エトナの独り言

エトナの独り言

『1』 出会い


フレイさんの…道具講座、テオテスカトルの生態、とまだ見ぬ仲間達とのチーム編成、動き方、どんな装備でいったらいいのか等々の知識講習も終わり、そしてロードワークのおかげか、私の足も少し格好が変わってきたような、そうでもないような…。

いよいよ…いよいよあたし達の古龍狩りが始まる。
あたしはフレイさんの勧めで桃色のフルフルUシリーズと呼ばれる鎧に身を固め、武器はハイフロストエッジを構えた。
なんでもあまりそうは見えないけどこの鎧は火にはそこそこ強いそうだ。
フレイさんはというとなんだか物々しくとげとげしい、両肩からは前に向かって大きな角がそびえるディアブロSシリ-ズと呼ばれる鎧を全身そろいで装備をしていた。
そして…背負うは封龍剣『超滅一門』と呼ばれる大きな刀身の剣だった。

あ、あとはフレイさんに荷物持ちとして色々持たされておりますがぁ~。
あたしこんなんで走れるんだろうか…。
とても心配だなぁ…。


あたしたちは揃って町の集会所に向かった。
集会所はハンター達の集い場。
にぎやかな声、酒のにおい、色んな熱気であふれてる。
集会所の中にはハンターギルドがあり、各種クエスト依頼とその斡旋をしてくれる。
そして仲間を募ったりそこで一緒に戦ってくれる仲間を得ようと呼びかけたりする者、1人でクエストに挑む者、ただ単に酒を飲む者、さまざまだ。


町の集会所ではフレイさんの知り合いと思しき男のハンターが二人酒を酌み交わしながら待ってくれていた。片方の男はにらみをきかせながらも目線を戻しまたグラスの中身をを口に含んだ。
少しピエロのような碧い鎧を着てる。
あれは…エンプレスシリーズだ。
傍らには多分コロサル=ダオラ、クシャルダオラの強い冷機を帯びた素材を使った伝説とも言えるハンマーだ。
片方の男はこちらに気づくと軽く手を上げた。
にこやかな笑顔だ。でもその笑顔は少し軽くも…あるかな。
でも印象的なのはその顔よりも鎧だった。
深い輝きのある銀の鎧…。
でもあたしこんなの見たことないな。
彼は弓使いらしく矢筒を背負っていた。武器は…これまた見たことのない白い弓だった。

あたしたちはゆっくりとテーブルに近づいた。
『よう死神。そっちがお前さんの話できいた弟子って子かい。頼りなそうだな。』
あたしをちらちら見ながら先ほどのにらみをきかせていた男は酒を飲みながら毒づく。

ドンッ!!
フレイさんのこぶしがテーブルに落ちる。
『あたいをその名前で呼ぶとあんたも死ぬよっドレイク!』
あたしのことで怒ってくれたんじゃなかったのか…。
まぁ確かに頼りないのは否めないしねぇ…。
『ふんっ、分かったよフレイ。だが…そのお嬢ちゃん連れてあのエドガーの敵を討とうってんだろ?エドガーがいてもやられておめおめ帰ってきたのにその代わりがこの子かい?採算あわねぇんじゃねぇのか?』
ドレイクと呼ばれたハンマーの男は飲むのをやめてまっすぐフレイさんを見ながら言った。
『採算といわれたら…申し訳ないけどあんた達二人を当てにしてるのは否めない。ドレイク、ラルフお願いだ。あいつを討たせてくれ。確かにあの時はエドガーと二人でも討てなかった。それだけじゃない…エドガーを、見殺しにして生き延びちまった。今度は、今度こそはあいつを倒したいんだ。だからこそあんた達に頼んだんだ!』
ラルフと呼ばれたさわやかな弓男はいすからすっと立ち上がり、フレイさんとあたしの前に立った。
『ちゃぁ~んと倒して帰ってくればいいんだろ?フレイ。僕たちだって古龍は何度も相手しているしテオテスカトルも葬っているしなぁ。きっと大丈夫だろう。まぁせいぜい無茶だけはしないようにね、ルミナ嬢ちゃん』
先ほどの男の顔ににこやかな笑みはなかった。
腰に手を当てて薄目で顎を上げている。
誰だって経験の少ないであろう厄介者のお守りという役割は不満だろう。
相手が古龍炎王龍なのだから。油断をしていればどんなハンターだってやられる。この二人はそれを十分に知っている者だからこその反応であるのかもしれない。
『僕達だけなら楽勝なんだけどねぇ~。でもまぁ彼女を育てるのが目的と言うのであれば…難易度は上がるねぇ。』
『なんの難易度なんですか?』
あたしは無謀にもその会話に参加してしまった。
『君を生かしてここにたどり着かせる難易度さ、分かるかいルミナ』
目が『お前は黙っていろっ』って物語っている。
色んな意味であたしはでしゃばったことはしないほうがいいと感じた。

けっしていい雰囲気ではなく4人は同じテーブルに着き酒を飲みながらテオテスカトル討伐について打ち合わせを行った。

1-2に続く


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