旅の途中、寄り道の日々

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魔法少女「藤崎 歩」第3章「日常」



無断転記禁止です。

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では、「魔法少女『藤崎 歩』第3章『日常』」始まります。





俺は夢を見た。

ものすごい『非現実的』な夢だ。

教室に入ったら魔法少女を語る女がいていきなりその女に下僕呼ばわりされるんだ。

それに黒猫が喋ってる。

17歳にもなってどんな夢を見てるんだか。ちょっと自分に呆れる。

そして、俺は学校のベルの音で眠りの世界から引き戻された。

「もう朝のHR始まるよ!」

いきなり女の子に声を掛けられた。ちょっと可愛い。

あれ?なんだかこの子、夢で出てきた女の子に似てるな・・・・・・

「ありがとう、君の名前は?」

いくら夢で見たといっても初対面には代わりが無い。まずは名前を聞かないとな。

「えっ?」

ん?何かまずいことを言ったかな?一瞬だが不思議な目で見られた。

「ごめん、自己紹介は自分からするもんだよね」

とりあえず俺は一般的な知識を持ち出して言ってみた。

「俺の名前は古舘 明、よろしくね」

「うっ、うん。私の名前は藤崎 歩、よろしくね」

「じゃあ、そろそろ先生来るし席に戻るね」

そう言って、彼女は自分の席に戻った。

『ガラガラガラ』

ドアの開く音、先生が入ってきた。確か今度の先生は『谷 末次』とかいう体育教師だ高校の時は砲丸投げで全国3位の記録を持つ明るい先生だ。

とりあえず俺は朝のHRなんて受ける気も無いのでまた眠りに付こうとした。

「はい、皆席について~朝のHR始めるわよ~」

女の声?

頭を上げると白衣を着た見たことも無い先生がいた。いや、それは別に問題ではない全部の先生を把握しているわけではないし新しく赴任した先生って事もある。

だが、おかしい、朝、廊下で見たクラス名簿の担任の欄には『谷 末次』の名前があったはず・・・

って、あれ?なんで俺、朝にクラス名簿見たんだっけ。

まあ、いいか。

ざわつく教室。

「あの人誰~?」 「ここの担任って谷先生じゃないの?」 「教室間違ったんじゃね?」 「白衣のお姉さん萌え~」

教室のほかのやつらも疑問に思っているようだ。

「はい、はい!静かに~。今、説明するからね~」

先生が喋りだした。皆、静かになる。

「それで、よろしい!」

「まず、自己紹介ね~。私の名前は『逢沢 時恵』って言います。『逢沢先生』とか『時恵ちゃん』って呼んでね」

なかなか明るい先生のようだ。それに結構美人の部類に入る。

「教科では生物や科学を教えています」

ああ、それで白衣を着てるのか。納得。

「年齢は25歳、スリーサイズは秘密よ」

なかなか本題に入らないことに痺れを切らした様子の女の子が言った。

「そんなことより、谷先生はどうしたんですか?」

確かに言うとおりだ、谷先生はどうしたのだろう。

「ああ、うん。谷先生ね」

「えっとねー、谷先生は・・・・・・」

なんだか言いづらそうだ。

「先生が食べちゃいました、えへへ」

下を出して子供みたいだ。いや、待て。今、なんて言った?

「いや~、おいしかったわよ。やっぱりスポーツしてる人の体って淡白で脂臭く無くてね」

「冗談はやめてください!」

質問をした女の子が立ち上がって怒った様子で言った。

「冗談じゃないわよ~、とってもおいしかったもの」

ちょっと笑い顔で先生が言った。

「ハッハッハッ、まさか谷先生はヤりすぎで来れないってことか、面白いやろうだな」

髪を茶色に染めたちょっと悪いやつを気取ってそうなやつが言った。

「ヤりすぎ?、やーね、そっちの食べるじゃないわよ。最近の高校生はませてるわね~」

ちょっと頬を赤らめて先生が言った。

「そうね、言い方を変えればいいかしら」

「谷先生は私が喰いました、『ご馳走様』」

茶髪のやつが言う

「またまた~、冗談きついな~『と・き・えちゃん♪』」

「ん~信じてもらえないか~」

そりゃそうだ、現実的に考えて人が人を喰うなんて・・・・・・

「あっ、そうだ!これを見せれば信じてもらえるかな!」

そういって先生はかばんの中を漁り出した。

「あった!これよこれ!」

取り出したのは『保存用タッパー』だ。そしてタッパーの中から出てきたのは・・・・・・

「ジャーン!これを見れば皆も信じるでしょ!」

『顔の皮』と『目玉』だった。

「なっ!」 「うそだろ・・・」 「マジかよ・・・」 「キャー!」

クラスからいろんな声が聞こえる・・・・・・

そんな中茶髪のやつが言った。

「どっ、どうせ作り物だろ!最近のやつは良くできてるからな!」

否定しようとしているが動揺は隠せないようだ。

「あら~君はまだ信じてくれないのね。面倒だし君も食べちゃおうかしら」

先生が茶髪の生徒の所に近づいていく。

『コッ・・・コッ・・・』

一歩。また一歩と。

まるでお菓子でも食べている子供のように『顔の皮』と『目玉』を喰いながら近づいていく。

俺はなんだ、夢でも見てるのか。ここはSF映画の世界じゃないしファンタジーの世界でもない。平和な日本の学校だ。

なのに今、クラスのやつが喰われようとしている。

いきなりやってきた白衣の担任にだ。

頭が痛い。俺はまた夢でも見てるのだろうか。夢なら覚めてくれ。

長い舌が唇の周りに付いた血を舐め取る。

「じゃあ、いただきます」

先生が口を開けて茶髪に齧りついた。はずだった。

「そこまでよ!『マンイーター』」

突然聞こえる声。先生の動きが止まる。

声のする方を見る。そこに彼女がいた。朝に声を掛けてくれた彼女。

夢で見た魔法少女『藤崎 歩』

腰に手を当て仁王立ちで指を『逢沢 時恵』に向けていた。

それはいつか見たポーズ、朝に夢で見たポーズ。

皆、藤崎の方を向く、もちろん先生も。

「へ~お嬢ちゃん、よく知ってるわね、私が『マンイーター』だって」

「まぁ、頭がいいからね」

「うふふ、あなた面白い人ね。おいしそう、じゃあ『いただきます』」

そう言って、先生は藤崎に標的を変えて口を開けて飛び掛かった。

藤崎は何か唱えだした。そして言った。

「下僕『古舘 明』に命ずる!私を守りなさい!」

俺?余りにいきなりの展開に驚く俺。

いきなり体が動いた。

「ちょ!待て!」

体の自由が利かない。

この感覚は前にも感じたことがある。

今日の夢の中だ。

いや、今日の朝だ。

俺はいい加減に現実逃避を止めることにした。

「『非現実』から『現実』への現実逃避なんて思ってもみなかったな」

いつもの独り言だ。

気が付けば俺は椅子を持ち上げて『逢沢 時恵』の顔をブン殴っていた。

「ご苦労様、『明』目は覚めた?」

「ああ、覚めたさ、『歩』このまま寝てれば良かったと今でも思うけどね」

本当に思う。夢なら良かった。

「ホラ、雑談している暇も無いわよ」

『逢沢 時恵』が起き上がってこっちをにらめつけてる。

「あら~、お嬢ちゃん、やるじゃない。その年で人間の『下僕』持ちだなんて」

どうやら俺は他者にも『下僕』扱いされたらしい。

歩があたりを見回して言う。

「ここじゃ、被害が大きいわね。屋上に行くわよ!」

そうして、俺達は屋上に走り出した。

「私の顔に傷をつけた罪は重いんだから逃がさないわよ!」

『逢沢 時恵』も追ってきた。

屋上に向かって走ってる俺は思った。

グッバイ『平和な日常』

そして、こんにちは『絶望的な非日常』


                  続く?




あとがき^^;

やっと物語りはファンタジーの面に進みました。

次章は戦い。

次もお楽しみください。

「魔法少女『藤崎 歩』第4章『戦闘』」に進む

感想はこちらまで。

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