○・。Mooncalfの絵本。・○

○・。Mooncalfの絵本。・○

11-15



11■■空の線路■■  

青い空に飛行機雲
それはどこまでも続く
白い雲の線路

さあ たしかめにいこう。
どこまでも続く、あの線路の
終着駅はどこなのか
くつなんていらないよ
裸足でいいの
お気に入りのキャンディーを
ポケットいっぱいにつめて
この小さな部屋から飛び出そう

どこまでも続く線路をたどって
あの列車にのって
しらないまちに、会いにいこう。

aqua

12■風がないている■

風が泣いている
激しく 激しく 激しく
頭を抱えて、
狂うが如く泣いている
風が近づけば、物は皆逃げてしまうから
近づけば近づく程飛んでいってしまうから
風が泣いている
教室の窓の隙間から入り込んで
掲示板の紙を一枚引きちぎって
そしてまた何処かへ向かう
逃げない者を探しに

aqua

13■橙色のためいき■

夕日が橙に、まあるく燃えていた
線香花火のように、橙にまあるく燃えていた
線香花火のような夕日が
ちょっとためらいながらぽたりと落ちて
激しくて、熱い夏が
ちょっとためらいながら
終わっていく

aqua

14■空とぶ魚■

 空とぶ魚を探しにいこう。
「とび魚じゃないか」なんて
 そんなナンセンスなこと言わないで

 もっと、遙か遠く
 もっと、遙か高く
 雲の合間をぬって泳ぐ
 空とぶ魚に会いたいの。

 空とぶ魚に会いにいこう。
「飛行機じゃないか」なんて
 そんなナンセンスなこと言わないで

 この世界の殻をわるほど
 この世界の殻が砕け散るほど
 もっと、はるか高く
 空とぶ魚になりたいの

 空とぶ魚のように
 羽ひとつだけを身にまとって
 何もかも脱ぎ捨てて
 この世界に
 飛び込みたいの。


aqua

15■忘れられた果実■
おおきく おおきく
実ったのに
その果実は忘れられて
幹も 根も そして木の葉さえも
枯れ落ちて
果実だけが不安そうに漂ってる
そして 今日も
その果実のように不安定なこの街を
やさしく やさしく てらしてる

aqua

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