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嫁様は魔女
硝子窓(交錯)
「予定通りの時刻に家を出た、と言うことですね?」
遠まわしでやらしい言い方・・・・疲れる。
「アルバイトのシフトは月単位で決まっている、
つまり確実に無関係でいられる状況を作り出すことは簡単だ。」
一体何が言いたいのか?
二時間ドラマの俳優と同じ苗字のその男は
自分にはすべて見通せていると言わんばかりに深く頷いた。
*
なんでこんなときにこんなことを?
自分でもおかしいと思う。
小学校の頃、おじいちゃんおばあちゃんに連れて行ってもろた別府温泉。
町中のいたるところから細くて白い煙が立ち上り
その煙は子供のウチには、吐き気をもよおすほど臭く感じられた。
観光って言うのに『地獄めぐり』やなんて怖そうでイヤやなぁ、と思いながら
おばあちゃんに手を引かれて仕方なく歩いていくと。
真っ青な色の温泉。
わにのいる温泉。
鬼の人形が立っている温泉。
そう言うのを地獄に見立てているだけのことやった。
なんや、怖がって損した、あほやなぁ。
そう思って最後に見たのは赤い、血の池地獄。
もうもうと立ちこめる白い煙と鮮やかな赤い泥湯の色合いが
・・・・今。
目の前によみがえる。
夕暮れ。
回る赤い光。
なんでこんなに人がおるん?
車、こんなトコ止められたら困るんやけど。
その光はウチの家の窓に反射して、辺りを赤く照らしている。
うるさくて聞こえへんよ。
次々にウチに向かって何か叫ぶ人の口が、赤い。
黄色いテープに赤い光が単調なリズムで当たって
ちかちかと反射する。
まぶしい。
赤、赤・・・・赤。
血の池地獄。
あの。
地面の赤くて・・・黒いシミは・・・・・なんやろう。
そう思って。
思った途端、血の池地獄からウチは
黒い地獄に堕ちた。
*
「やれやれ、やっとママ出かけたねぇ。」
バイトに出かける妻を見送って、子供とだらだら朝メシを食う。
休日定番のパターンだ。
段取りには慣れたし、由香子は家の事は全部して行くから留守番に文句はない。
奏人の扱いも我ながら上達して、最近では結構自由な時間も楽しんでる。
これが毎日なのが『ヒモ』なんだろうなぁ。
女だったらダンナの稼ぎで家にいたって『主婦』の肩書きで堂々としてられるけど
勤めのない男に居場所なんか認められない。
ぶっちゃけニートだなんだって言われるヤツは社会のお荷物だ。
男は会社行ってカネ稼いでこそ、とオレは思ってる。
「ママも頑張るねぇー。」
ヨーグルトでベタベタになった奏の口の周りをぬぐってやりながら
由香子は一体いつまでバイトに行くのか、と考えた。
今はいいけど、コイツが幼稚園やら保育園に行くようになったら辞めてほしいなぁ。
うー・・・・、幼稚園の送迎なんてゾっとする。
カンベンしてくれ。
いや、逆に幼稚園に入ったら毎日行くって言い出すか?
そうなったらシフトが変わって、オレもお役ゴメンになったりして。
まぁ、主婦が外に出るのが悪いって訳でもないんだし
その辺はオレにとばっちりが来なきゃいいや。
「奏クーン、今日はオートバックス行こう。
タイヤがゴロゴロってそのまま置いてあって楽しいぞ。」
なんならもう一軒、イエローハットにも回ってもいいな。
冬ボの小遣いでタイヤ新しくしたい。
今日は暑くなるって言ってたよな。
飲み物は多めに持って行こう。
シンプルなコムサデモードのママさんバッグに手回り品を詰めている
オレの手元を奏の視線が追ってくる。
外出する時はよくわかってるんだよなー。
食事用の椅子から降ろせと言うアピールが始まった。
「ちょっと待ってな、お皿も片付けないとダメだろ?」
冷蔵庫には麦茶と一緒に、最近由香子がハマってる水出しのコーヒーが入っている。
今朝飲んだのか、もうろ過してボトルに移し変えてある。
ちょうどいい、貰っていこう。
帰りにちょっと遠回りしてやれば、そのままコイツは昼寝してくれるだろ。
今日はゆっくりガラスに撥水剤も塗りこもう。
つべこべいいながらのマンネリが楽しい。
そんな休日の始まりだった。
*
「まだ目ぇ覚まさんか?」
「うん、そっちはどやった?」
「議員の時のツテ、当たってみたけどみんな言いよることは一緒やな。」
「なんて?」
「高城のもんやって話でたらもっと騒ぎになるから、動くなて。」
「そんな・・・。」
「警察なんかアテならん、すぐにリークされんぞって。」
アタマからムリやとは思うてたけど、ワシらは何か動かずにはおれんかった。
由香子は運ばれてから一日以上目ぇ覚まさん。
このまんま夢の中でおってくれたほうがええんやないか。
乱れた髪にやつれきった白い顔、一晩泣ききって腫れ上がったまぶたの下の力のない目が
嫁はんを一気に彼岸の老女にしてしもた。
目を覚まして、現実を知ったら由香子はもっと泣くんやろ・・・。
「起きたらどない言おか・・・?」
何十回目かの問いかけに、毎度毎度おんなし答えを返す。
「ワシが言う。」
答えながら、これは『父親』の勤めやと腹を据えなおしてる。
こないな事になるんやったら、あの時山梨のオバハンの言う通り
離婚でもなんでもさしたらよかった。
いや、結婚させんかったらよかったんや。
言うてもどんならん後悔が次々に湧いてくるのを口にせんように抑えながら、落ちてくる点滴のしずくを眺めていた。
ワシにはカタカタと音を立てて震える嫁はんの背中を見ててやる事が、できんかった。
「あぁぼちぼち検査、終わりよるんちゃうんか?」
「せやね、行ってくるわ。」
小さく答えて幽鬼の足取りで娘の病室を出て行ったアイツは
どないな思いで由香子の涙を見つめるんやろう。
『運命を呪う』なんて言う陳腐な言い回ししか思いつかん。
こんな日を迎えるために、ワシらの今までの人生があったって言うんか?
*
ガンメタのスカイラインの快適な走りで気持ちよく熟睡したはずの奏人は
家で布団に転がしたとたんにパッチリと目を覚ました。
しばらく一緒に横になってポンポンしながら目を閉じて、
オレも眠ったフリをしてみたけど一向に眠そうなそぶりを見せない。
たった30分の昼寝で満足してしまったようだ。
しょうがない。
由香子が用意していった昼飯を食って、洗車にかかることにした。
できたら掃除機をかける間は寝てて欲しかったんだけどなぁ。
奏人は掃除機の音が嫌いで、スイッチを入れるや否やのタイミングで大泣きする。
眠ってるからと油断して、由香子が別の部屋で掃除機をかけようとしてもダメらしい。
道路に車を出し、奏はベビーカーでガレージに座らせる。
とりあえずゴキゲンだ・・・・が、やっぱり小型の掃除機を見た途端にうえーん、とやられてしまう。
だったらとオレは車内のじゅうたんをひっぺがし、水洗いをした。
全部ガレージの柵にぶらさげてやる。
前の持ち主のこだわりで『SKYLINE』のロゴが入った別注のじゅうたんだ。
オレも結構気に入ってる。
車体にはコーティングをしてあるから洗車そのものは楽な作業だが
雑巾でこすって細かいキズができないように、水滴を吸わせては絞る単調な仕事をくりかえさなきゃならない。
当然コッチを興味深げに見つめる奏に話しかけたって、返事は返ってこないし。
ちょっと気持ちが退屈しかけていた。
そんな時だった。
『うわぁ、34ですよね。』
そう話しかけてきた声に、オレは躊躇なく返事をした。
*
目の前に座ったその男は、
まるでアルバイトの面接にでも来ているような気安さで自分の名前を名乗った。
私は船越浩一郎。
どこかの俳優に間違えられそうな名前だが、年齢は私の方が6つ上だ。
この年齢になるまでこの仕事をしていて
こんな相手は初めてだった。
・・・違和感?異物感?
人間としての質の違いを感じずにはいられない。
『現行犯で逮捕』されて来たと言うのに、うっすらと笑顔さえ浮かべ
カレーの作り方でも話すように、自分のして来た事を克明に話す男。
コイツを同じ社会のルールで生きる人間だと認識するのには、生理的な嫌悪感すら覚える。
『異常犯罪』と呼べるケースは日々増えている。
その異常さは犯行の内容ではなく、この『異物感』がもたらしているのではないか?
その狂気じみた自己完結の世界は、
私の中の常識では到底理解する事はできなかった。
*
取調べをゲームの一場面のように面白がるこの男の母親は
私をさらなる衝撃の渦に叩き込んだ。
第一声が
『なんの権限があってウチの息子を取り調べてるんですか!』
そこから興奮した母親はさらに声を荒げて言ったものだ。
『名誉毀損で訴えます。』
『警察はか弱い市民を犯罪者に仕立て上げている。』
『冤罪だ、マスコミに公表する。』
完全に論理は破綻していた。
被疑者への取調べは権限でなく職務だ。
冤罪も何も現行犯で逮捕されて男はここにいる。
それをいきなり『名誉毀損』とは恐れ入る。
こっちこそ『公務執行妨害』を適用するぞ、と心の中で毒づいた。
「混乱されるお気持ちはわかりますが現行犯での逮捕です。
現在取調べ中ですが、本人も罪を認めて状況を話してくれています。」
何もその辺を散歩してる無実の人間を連行して軟禁しているわけではないのだ。
押収した証拠品の凶器から男の指紋が確認できている。
通報した住民の他に、
犯行から取り押さえるまでの間の一部始終を二階の窓から目撃していた主婦、
逃げようともがく男の確保に協力した男性もいた。
認めたくない苦しい胸の内を想像する事はできるが・・・コレはしかし・・・。
母親は息子の衣類の入った紙袋を投げつけてきた。
『警察は暴力で息子に自白を強要した。』
『正当防衛だ。』
『息子は病気なのだ。』
そして最後のヒトコトは
『いくら保釈金を払えばいいの?』
どうしてこの状況でこんなに高飛車でいられるのか、まったく理解不能だった。
近頃ハヤりの『モンスターペアレンツ』とか言う類か?
冗談じゃない。
ガキの万引きやケンカとは次元が違う。
めまいを覚えつつ、数人の警察官に頼んでこの母親には多少強制的にお引取り願った。
一緒に応対した課長はあの親にしての典型だな、と忌々しげに唾を吐いたが
その行儀の悪さを咎める気持ちなど、私には毛頭もない。
むしろ同感だ
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