猫まんなのもこもこ手紡ぎワールド

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ウィーンのお菓子(オーストリア)

ウィーンのお菓子

19世紀の末に独特の世紀末文化を開花させた、音楽の都ウィーンには、たくさんのカフェがあります。当時の有名な作曲家、画家、作家などの行き付けの店というのがいまでもほとんど姿を変えずに残っていて、100年前と同じように、それぞれの夢や期待を胸にあちこちからやってきたお上りさん、そして旅行者や留学生などの外国人が、地元のウィーンっ子と一緒にウィーン風のコーヒーを飲んで、思い思いのときを過ごしているのが見られます。
世紀末のウィーンは、1860年代から約30年かけて行われた都市改造によって市街地が広がり、1873年の万国博の後のバブル景気のために人口が急増しました。しかし住宅事情はそれについていかず、バブルがはじけた後は、貧困と犯罪に悩まされることになります。時には零下20度にもなるウィーンの冬を凍えずにすごすために、人々は一杯のコーヒーでカフェに一日中座っていたのです。
しかし、フランツ・ヨーゼフ皇帝即位60周年記念式典などのはなやかな催し物が行われたりして、惨めな現実はあまり表面化しなかったということも言われています。ハプスブルク家や貴族階級と、カフェにたむろする貧民、この二重の現実が、ウィーンの独特の世紀末文化を醸し出したのかも知れません。実際、街角のカフェに集まる人々の中から多くの芸術家が出ました。
今日のウィーンのカフェにも芸術家と芸術家の卵たちが集まります。メランジェ(つまりブレンド)というコーヒーを頼むと、コーヒーのほかに小さなチョコレートとお水が一杯、楕円形の木のお盆にのって出てきます。カフェには季節の果物を飾ったお菓子や、日本でも知られているザッハートルテなどが並んでいます。どこの店のものでもたいがいおいしいのはさすがです。そしてそのカフェを行き付けの店にしている芸術家がそれぞれいるのでしょう。夢中でお菓子を食べ終わって、ふと顔を上げると、すぐそばの席で有名なオペラ歌手が同じ物をほおばっていたりすることもあるのです。

グーグルフプフ(クグロフ)Guglhupf

イーストを使ったこのお菓子は、ドイツやフランスのアルザス地方にもありますが、そちらの地方で休日の朝食に食べたりする、軽いものとは違って、ウィーンのものは重厚です。コーヒーに添えられるケーキ、と考えられているらしく、チョコレートを表面にたっぷりかけたものを見たこともあります。名前もドイツではクーゲルホプフ(Kugelhopf)と、微妙に異なります。このお菓子はマリーアントワネットがお嫁入りのときにパリに持ち込んでから、フランスでも広まったといわれています。

【材料】 直径20センチのクグロフ型1個分

型に塗るバターと小麦粉各少々
小麦粉 250g(12/3カップ)ふるっておく *1カップは250ml
イースト 小匙11/2
牛乳 120ml 人肌に温める
砂糖 75g
バター 75g 室温に戻す
卵 大2個 室温に戻す
塩 一つまみ
レーズン 40g
ラム酒 大さじ1(好みで)
レモンの皮 1/2個分 すりおろす
粉砂糖 少々

【作り方】
焼き型にバターを塗り、小麦粉をふりかけ、余分な粉を払い落とします。
小麦粉をボールに入れて、真ん中にくぼみを作り、温めた牛乳大さじ2と砂糖小匙2、イーストを入れます。スプーンでまわりの粉を少しだけ掻き落として、イーストと混ぜ、おおいをかけて、暖かいところに15-20分おいておきます。
イーストを発酵させている間に、レモンをよく洗い、皮をすりおろします。レーズンは熱湯を通し、水けを切ります。バターは溶かします。
べつのボールに残りの牛乳、砂糖、卵、塩を入れて、泡立器で混ぜ合わせ、溶かしバターを少しずつ加えます。
イーストがぶくぶく発酵してきたら、この卵の液を混ぜ、ラム酒、レーズン、レモンの皮のすりおろしも混ぜます。しゃもじで粉と一緒に混ぜ合わせ、さらに手で力を込めてこねます。はじめは手につきますが、こねているうちに扱いやすくなってきます。5ー8分こねたら、型に生地を入れ、おおいをかけて15分ほど発酵させます。
その間にオーブンを180℃(350°F)に熱しておきます。中段で40分から50分焼きます。
焼きあがったら10分ほど型にいれたままさまし、網の上にさかさまに取り出します。まだあたたかいうちに粉砂糖を茶漉しを使ってふりかけます。

* クグロフ型は、斜めに波のようなひだのはいったリング型です。調理用品店で手に入りますが、普通のリング型で焼いてもかまいません。
* 好みでアーモンドの薄切を型に貼り付けてから生地をいれてもよいでしょう。
* 電子レンジで溶かしたチョコレートをかけてもよいのですが、その場合は完全にさましてからにしてください。
* パン焼き機を使う場合は、レーズンを除いた材料を牛乳、卵、バター、砂糖、塩、レモン、ラム酒、粉の順に入れ、最後にイーストを入れ、ドウサイクル(こねるだけ)にセットしてスイッチを入れます。途中、機械の指示にしたがってレーズンをいれます。こねあがったら取り出して、型にいれて発酵させ、同じように焼きます。

ビショーフスブロート Bischofsbrot

これは元来ザルツブルクのほうのお菓子だということですが、ドイツでも結構知られているようです。中に入れる果物やナッツの種類や分量に変化をつけてもかまいませんが、チョコレートだけは必ず入れてください。油分を全く加えていない、かるい生地のケーキです。

【材料 】 25センチのローフ型1個分

型に塗るバターと小麦粉各少々
板チョコ 25g 刻む
クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツ等、40g 刻む
サルタナ、チェリー、等、 25g
レーズン 25g
オレンジ又は、レモンの皮の砂糖づけ 25g 刻む
レモンの皮のすりおろし 少々
卵 3個 卵黄と卵白を分けておく
粉砂糖 100g+25g
バニラシュガー 小匙1
小麦粉 125g
粉砂糖 少々

【作り方】
型にバターを塗って、小麦粉を振り掛け、余分な粉を払い落とします。ノンスティックの型を使うときでも、この手順ははぶかないでください。
ナッツ類、チョコレート、砂糖漬けなどをレーズンと同じくらいの大きさに刻みます。混ぜ合わせてボールにいれておきます。
大き目のボールに卵黄をほぐし、粉砂糖100gをあわせて、クリーム状になるまですりまぜます。
オーブンを180℃にセットします。
別のボールに卵白をかたく泡立て、残りの粉砂糖25gとバニラシュガーを加え、さらに泡立てます。これを4分の1ほど、先の卵黄に加え、軽く混ぜます。そこにふるっておいた粉の3分の1、、ナッツと果物の3分の1を順に加えて混ぜ、これを繰り返します。このとき、最後にいれた卵白が、まだ判別できるくらいで混ぜるのを止めます。
型に生地を流し込んで、10センチ位の高さから、布巾の上などに一度落とします。余分な空気を抜くためです。オーブンで45分ほど焼きます。竹串をさして、なにもついてこなかったら焼き上がり。型のままさまし、粉砂糖を振り掛けます。一晩おいてから切り分けます。

*バニラシュガーは自分で作れます。バニラビーンズを買ってきて、グラニュー糖の中に入れておくだけで香りが移ります。びんの大きさにあわせてバニラを折ると、中から細かい黒い粉が出てきます。焼き菓子に使用する分には気になりませんが、カスタードクリームなどでは粒が見えます。いわば本物のバニラを使っている証明といったところです。

このほかにもパラチンケンと呼ばれるハンガリー風クレープがあります。(ハンガリー語では「パラチンタ」)トプフェン(Topfen)という、クリームチーズとヨーグルトの間のようなものをジャムと一緒に巻いていただきます。トプフェンはカナダではQuarkという名前で売られています。少しゆるめですが、布巾に入れて吊るして水切りをすると巻きやすいかたさになります。クレープは少し厚めに焼いてください。
もう一つポピュラーなものにアプフェルシュトゥルーデルがあります。カナダではパイ生地にりんごを巻いて焼いたものをさしてシュトゥルーデルと呼んでいるようですが、本当のシュトゥルーデルの生地は、新聞の文字がすけて見えるほどに薄く薄く伸ばします。そこにりんごをのせてぐるぐると何度も巻いて焼くのです。これも、しゃれたカフェでいただいてもいいし、道端で売っているのを立ったままほおばってもおいしいのです。











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