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かるーく読んで行こうよ!!
私小説続き
そもそも僕らはいつも一緒…というほどの仲ではなかった。
何故なら。
僕が男であって、彼女は女だったから。
特に小さいころは一緒だったのかもしれない、だからといって小学生になって少したってくると、小学生特有の…だろう。
女と遊ぶ男とは遊ばないよーと言った感じの風習が男友達の間にあったからだ。
今思えばそんなのは、ただ恥ずかしかっただけって言えるけれど。
あの時はどんなことより、男友達から省かれるのがとても辛いって思っていたのだろう。
だから段々とだけど、彼女と僕は離れていった。
それから何度か彼女の一歳だけ違った弟と一緒に遊ぶことが多かった。
けれど目的は彼女の様子を見ることだった。
もしかしたら、僕はその時には小学生ながら恋をしていたのかもしれない。けれど今となっては露知らず…だ、聞きたかったらその当時の僕に聞いてくれ。
そんな彼女が中学上がる前に引越しが決まった。
前々からだったらしいのだが、きちんとした日取りも決まり春休み中に引っ越すという事だった。
僕は当初、なんのことかよくわからなかった…
既に小学生を終え、中学生としての春を迎えようとしていたにもかかわらずだ。
だから、彼女の見送りはしたくなかった。
それが最後の挨拶になるのが怖かったから。
だから僕は、彼女の見送りで顔を合わせることのないように。
家のベランダから彼女が車に入る前に。
「またなーーーーーーーーーーーー。」
と、大きな…とても大きな声で言った。彼女は振り向き、軽く手を掲げた。
僕もそれに倣った。
そして幼馴染であった彼女は知り合っていた僕らの前から姿を消した。
それからだいぶ経ってからの話になる。
そもそもの事の発端は、高校生の友達にあった。
結構仲良くなったので、二人で遊びに行く事も結構あった。
そのどれか分からないけど気付いたら俺の幼馴染の話になったのだが、それが原因だった。
今を思うと恥ずかしい話の話題だったような気がする、それをお互い暴露し合うところで俺の幼馴染の名前を言った瞬間、彼女の顔が「えっ」という顔になった。
そして何故か「にやり」ともした。
その時俺は幼馴染の話ではなくもっと別の話をしていれば他の事になってそれ以降なんともなかっただろうに。
彼女は特に知ったような感じではなく、あっけらかんと。
「あたし、その娘の事知ってるよ。」
と、きたものだ…
さすがに驚いた、ただ高校で友達になっただけというのに。さらには知っているだけではなく、一緒に遊びに出かける友達のようだった。
ここになって「彼女」との繋がりがまた出来た…。
ただ、会って話がしてみたい。と彼女にかけあったら。
「あたしも気になるから、イイヨ、ちょっと待ってね。」
と携帯を取り出し何をするかと思ったら
「じゃ、準備できたらすぐに来て頂戴。」
…もう既に彼女を呼んでいたのだった…。
「おーきたよきたよ、こんちゃ~。」
「んもう、いきなり過ぎだよ。」
「あはは、わるいわるい会わせたい人が居たから。」
そして、彼女達は俺の方を向き。
彼女は
「誰。」
と言ったのだった。
とまあ別に何かしら、小説のような再開じゃなくて俺ららしいなとも思った。
お互いあの時のようにもう子供じゃなかったから。
だから俺は自己紹介をしてやった
「最上隼人です、お久しぶり。『石歌 雫』さん。」
それだけだった、その後は気付いてくれたようで普通に三人して遊んでいた。
それ以降また、一緒になって遊ぶことはなくなってしまった。
それから約三年の月日が流れていた。
俺は相変わらず、宙ぶらりんな生活をしていたしバイトもしてた。
何かしたいものはあるか、って言われたら三秒で無いとも言える気がした。
そして、バイトも唐突にやめて余計に宙ぶらりんになった生活から早2ヶ月が経とうとしていた。
既に外の世界では紅葉もさって、じょじょに葉が枯れていく中風も冷たくなり。
すっかり秋模様から冬への変わり様をかもし出していたそんなある日の朝。
相変わらずにパソコンをいじっていた時。
俺の携帯電話に見慣れぬアドレスからメールがきていた。
内容は
「久々に話がしたくなりました、どこか落ち着ける場所でしたいです。昼の十二時に以前あった品川の駅前で待ってます。」
とだけだった、最初は間違いメールか何かかなと思っていた。
だけど、気になった。
もしかしたら、久々に面白いことに首突っ込めるんじゃないかなって思ったから。
メールがきてから既に三時間が経っていた。
急がなくっちゃと思ったときには既に十一時。
俺は、いつもより歩く早さを速くして、目的地へと進んだ。
目的地に着いたころには既に日は高い場所にあり、時間はとうに昼の十二時を過ぎていた。明らかに過ぎていた。
そしてもう時間が過ぎてから三十分程が経とうとしていたとき。
駅前にある交差点で気付いた。
それは小学生まで一緒だった幼馴染
高校のときにひょんなことから一度だけ会った幼馴染
その高校の時会ってからしばらく見ないうちにまた大人になった幼馴染
そんな彼女が向かいの交差点で立っていた。
俺は彼女の姿を確認し、少し経ってから俺の視線に気付いたのかこっちを向いた。
そして信号は赤信号だった。
俺らはその時だけ。
僕らになった。
「や」
「や」
お互い聞こえない声なのに、聞こえたような気がして。
恥ずかしげに小さく掲げた右手が何よりの、僕らの合図だった。
Writen by きりや.
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