西ドイツの風力発電について


環境大国ドイツ、風力発電1万8500ギガワット時 世界の4割(3/1)


 【ウィーン=黒沢潤】環境大国のドイツで、「再生可能エネルギー」である風力を利用した発電が年々増加する傾向にある。2003年の風力発電量は1万8500ギガワット時と、過去5年間で約4倍に増え、世界の風力発電全体の4割を占めるまでになっている。

 ドイツの03年の風力発電による消費量は、電力全体の約4%。シュレーダー左派政権は10年に12.5%、30年には15%に増やしたい意向だ。

 二酸化炭素(CO2)など、温暖化ガスの削減を目指す京都議定書が2月16日に発効し、世界的に環境保全への意識が高まる中、世界の風力発電の約4割を占めるドイツは、名実ともに「環境先進国」の筆頭だ。ドイツの風力発電量は、デンマーク、スペイン、米国の3カ国を合わせた数字より大きい。

 ドイツ国内の風力発電機の多くは、比較的強い風が吹くデンマーク国境近くの田園地帯などに設置されており、現在、計約1万6000基が稼働中だ。10年には、約2倍の3万基が設置される見通しという。

 国内の風力発電機は1基あたり3メガワット級が主流だが、発電機メーカー大手の「リパワー」は最近、約4500世帯への電力供給が可能な5メガワット級を開発した。

 トリッティン環境相(90年連合・緑の党)は「約10年前に『風で十分な電力など確保できる訳がない』と言っていた人たちが今、徐々に認識を改めつつある」と、ドイツの「エネルギー革命」に胸を張る。

 ただ、風力発電の難点はコストが高いこと。独北部の「ブレーメン・エネルギー研究所」のウォルフガング・プファッフェンベアガー氏によれば、1キロワットの風力発電にかかる平均コストは10セント(約14円)で、火力発電など他の主力エネルギーの3倍という。

 風力発電のもう1つの短所は、設置場所を容易に確保できないことだ。5メガワット級の風力発電機の羽根は直径が約126メートルもあり、今後、数万基を設置した場合、「土地の風景を損ねる」といった声があがりかねない。

 実際、野党キリスト教民主同盟(CDU)のクラウス・リッポルド議員も「風量発電の問題は、地元の人々が好まない場所に、多数の発電機が設置されることだ」と指摘する。

 環境保全には「最適」とも言える風力発電だが、高コストや設置場所の確保など、今後、解決しなければならない課題もまだまだ多い。




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