○・。Mooncalfの絵本。・○

○・。Mooncalfの絵本。・○

26-30


26*Eden for dawn*

 ここは、世界の始まりの場所
 すべての始まりの場所
 死した小鳥も
 ここで目覚め
 また空へと飛び立っていく

 なのに貴方は戻らない
 ただの一度の人生で
 満足だと言う

 私はそんなことを言う人を知らない
 すべてはここへ戻り
 終焉を迎え
 そして再生を求める
 なのに貴方は願う
 白い棺で
 永遠(とわ)に眠ることを
 どうして・・・?
 貴方は少し微笑んで言った
「僕は、あの人に、出会えたから。」

 もう貴方は話さない

blue

27*little by little*

景色を綾なす全てのものは
little by little
少し 少し 変わっていく
桜は葉桜へ
たんぽぽは綿毛へ

けれど僕の中には
常春の国があって
花畑はずっと花畑のままで
常若の君を包み込む
君は花畑で
花冠をつくったり
寝ころんだり
僕という傍観者を見つけては
笑うんだ
光のように

景色を綾なす全てのものは
少しずつ 変わっていく
春から夏へ
子供から大人へ

けれど常若の君は
常春の国で
笑うんだ
光のように

blue

28■Starting in ending.■

地球は回って
朝がきて
やがて夜がきて
「その日」が終焉を迎えていく
僕はその終焉を感じるように
静かに目を閉じる

そしてまた
地球はまわって
朝がきて
僕は静かに目をあける

ああ、僕は今、生きている。

blue

29■灯火■

僕の闇を
灯火のように
優しく暖かく包んでくれた君
いつか僕も
君の灯火になろう
やわらかく微笑む君は
いつもどこか
寂しそうな瞳(め)をしているから

blue

30■ふるふる■

ふるふる ふるふる
天より下り落ちるは雨
雨が降り注ぐのは
この世に悲しみ ある限り

雨でどんなに世界が潤っても
心までは潤せない
だから悲しみは続く
だから雨は続く

でもふるふる ふるふる
天より下り落ちるは雪もそう
どこまでも白く儚い雪は
枯れた私の 人々の心を
白く白く 塗り替える

どうか今年も
白く儚い雪が降りますように。


blue

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