○・。Mooncalfの絵本。・○

○・。Mooncalfの絵本。・○

06-10



6■赤の餞別■

この紫の瞳をもったばっかりに
あたしは全てを失った。
得たものは聞きたくもない声を聞き取る力
そしてそれに伴う頭痛
どうしてこんなにも
世界は汚れてしまったのだろう。
だけどあたしは
そんな世界の闇で生きる者になった
光の世界には戻れない
あたしはビルの屋上から
あたしの住んでた街を眺め
そして餞別に
一本の赤い薔薇を
大都会の渦の中に投げ入れた

さよなら、私の日常。



7■遺伝子コード■

アナタを見ると
 アタシの中で何かが反応して
 血が 遺伝子が もう一人のアタシが騒ぐの。

『さあ、ホントのアナタを開放して。』

 赤く染まった遺伝子コードは
 アタシの本能を呼び覚ます
 そして知らぬ間に何かが反応して
 アナタを密かに からめとる



8■アタシ。■ 

 蒼い渦が
 私をからめとって
 ぐるぐる渦巻く運命へ
 私をぽんっと投げ入れた。

 私は沈む
 しずむ しずむ
 ぶくぶく泡は
 水面目指して 上がってゆくのに

 私は沈む
 しずむ しずむ
 運命の底には
 一体何があるのかしら?

 それはアタシ
 紛れもなくアタシ。
 アタシの運命を弄ぶのは
 他の誰でもない、このアタシ




9■■冤罪■■

彼を愛したことが
どうして罪になるの
一族の人々が
片手に十字架
片手に斧を持って
制裁を下さんが如く
押し寄せている

貴方は眠りについたのね
深く 深く 
誰にも邪魔されないほど深く
それでいいの
こんな醜いことを見せて
貴方を苦しめたくない
この家に火をつけてしまおう
貴方との思い出が
何一つこぼれないように
何一つ汚されないように
これは冤罪なのだから

眠る貴方の身体を抱いて
炎の中祈り続ける
長い輪廻の時の中
また貴方に巡り逢おう


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