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DIARY
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嫁様は魔女
硝子窓(長男の嫁)
その車を見たとき、口にした言葉だ。
日産のスカイライン。
R34とか言うた。
妊娠がわかったときに
「これからは車も必要になるなぁ。」などと
車がいかに育児と家族に必要か、とうとうと並べたてた夫。
「この家、建てたとこやんか。
あと何年ローンあると思てんのんな、35年やで!
アンタがぽっくり逝ってくれたら、保険でローンなくなるから
そん時に買うたるわ。」
「そんなの、オレ乗れないじゃん。」
「幽霊なって取り憑いたら年中無休で乗れんで。」
「冷たいなぁ、山梨のかあさんに借りようよ。
そしたら利息かかんないし、どさくさまぎれで返さずにすむかもよ。」
「何言うてんの!そんなん余計しんどいわ。」
夫の母親とはどうもそりが合わない。
大事な大事な一人息子を、
うちに取られたとでも思てるようや。
せやけど、この人が大阪に住んでんのは、
うちが実家の近所に呼んだわけやない、仕事や。
そもそも、うちがこの人に会うたんは
この人が大阪に来てからやのに・・・・。
子離れせんのもたいがいや。
そのうえ、つわりがしんどいから夏は山梨に行かんて言うたら
「妊娠なんて病気じゃないのよ、昔はねぇ・・・。」
結局1時間以上昔話て言うより、苦労自慢を聞かされて
帰省を「合意」させられた。
帰省したら、夫の妹が彼氏と一緒に来てた。
どうも東京で同棲してるらしい。
結婚の相談か報告に来てるんかなと思て
「理恵さん、おめでとうなん?」て聞いたら
バツイチの彼氏が結婚は慎重にとか言うてるそうで
今は「試用期間」なんやって言うてた。
ていよくうまい事使われてんのんちゃうん、と思ったけど
理恵さん本人は満足してるみたいやし
関わりあいになるんも面倒やから、
とりあえず、表向き仲良ぅしといた。
山梨の両親もその彼氏にはえらい気ぃ使てるみたいやったし。
つわりは治まりかけてたとは言え、
とにかく台所での仕事は、キツかった。
炊飯器から登る湯気のにおい、生肉のにおい、
冷蔵庫のにおい、魚の焼けるにおい・・・どれも
苦痛でたまらんかったけど、
例によって。
「長男の嫁なんて古い言葉じゃないのよ。
こういうことをきちんと守ってきたから、家が守られるの。
昔からのルールをないがしろにしてるから、今の子は・・・。」
と、がしゃがしゃきんきんする声で言われるんもイヤやったから
どうにかこうにかやっつけた。
ようあの人に「志づる」なんて名前付いてるわ。
ほんま、口から生まれたってああいう人のこと言うんや。
おなかの子供に名前をつけるときは名前負けせんように
気ぃつけやな。
ともかく胎教に悪い環境やった。
夫はここに来ると、箸の上げ下ろしまで人任せなんやないかと
思うくらい動かへん。
世間の旦那衆ってこんなもんなんかなぁ。
いつかみのもんたに電話したる、と常々思ってる。
もう肩も腰もぱんぱんや。
おなかの子供に話しかける。
(さぁ、やっと明日帰れるよぉ。)
宅急便で送る荷物の用意やら、部屋の片付けしてたら
なんぼノックするドアはない言うても、
声もかけんと襖をあけてお義母さんが入ってきた。
失礼にも程がある。
「なんですか?」
かなり引きつっていたと思うけど、それでもどうにか顔を作り応えた。
「由香子さん、理恵と本条さん、帰りましたよ。」
「あ、そうですかぁ。」
「そうですかって、なんなの?その私には関係ありませんって態度。」
え・・・?
うちに何か関係あんの?
「何のために、あなたたちの帰省にあわせて
理恵に帰ってくるように言ったと思うのっ!!」
何のためって?
「わざわざ東京から来てもらったのよ!
忙しいのに、あなたたちの都合に合わせて。
なのに由香子さんはもう・・・っ、はぁ・・・。
頼りにならないんだから!」
昔、友達の家にいた毛がなくてギョロっとした目の
きゃんきゃんほえるチワワを思い出していた。
なんなん?この人。
「ご迷惑はかけてないつもりですけど?」
気をつけてても険のある物言いになってくる。
「あなたねぇ、長男の嫁として
きちんと本条さんにお話すべき事があるでしょう?
それとも清水の家の人間はあなたとは他人だって言うんですか?」
長男の嫁として?
本条さんに話?
まったく話が読めん。
ぽかん、とした顔をしててんやろう。
(こんな時、ほかにどんな顔するか知らんけど。)
「もう!真面目に聞いてるの!
あなたはねぇ、清水の長男の嫁なのよ!
ゆくゆくはこの家を立てていく人なのよ?」
「はぁ・・・。」
「その自覚があるんなら、
理恵にいつまでも恥をかかせておかないでしょう?」
「あの・・・う、私、なんかしたんでしょうか?」
思い当たる節はない。
時々つわりでトイレに駆け込んでいたのが、みっともないとでも言うんやろか?
「まったく、ほんとにお嬢様だわねぇ!」
この人は、うちの奈良の実家がまぁまぁ大きいので、こういうあてこすりを言う。
要するに、気が利かない役立たずと言いたいのや。
「あなたが、本条さんに早く理恵と結婚してけじめをつけるように言うべきでしょう、違う?」
「ふぁ!?」
しもたっ・・・変な声が出た。
「どうしてきちんとお話しなかったの!?
理恵がかわいそうだと思わないの?
そのためにわざわざ、あなたを呼んだんじゃない。」
「あの・・・わたしが本条さんに?
理恵さんと早く結婚しなさいって言うんですか?」
「そうよ!あなたが言わなくて誰が言うの?」
無責任ねっ!!と顔に書いたぁる・・・。
・・・理解でけへん。
この人は、大事な娘の結婚話をまとめる役をうちに押し付けようとしてる。
嫁はでしゃばるな、とか言うて
煮物の味つけに、味醂やなく砂糖つこただけで
清水の家のに合わせなさい、と文句たらたらやったのに?
娘の彼氏に結婚の催促をすんのが・・・・長男の嫁の務めやてぇ?
いつからそんな事に首つっこめる身分になったんや、うち。
「そう言うことは理恵さんら、ご本人の決める事ですし・・・
せかすにしても、私よりお義父さんかお義母さんが
言わはったほうがええと思うんですけど。」
うちも大概我慢強い。
OL時分に理不尽な客先に頭下げてたんが役に立ってるわ。
「本条さんはねぇ、東京の人でしょ。
私たちみたいな年寄りが口を出してうるさいと思われたら
理恵がかわいそうじゃないの。」
つまり、恨まれ役はしたくないって事やね。
うっかり別れ話にでもなったら、あほ理恵に何言われるかわかったもんやない。
「・・・ったら貴信さんから言うてもらわはったら。
一緒にお酒飲んではったし、
男の人同士のほうが話しやすいと思いますけど。」
長男の嫁より、よっぽど長男本人のほうが適任やと思う。
言うても、あほ理恵にはお兄さんやし
筋合いから言うても、口出ししておかしくないはずや。
「また他人事みたいに言う!
自分には関係ないって思ってるのが顔に出てるわよ。
せっかく山梨に呼んであげてても、
あなたがそれじゃあ、いつまでたっても本当の家族にはなれないんじゃない?」
・・・・そうか、呼んで頂いてたんか。
てっきり交通費・食費自分持ちのお土産つき家政婦かと思てたわ。
こめかみの辺りがずきずきしてきた。
これ以上、この人と話してられん。
「お義母さん、申し訳ないんですけど頭痛がして
気分が悪くなってきて・・・つわりのせいかと思うんですが。
後で、貴信さんが戻られたら、一緒にお部屋のほうに行きますんで
ちょっと横にならせてください。」
今、ちょうど噂の本条さんと理恵さんを送りに
お義父さんと夫の貴信は出かけてる。
30分もすれば戻るやろし、家族の問題ならみんなで話すべきやと思た。
でもまたこれが裏目に出た。
「またそんな甘えた事言って。
つわりは病気じゃないでしょ、ごろごろしてたら難産になるのよ?
意地悪で言うんじゃないの。
お産のときに大変だから動きなさいって言ってるの。」
しもた・・・と思うたけどもう遅い。
チワワの口はもう止まれへん。
「すぐにそうやって、自分だけ素知らぬ顔をしているのがよくないんじゃないの?
理恵のことでもそうでしょう?
本当に義姉として心配してやる気があれば
本条さんにも理恵にも一言言ってやるのが当然でしょう?
薄情にも程があるわ。
大体。
つわりつわりって、貴信のことはちゃんとしてくれてるの?
ワイシャツにクリーニングのタグがついていたけど
あなた、自分で洗濯してアイロンかけるくらいの事もしないの?
もう会社も辞めて、のんびりしているんでしょう。
おなかの子供の事だってろくに報告もしてこないで・・・。」
よっぽど日頃から鬱積してるんか、
もともとこういう人なんか・・・・こうなってしもたら
嵐が過ぎるのをおとなしく待つしかない。
たとえ、妊婦検診は月に一回しかなくて
「異常なし」てはんこを貰ってかえってくるだけやと言うても
3倍返しで、お小言が返ってくるだけやろ。
せめて会社やったら、こうやってお客の苦情聞いてる時間も
給料の一環やて割り切れてんけどなぁ。
しおらしい顔を作りながらぼんやりそんな事を考えていると、
「ただいまぁ。」のほほんとした声。
思ったよりも早く義父と夫は帰ってきた。
少し酔ぅてるんか普段は物静かな義父の声が明るく響いてる。
ふん、と言う様な鼻息を出して義母は玄関へ出迎えに行った。
(これで済んだわけじゃないのよ。)とでも言いたいのがありありやった。
せやけど貴信や、義父の前ではそれほど強くは言わん。
男の前で被らなあかんネコやったら
ずぅっと被りっぱなしでおったらええのに・・・。
と。
思いながら玄関までついていく。
ここで一緒に出迎えにいかんかったら、朝の4時くらいからたたき起こされて、
親の躾がどうとか言われたい放題に言われるやろ。
でもまぁ、今日はこんで終わりかな。
貴信たちがいれば直接攻撃は免れる。
「おかえりなさい、貴信、あなた。それで理恵と本条さんは?」
なんでお義父さんより貴信のほうが先やねん・・・。
「うん、ちょうどいい時間に着いたからさ。すぐに電車に乗って戻ったよ。」
「そう、よかったわ。後は東京ねぇ。」
「心配しなくても本条さんがいるんだし、足がなけりゃタクシーでも拾うだろ。」
「でも東京はやっぱり物騒よ、タクシーの運転手だって信用できないわ。」
「かあさん、心配しすぎだって。」
義母への返事も貴信ばっかりがしてる。
お義父さんは、先に上がるよと居間へ行った。
「本条さんはオレより年上なんだし、しっかりしてるよ。大丈夫だろ。」
貴信は、ちょっとうるさげに義母をあしらい、居間へ向かう。
また義父と飲むつもりでおるみたいや。
連れ立って居間に行く。
この上お酒のにおいを嗅ぐんはたまらんと思たけど
先に部屋に戻って、明日なんか言われることを想像したら
においを我慢するほうがなんぼかマシに思えた。
貴信が、先に休めと言うてくれたらもうけもんやけど
・・・まぁ、それはないわな。
それにさっきの話は聞いときたいと思った。
理恵と本条のおっさんの話や。
うちも言いたい放題やな・・・・せやけど、
おかげでえらいとばっちり喰ろてんねん。
自分らがちゃんとしとったら、訳わからん文句言われんで済んだのに。
お義母さんも、ホンマにそんだけ心配してんねやったら
義父や貴信からもなんか言うように、せっついてるかも知れん。
頼りにならん男連中やけど、なんか言うててくれとったら
そんでうちは解放やもん・・・めっちゃ気になるわ。
改築して洋間になった居間のテーブルに
男連中はどっかり座り込んでる。
前にチューハイと冷酒、夕飯の残りの和え物やらのおつまみを並べた。
こんなときは義母も動く・・・かいがいしいこっちゃ。
「これだけ?」
貴信は並べられてるつまみでは不満らしい。
大阪では別になんも言わんと、その辺にあるもんで飲んでるのに
えらい態度の違いや。
「なにか欲しいの?」と言う義母に
「うーん、焼き鳥とか唐揚げとか、晩飯、寿司だっただろ?
なんかこう濃い目のが欲しいんだよなぁ。」
なんちゅう贅沢な、とちらっと義母のほうに目をやると
息子のわがままをにこにこと、まぁ機嫌良ぅに聞いてはる。
「・・・じゃあ、作ります。お義母さん。
カシワ、やなくて鶏、ありますか?」
揚げ物のにおいも、体が受け付けず
つわりがはじまってからは家で揚げもんはしてない。
そんなん、貴信はわかってるはずやのに。
ここで上げ膳据え膳でラクさしてもろて、元気いっぱいになってるとでも思てんのか?
ちらりと軽く貴信にきつい目線をくれてキッチンに立った。
カシワのパック開けるんさえいやや・・・と思いながら
調味料を用意する・・・・塩こしょうに土生姜・・・。
「ねぇ。」
不意に貴信の声が飛ぶ。
「久しぶりにかあさんの作った唐揚げ食いたいよ。
由香子のはまたちょっと違うんだよね、いい?」
お義母さんの顔は、笑えるくらいあからさまに輝いたんやないやろか。
しょうがないわねぇ、とか何とかいいながら
こぼれてくる笑みが収まらん様子でキッチンに入ってきた義母は
オクターブ上がった声で、
「貴信がね、私の作ったものがいいんですって。
由香子さんはここはいいわ。」
「・・・じゃあ居間でお相手してきます。」
もう鼻歌でも歌いだすんやないかと思うほどの上機嫌で
義母はいそいそ料理を始めた。
居間に戻ったら貴信が意味ありげな笑顔をみせる。
(オレ、わかってるだろ?)
とでも言いたいようや。
かあさんの性格は知ってるよ。
だからああやって、俺がうまく言ってかあさんに料理に行ってもらったんだ。
結構、うまくやってるだろ?
・・・そんなところか?
悪いけどあんた、全然わかってへん。
確かに揚げもん作ったりすんのはイヤや。
できれば座って休んでたい。
でもな。
あんたはお義母さんを持ち上げて上手に立ち回ったつもりやろけど。
これやとますますあのお義母さんの「優越感」が増長するだけや。
唐揚げひとつ、満足にできないのかしら。
不出来な嫁・・・もっと私が言ってやらなきゃ。
やっぱり貴信のことは私じゃなきゃだめね。
甘いって言うか見えてへんて言うか。
しょせん男にはわからんのやろな。
貸し付けている農地に桃泥棒が出たとかで
防犯カメラをつけて欲しい、と言われてるけど
地主が身銭切ってつけなきゃいけないのか、なんて話を
義父は貴信に愚痴半分に相談してる。
神経使う本条さんもおらんようになったし、
すっかり「都会のビジネスマン」気分でいろいろ講釈たれてる貴信と
のんびり話すのは楽しいようや。
でも、正直どうでもエエやん、そんなこと。
それよりもっと重大な話があるやんか、と
控えめにかつ、円滑に本条さんの話を切り出す方法を考えていると
義母が居間に戻ってきた。
今、鶏肉を漬け込んでいるから15分、いえ10分くらい待ってね、と言う。
ちょうどええ、うちが切り出すまでも無くお義母さんが言うてくれるやろ。
ところが、いくら待っても義母の口からは
一向に本条さんの「ほ」の字も出てきやへん。
再び、キッチンに行った義母が戻ってきて
さあいよいよかと思ぅたら、今度は唐揚げのレシピの自慢が始まった。
理恵さんが、本条さんの勤めてるアパレル会社のモデルにならないかって言われてる・・・
なんてアホな話が出て今度こそ、と思うたけど
お義母さんは「誰に似たのかしら?」やなんて言うだけで。
結局、うちの聞きたいことは誰も話題にせんまま
義父が酔いつぶれ、いつものお開きになった。
どーゆー事ぉ!?
居間のテーブルを片付けながら怒りのあまり手が震えてた。
とことん「長男の嫁」の「責任」やと言うことなんか?
徹底して「汚れ役」は押し付けようってことか?
ほんまにそれが娘を心配しとる態度なんか!?
ぐるぐる憤りを含んだ疑問が頭を駆け巡る。
頭痛はもう、最高潮。
大きい鐘が頭の中で乱打されて鳴り響きまくってる・・・。
もお、貴信にでも一言言わな収まれへん。
ちゃっちゃと片付けてしまお。
貴信はまだ一人、居間でチューハイ片手に本条のおっさんの
会社のカタログ眺めてる。
オーダーメイドでスーツを作りますって会社らしいけど
カタログのスーツが・・・「シャネルライン」だの
「セオリーライン」だの言うて・・・要はぱくりや。
アパレル言うてもぴんきり・・・かなりアヤシイ会社やないかと思う。
で、あの理恵がモデルやて?
あほ言いな、はっきり言うけど絶対無理や、あの顔じゃ。
・・・うまい事、転がされてんねやろな。
貴信は・・・あれで実は心配してるんやろか?
居間に戻り、貴信に
「うちらも明日早いから部屋戻ろうや」と促した。
そう言うたら荷物の手配、途中になってるわ。
・・・と思い出し、ため息が出たけど、まぁええ。
片付けがてら、ちょっと愚痴ったろ。
問題の義母は、義父と一緒に寝室に行ってる。
いくら息子が大好きでも、さすがに義父をほってはおけんらしい。
「あー、やっとのんびりした。
今回、本条さんが来るなんて思ってなっかたからなぁ。
気遣っちゃったよ。」
夫は和室に入ると開口一番にこう言った。
「なぁ!どないなってんの。」
充分に声は落として、言う。
「なに?」
「お義母さんに、文句言われたんよ。
なんで本条さんにはよ結婚しって言わんかったんやって!!」
「お前に?」
呆れたような、半信半疑のような顔で笑う。
「そや、長男の嫁の自覚があるんやったら、
理恵さんの為に一言言うんが当然やとか言うて。
そのためにうちらの都合に合わせて、わざわざ東京から来てもろたのに、って。
お義母さんの国では、東京は大阪より遠いんかいな!!
こっちはしんどいん無理して出てきてんのに、それも呼んだった言われて。
どう言うつもりなんよ!!」
言い出したらとまらない。
うちらが泊まってるときには、なぜか異様に夜中のトイレ回数が多い義母に
うっかり聞こえんように、細心の注意ははらいつつも
気持ちはどんどんヒートアップしてくる。
「わざわざ東京かぁ。
俺たちもいったん東京経由して帰るんだけどなぁ。」
「・・・・そこじゃない!
理恵さんの話や。」
「あぁ、かあさん達、東京コンプレックスみたいなのがあるんだよ。
だから都会人のお前じゃないと本条さんに太刀打ちできないって思ったんじゃない?」
「はぁ?なんやの、それ?」
「田舎の親が口出すより、都会もの同士のほうがいいって言うか。」
「なにが都会もんやねんな、いつも奈良奈良ってバカにしてるくせに!」
「でもずっと市内(大阪市内)で仕事してた訳じゃん。
充分都会人なんじゃないか?」
「ちゃうやん!自分の娘の事やん、心配やったら自分で言うとか
アンタか、お義父さんに言うてもろたらええんちゃうの?
なんで、いっつも清水の方針に従ってもらいますとか言われてるうちが
そんな大事な話に口はさまなアカンのんな。
いつから嫁が家の中仕切ってええ方針になったんよ。」
「俺ぇ? だーめだって。
結婚なんて面白くねーて言っちゃうもん。」
「どう言う意味や・・・。
せやけど、おかしいと思えへん?
なんでここで「嫁の責任」って話になんのんな。」
「うー・・・・ま、いいじゃん!」
来た・・・っ。
こういうヤツや。
「明日早いしさ、荷物それ手伝うから寝ろよ。
マメ太郎がねむいーって泣いてるぞ。」
おなかの赤ちゃんの事を言われると、怒ってばっかりやと
この子に悪いかと、ちょっと気がひける。
「でも、もぅ訳わからんっ。こんなん寝るに寝られへんわ・・・。」
「いいからいいから、とにかく横になれって。
・・・これ詰めるんだろ?」
うん、と言いながら横になる。
体は疲れきってる・・・・頭もがんがんしたままやし・・・・。
部屋の中をのぞかれることはないやろし、荷詰めはしてもらお。
「あ、そうだ。」
「なに・・・・?」
「あのさぁ、駅で理恵に3万渡したんだ。
まだ派遣だから小遣いないって言うし、おやじは手ぶらだったからさぁ。
財布、からっぽ。
帰ったら補填してよ。」
「・・・・っ!!!もぉっ知らんわっ!!!!」
タオルケットを丸めて投げつけたった、
背中を向けて布団に倒れこむ!
もーっ!!
なんやのんな、なんであほ理恵に小遣いまでやらなあかんねんっ!!
むっかつくぅ!!!
横になってもイライラと頭痛で満足に寝られへんかった。
それでも朝は5時には起きやなあかん。
洗濯して、朝ごはんの支度済ませとくんが嫁の責任やねんて。
それにキッチン、最後に磨いとかな絶対文句いうし。
ここを出るんは9時の予定やから、
もうちょっとゆっくりしてたいけど、オトシのせいか義母の朝は早い。
6時過ぎには起きてきて、お仲間と公園まで歩いてるそうや。
これがまた、おばちゃん6人で喋りまくりでうるさい、うるさい。
近所迷惑で通報されたりせんのんかな。
公園までの道に熊の巣ぅでもでけへんやろかと思いながら、
お迎えに来た、おば様連中の履物を揃える。
ここで顔を出して「きちんと躾をしている姑」の「成果」を見せるんがツボらしい。
50年くらい前のスポ根漫画みたいにレモン果汁を絞った
ミネラルウォーターをお出ししてると貴信が起きてきた。
「おはようございまーす。」
完璧な笑顔。
さすがに百貨店の外商や、人当たりのよさは一級品。
おば様連中はご機嫌、当然義母は鼻高々状態になってる。
「由香子おはよう、マメ太郎、元気かぁ?」
その言葉に、ぴくっと義母の目じりが動いた。
「あら?男の子なの?」
聞いてないわよっ!!と口に出さんでもわかるように
世にも恐ろしい目つきで睨みつけてくる・・・・。
「いえ、まだ5ヵ月なんで・・・。」
その言葉尻をさらうように、貴信が
「オトコ、オトコ。絶対そうだって。
顔つきがキツクなるって言うじゃん。由香子、顔変わったよネェ。」
と、自分の願望を都合のいい迷信に乗せて話す。
リップサービスって言うか世間話のつもりなんやろうけど
・・・もっと慎重に口きいてくれんと・・・。
「仲間の前で恥をかかされた!」とでも思てる義母は
ものすごい形相をしてる。
義母は、まだ飲み終わってない人もおるのに
「由香子さんて前からキツイからわからないわっ!」と
強烈なイヤミをかまして出て行ってしもぅた。
こんで今日の「お題」は決まりや。
「生意気でデキの悪い嫁に、つまはじきにされているかわいそうな私。」
ため息混じりに朝食の準備に戻る。
「いらん事言わんとってよ。」と夫に言ってみるが
「なに?オレ挨拶しただけじゃん。」
・・・・まったく通じない。
いつの間にか起きて来たらしい義父が、また
「オトコなの?」とにこにこ笑って聞いてくる。
「まだわからないんですよ、貴信さんがそう思ってはるだけで。
病院の検査でわかるんは来月か再来月やって聞いてます。」
「うん、まぁ元気だったらいいよね。
男なら言うことないけど、でもなぁ娘ってかわいいんだよぉ。」
・・・この人のいい義父の空気の読めなさ加減にはある意味、救われる。
サーバーからコーヒーを入れながら
「オヤジは娘に甘すぎだって!」と貴信が言うと
「何ぃ?オレ甘いかぁ?」
「昨日もさぁ、東京までの交通費とか言って小遣いやろうとしてたじゃん。
結局財布持って来てなくってオレが出したの、覚えてない?」
「あー・・・・そうかぁ?覚えてない。」
「おいおい、大丈夫かよぉ。」
「いくらやったんだ?」
「3万、初め2万渡しかけたらもう一声、とか言うんだぜ、あいつ。
オレ、財布からっぽ!」
「あははぁ・・・、お前も甘いじゃないか。
俺のことは言えんぞ、なぁ。由香子さん。」
「ねぇ。」・・・って補填してくれる気はないんやろなぁ。
この気の利かなさも義父らしいけど。
いかに娘はかわいいか、とか息子ができたらサッカー教室に入れるとか
他愛のない話をしてるうちに義母が帰ってきた。
女たちの気まずい空気にはまったく気がつかんのか、
気がつかないフリなんか、男たちはまだ見ぬ孫の話に大盛り上がりで
朝食は終わった。
これ以上は無いほどまずかった・・・・。
「ちょっと時間早いけど、駅まで歩くのにあんまり早くよう歩かんし、
途中でなんかあっても困るから。」とか何とか貴信に言うて
もう、とっとと帰らしてもらう事にした。
それでも玄関出たんは8時半頃やった。
「お世話になったお礼」と「ご迷惑をおかけしたお詫び」の挨拶をして
やれやれと思うた矢先。
「貴信、ちょっと待って。これ。」
「なに?かあさん。」
「昨日、理恵に3万あげたんでしょ?返しておくわ。」
「いいよぉ、別に。」
「あなたがよくってもね、由香子さんはそう思ってないわよ、ねぇ?」
ねぇってちょっと!
ちょっとちょっと!!
なんで、3万渡したん知ってんの?
お義父さん、忘れてたやん。
貴信とも全然そんな話してないやん!!
もしかして・・・・ゆうべ、
立ち聞きしてた訳!?
顔が真っ青に、血の気が引いていくんを感じた。
駅までは義父が送ってくれると言う。
義母に、3万円の事を話したのかどうしても気になった。
「お義父さん、昨日貴信さんが理恵さんにお小遣い渡した事、お義母さんに話されました?」
「んー?今朝はそんな話してないよなぁ・・・・と言うか
貴信に言われるまで忘れてたわぁ。なんで?」
「由香子ぉ。別にいいじゃん、そんなの。」
貴信は補填してもらえたんだからいいや、くらいに思ぅてる。
「ええ事ないって、貴信さんがお義母さんに言うてんやったら
またうち・・・困んねんけど・・・。」
「オレは言ってないよ、もうやったもんだからいいやって思ってたし。
オヤジだって忘れてたくらいの話だぜ?なぁ。」
「んー。かあさん、キツイところがあるからなぁ、
由香子さんもいろいろ考えたりするんだろう。
まぁ、あんまり気にしないで、それよりもっとのんびり構えなぁ。」
「・・・そうですね。」
やっぱり、と思った。
聞いてたんや。
大きい声は出さんようにしてたけど、
むこうもそれなりに考えて聞き耳立てに来るやろ。
そうや、せやないと最後に「由香子さんはそう思ってない」とか言わへんわ。
おおかた本条さんの話をウチが貴信に言いつけたりせんか、聞きにきたんやろ。
自分でもおかしいこと言うてんのん、わかってんねや。
後ろめたいとこあるから、心配になって聞きにきたりすんねん。
ほんまに。
あの人とだけはやっていけんわ。
山梨からの帰り。
新幹線に乗るなり、眠ってしもた貴信をよそに
いままでのあのお義母さんとのやりとりを思い出してた。
・・・結婚前から感じ悪かったなぁ。
昼ドラの世界の人かと思たわ。
もう根本的に違うんやろな。
うん、割り切っていこ!
仕事みたいなもんやと思えば、どないかなるやろ。
老い先短い・・・いや、はばかるかな、あの人は。
どっちにしたかて、山梨と大阪で離れてるんやし、
孫が生まれたらまた変わるとこもあるやろ。
切り替え切り替え。
まだ気ぃ早いとは思ってるけど「名づけ」の本を出す。
今、一番楽しいのがコレや。
気分転換に一番ええ。
熱中してたら、なんとなく線路の距離の分にあわせて
お義母さんのことも遠くなっていくように感じた。
女の子がええねんけどなぁ。
「花耶」・・・16画、いまいちやな。
「香」にしよか、「子」つけたら19画でサイアクか。
姓名判断とか頭から信じてる訳やないけど、
悪い、言われる画数よりエエって言われるほうがええと思う。
貴信の考えた名前のメモもついてる、何枚か増えてるわ。
そんなんも見ながら、いつの間にかうとうとしてしもたウチは
昨日、ほとんど寝られんかったせいか
うとうとから、ぐっと寝込んでしもた。
京都を過ぎたと貴信に起こされたけど、ほんまあっと言う間の感じやった。
もう棚から荷物も下ろしてあるし、
ウチが読みかけにしとった名づけの本も片付けてある。
新幹線に乗ってすぐに携帯のアラームをセットしてた貴信、
こういうところはよう気がまわると思う。
「おい、顔ボケてるぞ。」
そう言うて、缶ジュースで冷やしてたハンドタオルを渡してくれた。
ずーんと重い目の奥が気持ちよう冷えていく。
この半分でも山梨で動いてくれんやろか、と思うものの
もし、こんな貴信を見たらお義母さん、卒倒するかも知れん。
それはそれで面白いけどなぁ。
「なぁ、やっぱりお義母さん、聞きに来とったんかなぁ。」
「何、まだ言ってんの?結構しつこいなぁ。」
「えー、でも気になれへん?」
「理恵がなんか言ったのかもよ?」
「そうかなぁ、理恵さんそう言うタイプちゃうやん。」
理恵さんは図々しさを、なんも知らんのが若くてかわいいと勘違いしてるような子や。
あのお義母さんの態度を見てるせいか「お兄ちゃんのお嫁さん」は
自分より格下や言う態度とるし。
言わしてもらえば、あほ理恵もあんまり好きやない。
年が近い分、お義母さんより話やすいだけや。
「まぁなー。お礼ならオレに言えって感じだし。・・・あ、寒い?」
「ギャグやったん?」
「ちょっとね・・・・、でも一回オレにこっぴどく文句言われたから
いくらなんでももうやんないでしょ。」
そう、お義母さんには「前科」がある。
おととし、新婚旅行の帰り挨拶がてら泊まりに行ったときに
「トイレ」やと言うて立ち聞きしとって・・・
あれはホンマにびっくりして情けなくて涙でてきた。
貴信は本気で怒ってくれてたけど、結局通りがかっただけとシラを切りとおし、
謝ったりしてくれることはなかった。
「足音とかしなかったじゃん?」
「そらそやけどな・・・。」
「ああ!でもオヤジが言ってた防犯カメラの業者に言ったらお得意様価格で盗聴器つけられるかもな。」
「ちょっとっ!怖い事言わんとってよ!!」
「じょーだんに決まってるじゃん。」
・・・そんなリアルな冗談いらんわ。
「まもなく新大阪」のアナウンスが聞こえてくる。
乗り換えの用意は出来てるけど、混雑の人に押されとうないから
早めに席を立って、乗降ドアのところに行った。
「あんな、そんな冗談が出てくること自体おっかしいねんて。人間関係終わってるやん。
もうちょっと、どないかなれへんのかなぁ。」
「オニシュウトメ?それほどでもないって。
いつも行ってる松倉さん所なんてものすごいぜ。
外商なんか、客じゃないって思ってるせいかも知んないけど
人前でもぼろくそ!嫁さんむくれて部屋にこもるしさぁ。
あそこ、いつ殺人事件になってもおかしくないね。」
「・・・で、お先マツクラっていうヤツ?」
笑えんギャグや。
30も半ばになってくると言う事まで加齢臭がするんやろか。
「あれ、言った事あったっけ?
そうそう、お前もさぁ店、立ってた頃すんごいのいただろ?
それに比べたらまだいいほうだと思おうよ、な。」
去年の末に辞めた職場のことを思い出す・・・・。
密かにあだ名をつけとった常連の、おっそろしいお客連中の顔と言い草・・・・。
確かにまだお義母さんのほうが「マシ」って思える人がおるからすごい。
百貨店での10年は、そらもうウチをたくましくしてくれたと思うわ
そうそう、ウチの行っとった百貨店は「原則・社内恋愛禁止」になってた。
でも実際、そうそう出会いなんかあれへん。
学生時分の彼氏やら、コンパやらで調達できん場合は社内になる。
店頭立ってたらさぞかしいい出会いがあるやろーって言われるけど、
時計売り場か紳士服売り場の担当にでもならんと
そうそう若くて質のいいオトコなんて来ぇへん。
受付になんか絶対来ん、聞いたら恥ずかしいと思てんねん。
仮に来たにしても、お客さんひっかける訳にはいかんし。
・・・ひっかけていただく分には「しゃーない」ねんけどな。
ご多分にもれずって感じで、ウチと貴信も社内結婚や。
貴信が系列の京都店から転勤してきたとき、
ちょうど彼氏のおらんかったウチはきっちり貴信に目をつけた。
オトコマエ言うんはちょっとちゃうけど
慶応卒やし、背は高いし、さわやか青年て感じの気配りのできる貴信は
結構人気があって他にも狙てる子ぉはおった。
ウチとしては別に貴信本人やなくても、
コンパでもセッティングしてもろたらええのん釣れるかも知れんし、
本人と付き合えたら付き合えたで、自慢できるなぁと思うてたら
なんやあっという間にええ感じになって
結局、一年ほどの付き合いで結婚してしもた。
百貨店の外商にいわゆるイケメンはおれへん。
あくまでも感じのいい好青年・・・か、それが老化したんばっかり。
って言うんも、あんまりイケメンやと
いろいろと問題が起こりやすいからやと言われてる。
10年おったら退職金はあがるし雇用保険でもらえる日数も長くなる。
ええ節目やからと、結婚と同時に店は辞めることにした。
当然、冬のボーナスをもろてから辞めれるように、挙式は12月にしたら
死ぬほど忙しかった・・・・あれだけは失敗や。
年齢的に百貨店におるんはギリギリやったし
貴信は人気があるほうやったから「寿退社」は羨ましがられてたと思う。
あんな姑がついて来たんは反則みたいなもんやけど
ウチはいわゆる「勝ち組」言うやつなんやろう。
退職金やら、今までの貯金も合わして建売の家も買うた。
新大阪からは2回乗り換えなあかんけど
JRのG線沿いは環境もええし、まだ田舎やから物件も安い。
貴信の職場からも近いし、いずれ車でも買うたら
外環状線を行けば奈良の実家までも便利や。
35年のローンはぞっとするけど家も買うて、
バイトしながらのんびり医療事務の学校行ったりしてたら今度は妊娠。
これもウチはホンマに恵まれてるんやろ。
オニババみたいな姑とは同居ちゃうし。
夫は・・・時々ムカつくけど世間からはいい旦那さんて言われるような人やし。
家買うて、専業主婦やって、去年はグアムも行った。
(当然、山梨には極秘や。)
不妊とかで悩んでる人もおんのに、うまいこと妊娠もして。
平均・・・よりちょっと幸せな暮らしやと思う。
あのお義母さんとの事はウチの人生、相殺になるんやろと思うようにしてる。
大阪に戻ってから、2回ほどそのお義母さんから電話はあった。
理恵に電話して、結婚する気があるんか聞いてくれって言うんと
ウチから貴信をせっついて、本条さんの説得をしてくれ・・・て言うような話やった。
なんで自分でせぇへんのんな。
お腹の子供の事は、一言も聞いてこん。
この人の言う「愛情」とか「責任」て言うのはもひとつ理解できんわ。
まぁそれはそれとして、子供は順調に育ってる。
不思議なことに、あんだけ辛かったつわりも大阪に戻って
ちょっとしたら治まってきた。
「山梨恐怖症」やったんちゃうか。
妊婦検診は家の近くの産婦人科で受けてる。
けど、出産は奈良の実家のほうでしたいと思てた。
最近は、検診はするけど分娩はせんて言う病院が多ぅて
実家の近くでも分娩まで見てくれる病院は、なかなか見つからへん。
なんか、お産の医療事故ですごい賠償はらわされたりすんのに
いつ来るかわからん妊婦のタメに、設備も人間も用意しとかなアカンから、
みんなイヤがるようになってしもたとかで。
昔からある個人の病院に聞いてみたけどどこもやってなくて
もう大きい総合病院しかお産はできんみたいやった。
市立の総合病院からは早いうちに入院予約して、
検診もすぐこっちに切り替えてくれ、と言われたから
7ヶ月までは大阪から通ぅてたんやけど。
でも8ヶ月に入って、月に2回通わなあかんようになったら
このからだで、電車乗ったりするんはしんどいし怖い。
そしたら、貴信が早めに奈良に里帰りしたらって言うてくれた。
貴信はこれからお歳暮やら年末商戦で忙しなる。
なかなか帰って来れん。
自分がおらんときに、ウチになんかあったら困るから
実家におってくれたほうが安心や言うて。
それにここからやったら、家で建築士やってるおとうちゃんが
検診の時には車で送ってくれるし。
どっちにしても実家には帰るんが一ヶ月ほど早くなっただけのことや。
貴信も安心して、仕事できる。
案外、久しぶりの独身気分を楽しんでるかも知れんと思てたら
実際こっそりキャバクラに行ったらしいと、
後輩の女の子からおせっかいのメールが来て笑ってもうた。
ご飯もなんやかんやと飲みに行って済ませてるらしい。
それなりにうまい事やっとった。
そしたら、12月に入ってすぐ。
奈良の実家によ?
お義母さんが電話かけてきたからびっくりや。
年末年始は帰省せんのかって大阪の家に電話して
ウチが実家に帰ってるんを知ったらしい。
もう9ヶ月入ってんねんで?
なんで?
なんでそれでウチの親まで文句言われんの?
年末で貴信が忙しいのをわかっていながら、
11月の段階で早々と奈良に帰ったんが非常識や言うて。
そんなんもう過ぎたことやん。
それにお互い納得してやってんねん。
今さら、おかあちゃんやウチに文句言うてどないかなるんかいな。
後で聞いたら「どんな育て方をしたんですか!」とまで言われたって。
そっちこそどんな育ち方してんねんなっ!!
おまけに、年末に山梨に何で来ないのって。
予定日20日やで?
どないして行くん?
病院は山梨にいくらでもある。
なんなら、自分が理恵さんを産んだ病院を紹介する。
由香子さんは山梨に帰ってくるのがイヤで出産を口実にしてるって・・・。
もうめちゃくちゃや。
本気で言うてるからついていかれへん。
貴信が今年は帰らないって言うたんがゲキリンに触れたんやないかって
おかあちゃんが言うた。
なるほど、納得。
せっかくの休みに貴信が帰ってこんのは気に入らんし、
理恵さんの話も滞ったまんまになってんのをどないかさせよって思惑も外れて怒ってんねやろ。
・・・・無理無理無理ーっ!!
貴信だけ行きぃよって言うたら、
「オレもマメ太郎に会いたいからイヤだ!」って。
こじれるんは目に見えてたけど、
傍におってもらいたいんも本音やった。
貴信はGW代わりの4月の休みには必ず帰ると約束して、
赤ちゃんの誕生と正月を奈良で一緒に迎えてくれることになった。
それを素直に喜べんのが、むなしかった。
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