会長のぶらぶら日記

会長のぶらぶら日記

新潟日報社平成17年4月16日記事より


新潟日報社記事より
「手探りの春6」--復興へ 中越地震・・・支援の募金全国から
作業所 修復工事着手 障害者に励み

新潟日報


 包装紙には「全国からのご支援にありがとう」と印刷した。十日町市高田町3の心身障害者福祉作業所「ワークセンターあんしん」が製造している再生紙のトイラットペーパーを包んでいる。通所者は近くの施設を間借し包装・箱詰め作業に励む。被災した作業所の修復工事の音が聞こえてくる。
 地震直後、所長の樋口功さん(55)は市役所に駆け込んだ。県庁にも電話した。職員は申し訳なさそうに答えた。「民間施設の場合、被害への支援制度はありません」。作業所は二年前に発足した特定非営利活動法人(NPO法人)「支援センターあんしん」(本田欣二郎会長)が運営してきた。
 40年以上前に建てられた木造の元織物工場を借りていた。壁が崩れ、基礎がゆがんだ。トイレットペーパーの巻き取り機も壊れた。功さんは「呆然自失」。しかし、10代から60代まで11人の通所者がいた。自宅では通所者の一人、三女の明紀子さん(22)が行き場を失った。重度の知的障害がある。自身に怖いと言えない。しかし余震のたびに体の動きが止まり、硬直した。怖がっていることが功さんに痛いほど感じられた。
 明紀子さんの障害は3歳のとき、交通事故で頭を打ってから。作業所は功さんが「将来、親がいなくなったとき、障害者が堂々と暮らせる環境をつくっておきたい」と思ったことが出発点だ。
 功さんも小学校のとき、骨髄炎を患い左足に障害を負った。25年前に屋根の融雪事業などを展開する会社を設立した。毎朝4時には出社する。妻(53)や娘らの6人家族。会社は自宅から歩いて数分、作業所はその隣だ。
 運営費として県や市町村から年間約270万の補助が出ていた。しかし、被災への公的支援はない。一方、社会福祉法人など国が認可した各施設には数百万ー数千万円の補助が国と県から支出された。
 社会福祉法人になるには1千万円の資産が必要など、いくつかの認定要件がある。「金がないから福祉法人にはなれない。なれないから金がない。障害者には作業所の運営がどこだろうとかんけいないのにー」。功さんはインターネットのホームページなどで支援を訴えた。 
 反響は予想以上だった。募金は当初見込んだ700万円を越え、新たにバリアーフリーのトイレなどを設置することにした。4月末には改修工事も完成予定だ。トイレットペーパーの注文も全国の施設や企業から相次ぐ。ただ、中古でも500万円はかかる巻き取り機の購入はめどがつかない。
 明紀子さんの担当は箱詰め作業。包装紙の図柄を一定方向にそろえて詰める。功さんが「おお、すばらしいねえ。きれいだねえ」と声を掛けた。明紀子さんは黙々と手を動かし続けた。


障害者福祉施設
中越地震では社会福祉法人や県、長岡市が運営する14施設で約1億5900万円の被害が国の査定で認められた。復旧費の6分の5を国と県が補助する。県障害福祉課によると、県が運営費の一部を補助している民間49施設のうち、十日町市の「あんしん」など5施設で被害がみられたが、災害時の補助制度がないために、自力で復旧している。




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