SweetPain

生 2





「硝子の塔」

ガラス細工の鋭い塔
いつだって
まっすぐに天を仰ぎ


悲しいくらいに脆く


光を持つもの
持たざれるもの


願わくば
船から港が見えるまで


光は遠く
光は早く


未来のどこかに連れ去さられてしまう


怖がらないで


死は
いつだって隣り合わせ




一番怖いのは
自分の心




ガラスの塔




ねえ


あなたは


いつまで
ここにいてくれるの?








「証」

それが
何年に一度かのことは
知っている


月光に



埋め尽くす灰は
不毛の証


天へ昇れよ
駆けあがるよに


残して去れよ
あの日のように


突然の嵐に
戸惑うくらいなら


溶けて
消えて
泡となり


神を呼べ


嵐の果てをさす光


今更 何を惑う?




神は いるんだ








「鐘の音」

あなたが諦めた
あの
丘の鐘は


空洞を
さらけだしたまま
風に吹かれ


弔うように
今日も鳴るけれど


いつからか



悲しみより 深いところ



同じ雲が
一日もない日が
どんどん募り


あなたの姿も
どんどん どんどん
消えてゆく

どんどん どんどん
褪せてゆく


怖いよ


忘れちゃうのかな



いつか
忘れちゃうのかな?



怖いよ

悲しみより 深いところ



連れてかないで
神様








「人間」

   草の根を掻き分けるようにして築きあげたものを
   あたまっから
   ぶち壊すのが好き


   完全はつまらない
   完全は
   いつか忘れられる


   だって つまらない


   欲しいのは
   機械音でも金属音でもなくて


   泣き叫びたいときに
   泣き叫べる程度の人間でいい


   触れ合った指先に
   いつまでも
   胸が震えるような人間でありたい


   時計は
   馬鹿馬鹿しいほど
   時を正確に刻んでゆくけど


   時間が
   全てじゃない




   「その手を
    掴んで離すな」




   漂え
   時間を


   誘(いざな)え
   遥か
   彼方への道を


   役割は決まってる


   とうの昔に 決まってるんだ




   産声 あげる
   ずっと前から








「宣告」

口火は切って落とされた



猿だらけの世界だよ


狭い額に 焼きゴテじわり
焼ける肉にお尻も揺れる


さあパーティーの始まりだ



うんざりするよな
LOVE&PEACE


首ごと切り落としちまえ!


物まねだけで
十分さ




猿だらけの世界だよ


見世物小屋に火を放て!


さあパーティーの始まりだ




魂を持て
在ることに誇りを持て


構ってられるか




口火は切って落とされた!








「然り」

手が届く
ところに ある


必然の偶然で
手のひらに書いたメモを
銀河経由で君へと


ありきたりなんて
しきたりは ない


目を覚まし
うたを歌い
その魂を飼い慣らす


従順に
そう
ただ あるがままに


どこにいたって
君は
君だよ


偶然の必然に 逆らう理由はない








「乳房」

この乳房には
私の全てが詰まってる


上を向き
少し硬く
まるで妥協を知らないような
この 乳房


愛がこみ上げるとき
震える胸は 涙を流し
貴方の唇に
温かいスープが降り注ぐ


受け止める唇がないとき
それでも
胸は震えてしまうから


火傷しそうなほど
煮詰まったスープを
人知れず 大地に戻す


涙は
瞳から零れ
寂しさが 震えを掠め取ってゆく


駆け抜ける生命に
私は時折 全てを忘れる


それでも
上を向き
少し硬く
まるで妥協を知らないような
この 乳房は


私はここよ
私は女よ
と叫んで憚(はばか)らない


走る足は 止まり
傷だらけの腕は 自らを抱く


そして思う


ああ
この乳房には
私の全てが詰まってる


存在 そのものなのだと
生命 そのものなのだと


なんていう 力強さ


私は ここにいる








「檻」

わたしは
檻の中に住んでいる


暴れ
毒づき
さまよい歩く


飼育係は
優しい目をしたレプリカント


そういえば


日本男子は
絶滅したと聞く


ここから出してよ


世間には
危険がいっぱい


ね?かわいこちゃん


ここから出しやがれ! この野郎!!


誰かが「虎」と囁いた


んなこと
関係ない


わたしが
何者でも関係ない


心のひだで爪磨いで


檻といえど
目の前にあるは
ただの鉄柱


いつか ぶち破ってやる


わたしは
わたしの帰るべき場所に帰る


絶滅なんかしない
誰も触れることなんてできない


生きる
生きてやる


目的など ないけれど




本能が 叫んでる








「Color」

離れ離れになった僕らの手


青に白
黄色と黒


沢山の色
決して交じり合わない


ほらね


陽の沈むところから
夜が明けた


これが僕らの産声さ


優しいつもりでついた嘘


橙に緑
赤と紫


沢山の色
決して交じり合えない


流してる色は一つなのにね


とんでもなく
馬鹿げた話さ


手放すのは簡単なのに
許すってことは
どうして
こんなにも難しいんだろう


一度繋いだら
決して離しちゃいけないよ


このほしはたった一つ


ほらね


陽の沈むところから
夜が明けた


陳腐な神様 望んじゃダメだよ


ダメだって言ってるのに・・・


色と色 憎しみあって
沢山の色 溶けてゆく


色と色 叩きあって
沢山の色 血を流す




今度はどんな嘘をつくの・・・?








「fly high」

もう待てない
駆け抜けるんだ
何処までも高く


夜空を見上げれば
星に手が届きそう
いつかこの手に星が降るのを
じっと待っていた


変えられない現実ばかりが
目について
靴紐が解けてる自分にすら
気づかずに


待つ必要なんか
舞い上がるんだ
何処までも遠く


果てしなく広がる
大地に横たわり
いつか解き放たれるのを
じっと待っていた


この心が傷つかぬように
うずくまり
何から解放されたいのかさえ
忘れてた



手に入れたいものは何?



もう構わない
生きてる実感(リアル)は
自分でつかめ



本能の声を聞け



もう待てない
駆け抜けるんだ
何処までも高く
何処までも遠く


何処までも 何処までも・・・






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