。「夕凪の街 桜の国」公式サイトはこちら。原作本「夕凪の街 桜の国」についての私の感想はこちらです。以前「本よみうり堂」で100文字書評募集をしていたので、応募したこともあったっけ。掲載されているサイトはこちらです。「淡々とした表現で、被爆者の壮絶な体験を描ききったこの作品は、私の心をぐいぐいと動かし続ける。平和な時代に生まれた私に問いかけ続けるのだ。「貴方がすべきことはなんですか?戦争は60年前の、過ぎ去った出来事なのですか?」と。 ↑クリックしてね。原作コミックのほかに、小説やサントラもあります。
2007/06/21
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カンヌ国際映画祭グランプリの「殯(もがり)の森」のひとコマが昨日到着しました。以前「殯(もがり)の森」公式HPで「ひとコマもがり」参加者を募集していたんです。これは、河瀬監督の最新作「殯(もがり)の森」を「ひとコマ」フィルム購入で応援するサポーター制度なんです。カンヌで受賞する前に応募していたんですけど、受賞が決まったら、すでに募集は締め切られていました。同封されてきたものは、以下の通りです。 「もがり通信No2」、奈良での映画チケ、35mmフィルム
2007/06/15
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何年ぶりになるんでしょう?今年、カンヌ国際映画祭でグランプリを取った河瀬直美監督の10年前の作品「萌の朱雀」を見てきました。この「萌の朱雀」も、同じカンヌ国際映画祭で新人賞に当たるカメラ・ドール賞を受賞したんですよね。カメラ・ドール賞を取った直後ではなく、私が見たのはレンタルビデオで見たので、受賞してからしばらく経ってからだと思います。以前、ビデオで見たときより、もっと胸がキュンとして、ますますこの作品が好きになりました。ストーリー舞台は林業で有名な奈良県西吉野村。孝三一家は代々林業で生計を立てていた。孝三の母・幸子、妻・泰代、幼稚園に通う娘・みちる、そして孝三の姉の置いていった小学生の息子・栄介の5人で、つつましいながらも、静かで安らかな生活を送っていた。子どもたちのはしゃぐ声、魚売りの行商人のほがらかな声、魚を買いに来るおかみさんたちの明るい笑顔。いつまでも続くと思われた平安な日も、村の過疎化によって、陰りを見せる。そんな時、村に鉄道を通すためのトンネル工事の計画が持ち上がった。過疎を食い止めるため、村民たちはトンネル開通に希望を見出していた。しかし計画は挫折。後に残されたのは魂の抜けたような孝三と、闇を湛えたトンネルの残骸だけだった。15年が過ぎた。孝三一家の生計は、成人した栄介が旅館で働く収入に頼っていた。高校に通うみちるは、幼いころからずっと優しかった栄介にほのかな想いをよせていた。ある日、孝三が愛用の8ミリカメラを持って出かけ、無言の帰宅をする。トンネルの残骸の中に、8ミリカメラが遺されていた。気丈に振舞う泰代だが、心にムリが来ていた。実家に帰ることを決断する泰代。みちるは栄介と離れたくない思いがあるが、母について行く決心をする。住み慣れた家を離れる日、泰代とみちるは、栄介と握手をし、迎えのトラックに乗り込む。縁側で小さな声で、昔子どもたちが歌っていた童謡を口ずさむ幸子。歌い終わると静かに目を閉じた。栄介は庭でノートや手紙などを燃やしている。山の緑は、変わりなく、人々を見守り続けていた。物語は、とても淡々と進んでいきます。ドキュメンタリー映画を見ているようです。朝の光の中で、朝餉を用意する嫁と姑。子どもたちは早起きで、すでに庭で遊んでいます。大きく開け放たれた縁側から、心地よい風が入ってきます。物語の始まりは、こんな風です。時間がゆったりと流れていき、見ている者も、深呼吸をしながら大きく伸びをしているような気分になってきます。その中で、私は栄介の心の動きが気になってきます。幼稚園に娘のみちるを迎えに行く泰代の後姿が、栄介の心に刻まれた瞬間から、彼の恋が始まります。15年後、大人になった栄介の、さりげない視線の先には、いつも泰代の姿があります。家計を助けるため、栄介の働く旅館で仲居の仕事をするという泰代。何気なく返事をする栄介ですが、泰代が去ってから、いとおしそうに振り返って、彼女の去った方を見つめます。泰代が仲居の仕事をした初日、帰宅しようとする泰代を待ち伏せして、自分の乗っているスクーターの後ろに乗るよう、促します。躊躇する泰代を「乗れないの?」と挑発するように言う栄介。「乗れるよ」と言って、栄介の後ろに座る泰代の手を、しっかりと自分の腹に持ってくる栄介。彼の大きな手が、泰代の白い手を覆い、ぎゅっと握りしめた時、ドキドキしてしまいました。泰代が働き始めてしばらくして、病気のために彼女が旅館で倒れた時の栄介の驚く顔にも、彼女への想いが溢れていました。そして1番胸きゅ~んのシーンは、夫に死なれた泰代が、呆然と歩いていくのを、心配した栄介がついて行くところ。「ねえちゃん?」と栄介が呼びかけても、全く反応せず、スタスタと歩いていく泰代。しばらく泰代の後を歩いていたのですが、急に雨が降り出し、寺?の門で2人は雨宿りをします。栄介は、泰代から少し離れたところで座ります。しばらくすると泰代は急に雨の中に飛び出していきます。あわてて追いかける栄介。場面が変わり、雨が止んでいます。軒下から姿を現せる栄介と泰代。無言のまま歩いて帰宅します。この雨のシーンが、なんともエロティックで、ドキドキするシーンです。栄介は、泰代に母を感じていたということもあると思いますが、女性としても好意を寄せていたと思うんです。雨の日、いつも寡黙な泰代が、初めて自分の感情を爆発させている姿に、彼も自分の気持ちを抑えきれなくなったのでしょうか。映画では何も語られてはいませんが、私はこの雨の日に、栄介は泰代に自分の気持ちを伝えたのではないかと思います。だからこそ、みちるが激しく動揺し、栄介を困らせるのです。でも栄介の気持ちは揺らぎません。みちるが栄介に自分の気持ちを伝えた後、みちるを誘って、自宅屋根の上で、星を眺めながら遊びます。まるで幼いころのように。これは、栄介の精一杯のみちるへの返答だと思うんですね。彼女のことは妹としか見ていないと。でもとても大切な存在だということは理解して欲しいと、みちるに伝えたかったのではないでしょうか。泰代が姑の勧めで、実家に帰ることにし、いよいよこの家から去る日、栄介はまずみちると握手をします。そして次に泰代と。とうとう自分の想いは泰代に受け止めてもらえなかったけれど、それでもまだ彼女のことを好きだという、ありったけの想いをこめて。このシーンも、美しいシーンでした。みちると泰代が去っていった後、栄介は庭でノートや手紙のようなものを燃やします。この家を出て、祖母と一緒に旅館で住み込みで働くことにしたのです。そのための荷物整理なのでしょう。もしかしたら恋の終わりに、自分の気持ちを綴っていたノートや手紙類を燃やしていたのかもしれません。切なくも美しい初恋の物語。成就することはなかったけれど、奈良の自然とともに、一人の男性の成長を促した初恋物語でした。「萌の朱雀」に興味を持った方に朗報です。今Gyaoで、この「萌の朱雀」が視聴できます!!7月2日(月)正午までです。お早めに。こちらからどうぞ。 河瀬直美監督の公式HPはこちら
2007/06/09
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今朝のNHK「おはよう日本」に、河瀬直美監督が出演されていました。奈良に帰られているんですよね。とても興味深いインタビュー内容だったので、抜粋してアップしますね。Q、2回目の受賞ということになりますけれども、最初の時とは違うものですか?A、正直最初の時はほんとうにビックリしたんですけれども、今回はいろんな意味で期待もありましたし、自分も作品に非常に自信があったので、予定していたわけではないんですけれども、違う感慨はあります。Q、受賞した実感が、きっちりきたという感じでしょうね。A、10年の経験があって、自分の足で歩いてきた軌跡を振り返った時に、正しく評価していただいたんだなという実感ですね。(ここで「殯(もがり)の森」の映像を流しながら紹介)Q、この映画を見ながら、身近な人の死についてですとか、生きるってどういうことなんだろうと、見ながら考えてしまって、ほんとうに考えながら見たという感じなんですけれども、河瀬さんは自分の作品の原点に、ご家族の介護ですとか、それから出産とかご自身の経験が生かされているということなんですね。A、はい、そうですね。私が育ててもらったおばあちゃんというのは、母親のおばにあたるんですけれども、この人の、92歳なんですけれども、認知症の傾向が表れてきたというのが、この作品の構想の原点になっているんですね。その行ってしまう命ということと、自身の妊娠というものを、実際に日常の中で経験して、生まれてくる命、行ってしまう命、でも、それを繋ぐものがあるんだという思いの中で、死イコール終わりではなくって、その人たちから私がもらうもの、そしてまた子に繋いでいくものがあるんじゃないかなと思って、私たちは物質的なものとか、そういうふうな形あるものだけに、何か頼りを求めようとするんだけど、そういった人の思いとか、目に見えないものというものにも、確かなものがあるんだよというように、日本人が誇りとするものを形にしたかったんですね。Q、そういう自分の経験の中から見つけ出したものを紡いでいかれたということだと思うんですけれども、そういったご自分の体験が映画作りの原点という河瀬さんの映画作りの拠点も奈良にあるんですよね。そちらの様子も見てみましょう。(ここで昨年9月放送の「関西もっといい旅」に出演した河瀬さんの映像が流れる)「関西もっといい旅」に河瀬さんが出演されたときの、私の感想日記はこちら。以下略。河瀬監督のこの考え方に共感します。物質的なものだけではなく、目に見えないものにも確かなものがあると、私も思うんですよね。彼女の作品を見たとき、はっきりと言葉にはできないけれど、心に引っかかる何か、そしてとてもエロティックなものを感じるのはなぜか、これからも彼女の作品を見ながら、考えていきたいと思います。河瀬監督の他の作品を見たい方に朗報!「萌の朱雀」ニュープリント版上映については、以前お知らせしましたが、(こちら)これ以外にも、河瀬監督の作品を大阪・中崎町「プラネットプラスワン」で上映されます。7月1日(日)11:00~の回には、監督自身が来館し、トークがあるそうです。私はぜひEプロが見たいです~!!『現しよ(往復書簡 河瀬直美×是枝裕和)』(1996/60分/8mm )という作品で、なんと!あの是枝裕和監督との往復書簡の記録なんだそうです。うわ~、楽しみ~!!他にも見たい作品がぎっしりなんですけれども、ちょっと数多くはムリかな。興味をもたれた方は、ぜひどうぞ。関西以外にも、河瀬監督作品の上映が決まっているところがあります。ドキュメンタリー映画「垂乳女」、奈良三部作「萌の朱雀」「火垂」「沙羅双樹」を上映するのは、東京・渋谷シネマアンジェリカです。東京方面の方も、この機会にぜひ~♪
2007/06/04
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すごいですよね。昨日の早朝にカンヌ国際映画祭でグランプリが決まったところだというのに、もうTV放送しちゃうんですから・・・。NHK恐るべし。でも大画面で、真っ暗な映画館の中で見ると、また印象が変わるんでしょうね・・・。夕食の後片付けをし、その後アイロンをかけながら見ていたので、なかなか河瀬監督の世界に入り込めませんでした。(涙)「殯(もがり)の森」奈良県の山間部。そこにしげきの暮らすグループホームがあった。軽度認知症の老人たちが介護スタッフとともに共同生活をしているのである。しげきは亡くなった妻の思い出の詰まった黄色いリュックサックを大切にしていた。今でも彼は妻を愛しているのだった。新しい介護スタッフとしてやってきた真千子が、そのリュックサックを無断で触ってしまう。激しく怒るしげき。彼は真千子を突き飛ばしてしまう。落ち込む真千子だったが、先輩介護スタッフに励まされ、少しずつしげきと心を触れ合わせるようになってくる。真千子もまた、最愛の子どもを亡くし、心に傷を負っていたのだった。ある日、しげきと真千子は、しげきの妻の墓参りに行くことになる。山の中にある墓に、2人は向かうのだが・・・。後半部分をじっくり見て、「萌の朱雀」や「沙羅双樹」を見たときに感じた『何か』が、再び私の心に染み込んでくるのを感じました。この感情が何なのか、まだわかっていないのですが、「殯(もがり)の森」を見た後に思ったのは、自分自身の中から湧き出てくるものだけではないということです。もともと自分の中にある感情もあることはあるのですが、もっと違った根源的な想いが、河瀬作品を見ているとひたひたと心に染みてくるのです。それは河瀬監督が受賞後のインタビューでも言っていたことと通じるのかもしれないと思います。「映画作りは、人生と似ている。困難があり、混乱することがいっぱいあり、心のよりどころを求める。形あるものでなく、目に見えない何か。風や光、誰かの思いなどに心の支えを見つけることで、一人で生きていける」目に見えない何かを感じることの出来るのが、「殯(もがり)の森」だと思うのです。自分が生まれる前、そして死んだ後の世界を感じ、全ての命は繋がっている・・・そんなことを思いました。そう、まさに「殯(もがり)の森」は観客にとっての『へその緒』なのです。生まれる前に自分と世界をつなぎとめていたもの。そこから生きる術を教わってきました。でも一旦生まれ出てしまうと、人はへその緒のことなんて忘れてしまっています。自分は一人で生まれてきたんだ・・・という奢った気持ちになることもあるでしょう。でも「殯(もがり)の森」を見ると、自分を生かしてくれていた「へその緒」を思い出すのです。そして自分は生かされているという謙虚な気持ちが湧き出てきます。森の中で、しげきが川を渡ろうとした時に真千子が激しく泣きじゃくりながら止めます。もちろんそれはしげきの身を案じてのこともあるでしょうが、まるで三途の川を渡って、あちらの世界にいってしまいそうなしげきを見て、真千子は亡くなった自分の子どもを思い出してしまったのではないでしょうか。その夜、濡れた衣服のままでたきびを囲むしげきが、寒さを訴えると、真千子は優しくしげきを抱きしめ、暖めます。まるでわが子をいとおしむように。翌日、ようやくしげきと真千子は、しげきの妻の墓にたどり着きます。まるで妻自身を抱きしめるように、墓に頬を寄せるしげき。その姿を見て真千子は、死は終わりではないことを悟ったのではないでしょうか。死は肉体を滅ぼし、愛する人の姿を目の前から消し去ります。しかし、しげきは今も亡き妻を愛し続けているのです。妻の肉体は消え去っても、人はまだ愛することが出来る・・・。死は全ての終わりではありません。へその緒を通って、生まれる前の世界へと帰っていくのです。そして全世界と繋がるのです。しげきは亡き妻を感じ、真千子も亡くなった子どもを感じます。繋がっているから・・・。たとえ死がお互いを引き裂いたとしても、世界を包み込む存在として繋がっているから・・・。真千子はきっと亡き子どもの、そんな声をいたのではないでしょうか、殯(もがり)の森で。これからも河瀬直美監督の作品を見続けていきたいと思います。
2007/05/29
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河瀬直美監督の最新作「殯(もがり)の森」が、カンヌ国際映画祭で、グランプリを受賞しました~!おめでとうございます~!記事はこちら。カンヌ国際映画祭での最高賞はパルムドールですが、今回河瀬監督が受賞したのは、それに次ぐ賞なんですよね。すばらしい~!この「殯(もがり)の森」は、河瀬監督自身の介護体験から出てきたといいます。少し前、読売新聞で養母である祖母が、認知症になってきた体験を連載されていました。毎回読んでいたのですが、最新作「殯(もがり)の森」のストーリーを知ったとき、『あぁ、ご自身の体験から生まれた作品なんだな~』と思いました。カンヌ国際映画祭では、私のだ~い好きな是枝裕和監督の「誰も知らない」で主演を演じた柳楽優弥クンが主演男優賞を受賞しましたしね。好きな監督が賞を受賞してくれるので、うれしいですわ~。河瀬監督のデビュー作「萌の朱雀」は、1997年の同じくカンヌ国際映画祭で、新人監督賞にあたるカメラドール賞を受賞しています。この作品は、かなり前にレンタルしてみたのですが、イイ作品でした。残念なことに、このブログを開設する前だったのか、レビューは書いていません。ドキュメンタリーにも似た、淡々としたストーリー展開なのですが、なぜか心に残るんですよね。2003年にカンヌに出品した「沙羅双樹(しゃらそうじゅ)」も同様に、ハリウッド映画の対極にあるような作風ながら、なぜか心の深いところに滲みていくような印象を受けるんです。西川美和監督同様に河瀬直美監督も、これからが楽しみな映画監督ですね。どんどん素晴らしい作品を作っていって欲しいと思います。そうそう、今「殯(もがり)の森」公式サイトでは、「ひとコマもがり」参加者を募集しています。これは、河瀬監督の最新作を「ひとコマ」フィルム購入で応援するサポーター制度ですくわしくはこちらをご覧下さい。実は私も参加しました~♪(更新)5月29日に再度公式HPを見たところ、「ひとコマもがり」は締め切っていました。残念。それからこの「殯(もがり)の森」をさっそくNHK・BSハイビジョンでオンエアするというのです!見られる環境にいる方は必見ですぞ!!5月29日(火)午後8時~9時50分 NHK・BSハイビジョンカンヌ国際映画祭グランプリ受賞の「殯(もがり)の森」を、河瀬直美監督のインタビュー、受賞風景や解説、メイキングとともにオンエア。(追記)「殯(もがり)の森」公開を記念して、河瀬直美監督がカンヌでカメラドール賞を受賞した「萌の朱雀」ニュープリント版を上映します。そしてなんと!監督自身によるトークショーも開催されます。日時:6月9日(土)トークショーは13:50~ 映画上映は12:00~、15:00~場所:大阪歴史博物館トークゲスト:河瀬直美監督、尾野真千子さん くわしくはシネ・ヌーヴォHPへ。
2007/05/28
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河瀬直美監督の「殯(もがり)の森」がカンヌで上映され、スタンディングオベーションに沸いたそうです。記事はこちら。さて今年のパルムドールはどうなるんでしょう?彼女がカンヌでカメラ・ドール賞を受賞した「萌の朱雀」は好きな作品なので、今回も受賞して欲しいなぁ~。結果は明日(というか今日)の早朝だとか。もうそろそろですかな?
2007/05/27
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今年も行って来ました、クレしん最新作!「嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾」今回も泣いたかって?・・・・・はい。2回ほど。クレヨンしんちゃんシリーズは、PTAから「子どもに見せたくない番組」として槍玉にあがっていますが、(笑)私はPTA会長として、「クレしん」を推すぞ~!!(笑)ある宇宙船内部では、花のめしべのような形の宇宙人たちが歌い踊っています。そこに和やかな雰囲気を壊すように、サイレンの音が。どうやらその宇宙船に向かって、巨大な隕石が近づいてきているようなのです。慌てふためく宇宙人たち。しかしリーダー格の年配?の宇宙人は、皆に落ち着くように促し、爆弾によって、その隕石を爆破しようといいます。数多くの爆弾が宇宙船から発射され、巨大隕石に装着します。リーダー格の宇宙人の歌に合わせて、爆弾が反応し、歌い終わったところで巨大隕石は木っ端微塵に・・・。しかし、爆発する直前に1つの爆弾が隕石から離れ、太陽系に引き寄せられていきました。そして地球・・・それも日本の沖縄に落下していったのです。そのころ野原一家は、ひろしの会社勤続15年の慰労休暇で沖縄旅行に来ていました。浜辺でくつろぐしんちゃんとシロの前に、爆弾が・・・。しんちゃんのおしりに装着しようとした爆弾。シロはとっさにしんちゃんを庇い、爆弾はシロのおしりに、まるでおしめのように装着してしまったのです。地球もいくつも破壊できるほどの威力を持った爆弾。この爆弾を宇宙空間に飛ばしてしまおうとする宇宙監視センターUNTI(ウンツィー)の時雨院時常らや、爆弾を奪って世界征服をたくらむひなげし歌劇団のお駒夫人らが入り乱れて、シロ争奪戦が始まります。地球のため、シロをウンツィーに渡すように説得するひろしとみさえ。でもしんちゃんは、シロを守るため、シロと一緒に逃げ出します。しんちゃんは無事にシロを守ることが出来るのでしょうか?そしてシロは爆弾をおしりから取ることができるのでしょうか?今回のゲストは、時雨院役に京本政樹さん。お駒夫人役に戸田恵子さん。それぞれが今まで演じてきたキャラがパロディになっていたりして、楽しめました。特に戸田恵子さん演じるお駒夫人は、ひなげし歌劇団という、宝塚歌劇団そっくりの歌劇団の総長をしています。彼女の扮装は、まるでオスカル。(笑)戸田さんはアニメ版「ベルサイユのばら」でオスカルを演じたんですよね。また京本さん演じる時雨院に向かって、野原ひろしが「おい!UNTIのおかんちょう!!俺の名前、野原ひろしは仮の名前。本当の名前は必殺仕事人、組紐屋の竜だぜ!!」と叫びます。(笑)見ていましたよ~。京本さんが出演している時の「必殺」懐かしいわ。私の今回の泣きのポイントは、シロとしんちゃんの逃避行と、ラストでひろしが落ちて来たしんちゃんを泣きながら抱きしめるところ。シロが、走りつかれてぐったりしてしまったしんちゃんを見て、今までのしんちゃんとの思い出を回想し、追いついたUNTIメンバーに向かって、歩いていくところ。しんちゃんを助けるための自己犠牲の精神に、シロのしんちゃんに対する愛情を感じて、涙がこぼれました。そのシーンは、夜桜がとても見事に描かれていて、少しひんやりとした空気感まで味わうことができました。シロの心情を思うと、その夜桜がよけいに心に染みました。ラストで感動したシーンは、一度ひろしとみさえはしんちゃんの死を覚悟し、泣き崩れたところ。そのシーンを見ると、『あぁ、自分の子どもが死んだと思うのは、どんなに辛いだろう』と、自分のことに置き換えて考えてしまい、ひろしたちの気持ちに同化して泣いてしまいました。またしんちゃんが生きていたとわかって、ひろしたちがうれしくて泣く時も、同様に感動し、落ちて来たしんちゃんを「絶対に受け止めてやる」と宣言したひろしの気持ちが、これまた痛いほど理解できて、涙が流れました。エンディングで、日常にもどったしんちゃんとシロが散歩に行き、最初に出てきた宇宙人たちがおわびにやってきて、一緒に踊るシーンも心温まりました。やっぱり映画「クレしん」は名作です~!
2007/05/03
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最近の日記で紹介した侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の映画「悲情城市」が、いま大阪のCinema@rt心斎橋で公開中です。3月10日(土)~3月23日(金)まで侯孝賢(ホウ・シャオシェン)映画祭」を開催しているんですよね。「悲情城市」以外にも、「ステキな彼女」「ミレニアム・マンボ」「川の流れに…」「珈琲時光」などを公開していました。 気がついていたのに、日記で紹介するのが遅れてしまいました・・・。「悲情城市」は明日20日と23日の上映が残っています。まだの方は、この機会にぜひどうぞ。 ちなみにこのCinema@rt心斎橋では、4月21日からイ・ジュンギくん出演の「フライ・ダディ」が上映されます~♪ またここ心斎橋に、関西最大級の韓流エンタテイメントビルディング「ARAGAYA」が出来たようですね。1Fにはカフェショップ、3Fには韓国料理屋さんが入っているようです。またちょっと探索にいってみようなか~?
2007/03/19
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台湾映画「悲情城市」についての日記の続きを書こうと思ったら、長女がインフルエンザに罹ってしまいました~。まる2日間外出できず、予定は全てキャンセル。熱にうなされる長女の看病に明け暮れました~。3日目でようやくPCの前にゆっくり座れます~。で、先日の日記の続きです。「悲情城市」の感想を書いて応募し、Tシャツをゲットした後、数日してぴあから電話がかかってきました。なんでも台湾~日本往復航空券をゲットした人が、予定が合わずに受け取りをキャンセルしたため、私に幸運が回ってきたのです~。私はふたつ返事でOK!航空券はペアだったので、友人に連絡して一緒に行くことにしました。泊まるホテルなどはまったく決めずに、往復航空券だけを握って、いざ台北へ。初めて行く土地でしたが、なんだか懐かしいような気持ちを感じる場所でした~。台北の空港に着くとすぐ、ホテルの予約。最後の1泊だけ、憧れていた円山飯店に予約を入れました。他の日はビジネスホテル。(笑) オールフリーだったので、それから台北の町を好きなように観光しました。はずせないのが、やっぱり故宮博物院。夜も遊びに出かけ、台湾の若者たちとお友達に。翌日からは、現地のお友達と一緒に台北めぐりをしました。まず最初に訪問したのが、電影文化城。ここは映画撮影のために建てられた、言ってみれば「映画村」のような場所です。中国古来の建物を眺めながら観光していると・・・。なんと映画撮影の現場にバッタリ!当時日本でも有名だった(確か日本のCMにも出ていたと思います)ジョイ・ウォン嬢の主演映画を撮影中だとか。ちょうど「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」を見て、すっかりファンになっていたんですよね。たまたま同行していた現地の友人が、以前電影文化城で働いていたとかで、撮影現場に入れてもらえました~~~! この映画は日本公開されなかったようです・・・。その後、ジョイ・ウォン嬢と一緒に写真を撮ってもらい、サインももらっちゃいました~ その時、私が着ていた「悲情城市」Tシャツを見ていた俳優さんが、「その男性は、僕の弟役をした子だよ」と・・・。「んん~?」と思って、その俳優さんをよぉ~く見てみると・・・。なんと「悲情城市」でトニー・レオンの兄役をした高捷(カオ・チエ)さんでした~。いや~、「悲情城市」Tシャツを着ていなかったらわからなかった偶然でした。こうして私のミーハー台湾旅行は充実度UPしたのでした~。映画「悲情城市」がもたらしてくれた素敵な偶然を楽しめた旅行になりました。
2007/03/03
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今朝、新聞を読んでいて、ある記事に目が留まりました。「2・28事件 あす60年」「台湾 癒えぬ後遺症」と題された記事の内容は、60年前に台湾で起きた「2・28事件」が明日で60年を迎えるのですが、事件の真相究明や責任追及はまだで、台湾の政治と社会に残した傷跡は消えていないというものでした。この「2・28事件」というのは、60年前の1947年2月28日に起きた住民への武力弾圧事件を指します。闇タバコ売りの取り締まりによる死傷事件をきっかけに起きた住民の抗議行動に、国民党が武力弾圧を加えたのです。犠牲者は18000~28000人にも上るといわれています。国民党(外省人=戦後、中国から台湾に渡ってきた人)と住民(内省人=戦前から台湾に住んでいる人)との対立が決定的になった事件です。しかし事件について語ることは、1987年に戒厳令が解除されるまではタブーとされていました。ここ数年で、ようやく犠牲者の遺族たちが重い口を開き始めたといいます。私の大好きな映画の1つに侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の「悲情城市」があります。台湾の一都市、基隆に住む林文雄一家の物語です。主人公は文雄の四男、文清(トニー・レオン)。彼は幼いころの事故が元で、耳が聞こえません。文清と、彼を慕う寛美を軸にお話が進みます。映画の後半は、先に話した「2・28事件」が文清たちの生活に大きな影響を与えることになってきます。激動の時代を翻弄されながら、しかし誠実に生きる文清たちの姿が目に焼きつきます。ひっそりとつつましく生きていこうと思っていても、それが出来なかった時代。淡々とした映像の中に、自分も入ってしまったかという錯覚を覚えるような映画でした。そうそう、この映画には、思い入れがあるんです。映画が公開された当時、「関西ぴあ」で映画を見た感想を募集していたんですよね。1名に日本~台湾往復航空券をペアで、残りの30名には「悲情城市」オリジナルTシャツをプレゼントと聞き、さっそく応募。審査結果はTシャツプレゼントでした。数日後、トニー・レオンのイラストが印刷されたTシャツが届きました。トニー・レオンのTシャツもゲットしたし、「ぴあ」誌上にも名前が載ってうれしいな~なんて思っていたのですが、まだ驚くことがあったのです・・・。(続く)
2007/02/27
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昨年公開されたばかりの映画「スタンドアップ」が、WOWOWでオンエアされました。やっぱりWOWOWって、ハリウッド系のオンエア早いよね。アート系の映画もけっこう放送してくれるので、なかなかやめられませ~ん。「スタンドアップ」は映画館に見に行きたかったのですが、なかなか時間がとれず、結局見に行けなかったので、早々のオンエアはうれしい限り。でもこの作品はR-15指定・・・そう15歳以下のお子ちゃまは見てはいけないんです。で、我が家のお子ちゃまたちを寝かしつけ、こっそり(笑)夜中に見ました。「R-15」という文字が脳裏に焼き付けられていたので、『「親切なクムジャさん」みたいな残酷なシーンがあるのかしら~?』、『すっごいセクシーシーンがあるのかな~?』など、いろいろ考え、寝ているお子ちゃまたちを気にしながらの視聴。(笑)でもストーリーが進むにつれ、そんなことはすっかり忘れて、映画の世界に引き込まれていきました。何と言ったらいいのでしょう。う~ん、テーマは韓国映画「チャーミング・ガール」と似ているかもしれませんね。ヒロインの再生を、「スタンドアップ」ではハリウッド的に、「チャーミング・ガール」ではアジア的に描いたという感じです。ストーリーDV夫に殴られ、怪我をしたジョージーは息子と娘を連れて故郷に帰ってきた。しかし保守的な炭鉱町の人々は、父親の違う2人の子どもを連れたシングルマザーのジョージーを否定的な目で見る。炭鉱で長年働いてきたジョージーの父親も、同じように彼女の生き方を認めようとしない。そんな彼女の力になったのは、旧友のグローリーだった。彼女は病弱な夫の代わりに、長年炭鉱で働いてきた。子どもを育てるために職を探すジョージーに炭鉱の仕事を紹介したのも、グローリーだった。炭鉱で働き始めたジョージーを待ち受けていたのは、自分たちの職場に女性が入り込むのを快く思わない、同僚男性たちの嫌がらせだった。職場には卑猥な落書きがあちこちにあり、ロッカーの中にしまっておいた弁当箱の中には、あるものが押し込められていた。そして下品なヤジ・・・。数え上げればキリがない嫌がらせにも、そこで働く女性たちはじっと我慢し続けてきた。異議を唱えれば、状況はますます悪化するだけ。ただ黙って耐えれば、職を失うことはない・・・と。しかしジョージーは立ち上がった、たった一人で。ストーリー運びは、ハリウッドらしく(笑)とてもわかりやすく感情移入もしやすかったです。涙のツボもきちんと押さえられていて、感動する場面もちゃんと用意されています。よく出来た作品ですが、ヒネクレモノの私は、その用意周到さが逆に物足りなさを感じました。すみません、贅沢でわがままな映画ファンなんですわ。特にジョージーの父親が、急に改心するところ。妻(ジョージーの母親)の家出で、ころりと宗旨替えするなんて・・・。それとも表面上は娘に反対していたけれど、心の中ではそうではなかったのかしら?もちろん父親なんですから、娘が可愛くないわけがないんです。それでも組合の総会?で、いきなりのあの発言。よっぽど妻の家出が応えたのね。実話をもとにしているというのには、驚きです。こういう現実が実際に、それもつい最近、あったなんて・・・。女性の権利については、アメリカは日本よりずっと進歩的だと思っていたのですが、そうでもないのでしょうか・・・?ま、日本も某大臣が「女性は機械」発言をしていますからね・・・。どこの国もそれが現実なのでしょうか・・・。タイトルの「スタンドアップ」は、ヒロインが劣悪な状態を打破しようと立ち上がる・・・という意味合いだと思っていたのですが、それ以外にも「立ち上がる」場面がありました。なかなかのタイトルです。そうそう監督は、「クジラ島の少女」で話題になったニキ・カーロ。この「クジラ島の少女」もとっても見たい映画のひとつだったんですよね~。まだ未見だけど。彼女、いい作品をどんどん作っていってくれますね~。注目していきたい監督です。私事なのですが、実は新年度からあるお役目を担うことになりまして、今から『私にできるかな~?』と少々不安な心持だったのですが、「スタンドアップ」を見て、ジョージーに勇気付けられました。逃げ腰ではダメ、私も立ち上がらなくっちゃ・・・と思いましたよ~。ファイティ~ン>じぶん「スタンドアップ」の公式サイトはこちら。
2007/02/12
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昨夏話題だった映画「ゆれる」その脚本が、読売文学賞の戯曲・シナリオ賞を受賞しました。シナリオを書いたのは、監督の西川美和さん。注目している映画監督の一人です。というのも、彼女の前作「蛇イチゴ」がとても面白かったから。(是枝監督の愛弟子だし~)そして今回受賞した「ゆれる」も、人間の心の闇を怖いほど表現していて、なおかつ救いもちりばめられていて見事です。(私の「ゆれる」レビューはこちら)ラストシーンが気になって仕方がなかったのですが、先日本屋で「ゆれる」の小説本を見つけ、最後の1ページだけ立ち読みしてしまいました。映画の結末の詳しい解説、或いは違う結末があるかもしれないと思い、映像ではなく活字であのシーンを見たかったのですが、結果は同じでした。まさに映画と同じシーンが、文字で書かれていたのです。兄のあの微笑みは何を意味するのか?安易に良い意味にとってしまってもいいのだろうか?もしかしてあの微笑みは、もっと深い意味を持っているのではないだろうか?などといろいろ考えていたのですが、作者はその答えを教えてくれませんでした。ネット検索で、西川美和さんと作家の伊坂幸太郎さんの興味深い対談を見つけました。(対談のページはこちら)対談の中で彼女は以下のように話しているんです。けれど観客の中には、「あのあとどうなったの?」とか、「あのラストをどう受け止めればいいの?」と聞いてくる方がわりと多い。それは結構辛いことなんですよね。正直なことを言えば、私自身はまったくその後のことは考えていないので。なるほど、あのラストを解釈するのは、観客自身の作業だということですね。2月1日の読売新聞に、「読売文学賞の人」というタイトルの記事があり、第1回目は西川美和さんが取り上げられていました。その記事の中に、面白い話がありました。「ゆれる」は、4年前に彼女の見た夢がベースになっているというんです。彼女の見た夢の内容は・・・。滝を見下ろす崖の上にいた女がはしゃいで身を乗り出す。一緒にいた男があわてて手を伸ばして女を支える。しかしその手を邪険に払う女。男は手を離し、女は滝つぼへのみ込まれていく。友人である自分は一部始終を見ていたが、男のことを考え、知らない振りをした。しかしそれが彼の良心を苦しめていると気づき、自首を勧める。収監された彼は、死んだ女を酷くののしり始めた。人はこうも変わるのかと怖くなった・・・。怖いのは、それだけではない。殺人犯と関わったために、もう映画は撮れなくなるかもしれないと憤る自分自身の心だ。自分の心の闇に愕然とする。このようなことから、人の心の不確かさ、つながりのはかなさ、奥底に潜む闇をテーマに脚本を書き始めたのが、「ゆれる」だそうです。これを署名入りで書いた記者も、読売文学賞の戯曲・シナリオ賞の講評を書いた川本三郎氏も、両者とも「ラストに現れる、かすかな希望」「その先にかすかに希望が見えるラストに感動する」とコメントしています。私もかすかな希望を感じたのですが、兄のあの微笑ですべてが丸く収まったわけでは決してないと思うんですよね。きっとこれからも兄弟間でぎごちなさを感じると思うし、何かトラブルが起こるかもしれない。でも、あの兄弟は決定的な決裂には至らずに、暮らしていくような気がします。お互いが自分の心の闇に気づき、恐ろしいまでにその闇を味わいつくした後、微かな甘さでも至福を感じるように、人生の滋味を舌に記憶して生きていくんだなと思いました。素敵です。私の敬愛する是枝監督の愛弟子である西川美和さんのこれからの作品が、とっても楽しみです。西川美和監督、読売文学賞受賞おめでとうございます!
2007/02/01
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私の敬愛する映画監督、是枝裕和さんの作品「花よりも なほ」が、第21回高崎映画祭で最優秀作品賞に輝きました。やった~是枝監督初の時代劇作品です。仇討ちがテーマのお話でしたが、やはり作品の中には、是枝作品らしい温かな視線が感じられました。映画館で見て感動し、DVDも愛蔵版を買っちゃいました~♪他の受賞作などは以下の通り。最優秀監督賞・・・李相日(フラガール)、西川美和(ゆれる) 〃 主演女優賞・・・蒼井優(フラガール) 〃 主演男優賞・・・オダギリジョー、香川照之(ゆれる) 〃 助演女優賞・・・永作博美(好きだ、)、本上まなみ(紙屋悦子の青春) 〃 助演男優賞・・・加瀬亮(花よりも なほ) 〃 新人女優賞・・・多部未華子(ルート225)「ゆれる」の西川美和監督は、是枝監督の秘蔵っ子ですよね。彼女の前作「蛇いちご」も大好きな作品です。「ゆれる」での香川照之さんの演技、ほんとうに素晴らしかったです。それから「花よりも なほ」での加瀬亮さんもちょっとひねたキャラが、とても魅力的でした。どうも、そういうキャラに惹かれる私。(笑)さてさて、是枝監督は今度はどんな作品を見せてくれるのでしょう?楽しみです~♪(生是枝監督に会ってみたいなぁ~)
2007/01/22
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やっぱ2日放送のおすすめ映画は、私自身見逃してしまいました・・・。HDRが一杯だよ~ん。(涙)録画しているのを、どんどん見ていくか、放送分をリアルタイムで見るか・・・どっちかよねぇ。今日、11月3日放送の映画で、おすすめなのは「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」です。そうか~、あのヘドウィグがTVでねぇ~。感動ですわっ!0:45~(4日)「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」(2001 米)ムービープラスこれは本当におすすめの映画です。ヘドウィグという性転換をしたロックシンガーが、真実の愛を求めるお話なんですけど、挿入歌がステキなのと、主人公ヘドウィグの人間性の素晴らしさ、など多くの人にぜひ見てほしい作品です。これについての私のレビューはこちら。見逃した方は、4日15:00~、6日15:00~、19日0:15~にも放送される予定です。くわしいことはムービープラスHPをご覧下さいね。ついでに4日放送のおすすめ映画も紹介しておきますね。12:45~ 「モンスター」(2003米)ムービ-プラス2:45~(5日)「地球で最後のふたり」(2003タイ=日=オランダ=仏=シンガポール)ムービープラス両作品とも見ていないのですが、見たいな~と思っていたんですよね。「モンスター」は、主人公の女性の壮絶な生き方を見てみたいし、「地球で最後のふたり」は浅野忠信主演のラブストーリーなので、興味津々。しかも撮影監督はあのクリストファー・ドイル氏ですよぉ~~!香港のウォン・カーウァイ監督作品にはなくてはならない撮影監督ですよね。公式HPを見てみると、面白そう!で、ますます見たくなっちゃいました。わ、忘れないようにしなくちゃ・・・。(追記)4日 19:30~ 「完全保存版!韓流ドラマ旅案内 冬のソナタ編PART1」 旅チャンネルで放送されます。「冬ソナ」かぁ~、懐かしいですね。私が韓流ドラマに目覚めるきっかけを与えてくれたドラマなので、感慨深いです。
2006/11/03
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