熊野鬼城太鼓友の会

『魔見ケ島』の解説



 今を遡ること1200年、時の天皇は坂上田村麻呂を将軍に命じ
伊勢・鈴鹿の悪魔や紀南の魔王を退治させました。
熊野の鬼と将軍坂上田村麻呂との伝説の戦模様...
それが『魔見ケ島』です。

 一般的に鬼といわれる者は、悪者の設定ですが、
この曲では中央政権に反発する海の民、自由を勝ち得るために
戦いを選んだ反骨の人々という設定をあたえました。
それは昔々、時の政権より鬼と恐れられ、自由を愛する海人が
自分たちの先祖ではなかったか・・・
『素敵な鬼を表現したい』という想いからです。

初手の大太鼓はこれから最後の戦が始まる予感を表し、
熊野海賊の総大将多我丸が各地に散らばった鬼達に号令する様子、
一匹狼を含む鬼達が次第に結集し、更には死を覚悟し続々と団結し
士気を高めていく様を中太鼓で表現しております。

決戦前夜 嵐の前の静けさの中、波の音と共に昂ぶっていく
張り詰めた気持ちを締め太鼓で奏で、
最後のクライマックスへと一気にのぼりつめます。

力の全てを出し尽くした
その刹那っ!
将軍坂上田村麻呂の放った奇跡の矢が多我丸の胸を突き刺し・・・

戦の終わりが訪れる時・・・
立ったまま死んでゆく鬼達の誇り・・・無念・・・

戦の虚しさ・・・


この全てを見つめていたのが『魔見ケ島』であります。

『魔見ケ島』は今も昔の姿のまま、鬼ヶ城の沖に浮いております。

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      オリジナルCD 熊野鬼城太鼓『鬼の章』より(平成7年発表)



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