トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2017/08/18
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カテゴリ: ひよっこ
■面白い会話劇にはそれを提供する「場」が必ずある。たとえば「あまちゃん」における喫茶(夜はスナックになる)リアス、「カルテット」におけるあの別荘の食卓、古くは「ふぞろいの林檎たち」における場末の食堂などが記憶に残る

■この「ひよっこ」でも月時計というスナックがそれにあたり、そこに登場人物が集まれば他愛のないお喋りであれ、深刻な別れ話であれ、今回のような女性同士で繰り広げられる様々なテーマの話し合いであれ、それが物語の本筋と離れようが離れまいが、ついつい見とれ聞き惚れてしまう。(しかし、本筋って何だ)

■今回の岡田作品の特徴はその会話劇の主体のほとんどが女性同士に限られているところにある。「あまちゃん」にしても「カルテット」にしても、そこには同数ないし、複数の男性が共存していた。それに対しこのドラマでは老いも若きも含めてガールズトークがそのほとんどを占める。たとえば今回の月時計のメンツで今週の「やすらぎの郷」(このドラマにも「カサブランカ」という場があるが)におけるハッピーちゃん問題を話題にしたとしたら、昭和の大作家である倉本聰に対して、さぞかし辛辣な意見が飛び出していたことだろう。

■堺雅人は民放の「リーガルハイ」でやたら朝ドラの主人公みたいという形容をしてガッキーを罵っていたが、島崎遥香もまたこの主人公のことを我慢、健気、笑顔の三拍子そろった典型的な女性(ヒロイン)であると指摘する。もちろんそれに対して主人公は反論する機会を与えられ、結局はその跳ね返り娘の生き方問題に議論は向かい、悪い(ように見える)人がまたひとり減っていくという方向にドラマは進んでいく。

■その月時計における最終問題の決着はまた持ち越されたわけだが、それ以上に今週私が心を動かされたのは前回から続くヤスハル問題の方である。今日もまた場所を代え、すずふり亭の裏の空き地で弾き語る曲は森山良子の「この広い野原いっぱい」。まだ餡子がついている靴下を取り換えられないまま子犬を引き連れ彼の歌う曲がそれこそ本筋とは関係ないのに妙に心に響くのはなぜだ。もしも彼にリクエストが届くとしたら、昭和42年の曲の中から荒木一郎の「愛しのマックス」か、タイガーズの「モナリザの微笑み」を演ってほしい。





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Last updated  2017/08/25 11:28:57 PM
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Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…
Mr.Zoku@ Re:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) 今年出た[Deluxe Edition]は聴かれました…

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