たぬきぶたの日記2

たぬきぶたの日記2

C11さよなら列車



前のページ | ホームに戻る | 次のページ


C11さよなら列車





昭和47年3月14日

授業が終わって機関区へ急いだ。

疑問がわいてきた。朝の列車の後には昼の写真がない。つまり授業には出たはず。

しかし、機関区に行ったのは昼の2時ごろだったと思う。

ということは・・・・まさか、授業を抜け出して行くなんて・・・

自分ではSL撮影のためにサボるということはしなかったと思っている。

でも、同窓会のときの同級生の話では、抜け出したことがあるらしいのです。

友達の話は誇張だと思っていたのですが、こうして証拠写真がありますね。

う~ん、やっぱりかあ。そうなのかなあ。

悪いやつです。でもきっと、そのときは一大決心をして抜け出したと思うのです。

この日に写しに行かなければきっと後悔する。止めてくれるなおっかさん。

俺の大好きなC11が呼んでいる。写しに来てくれ~と。


今回はしつこいくらいに似たような写真を並べます。

まあ、うんざりするでしょうが、我慢して見てちょ。



いつもの朝の列車は姫路行きに正面を向いて先頭は逆行運転です。

この日は特別です。列車を前からでも、後ろからでもC11が

正面になるように運転します。



機関区長さんのあいさつがあります。そのころは各地で

さよなら運転が行われていました。そのセレモニーの写真を見ると

結構はなやかな飾りつけと盛大な会が行われていました。

しかし、この播但線のC11は鉄道雑誌でも大きくは取り上げられませんでした。

C57の生野峠越えみたいに人気があるわけではないし、ローカル線の

有名でない路線だし、人気のC62やC57、C55でもない。

タンク機関車の絵にならないようなSLのさよなら運転は関係者だけの

ややさびしいセレモニーでした。あっさりとしたあいさつで、

あれ、もう終わり? という感じ。

飾られたC11は金がかかっていません。ヘッドマークも花飾りも

職員の手作りです。祝日に使う国旗を飾ってそれらしくきれいに

なりました。さよなら列車の中でも一番質素な列車だったと思う。

でも、行事の進行の中で職員の皆さんのSLがなくなる寂しさは

僕にもしっかりと伝わってきた。みんなさびしそうでした。

たんたんと時間が過ぎていく。それぞれの持ち場での仕事をこなしていく。

僕は見ることができなかったが、記念撮影はあったのだろうか。

つぎの写真にいきましょう。



C11363号機の前で、記念に。学生服着ているので学校から

直接来ているのがわかってしまう。相棒はもっと遠くの場所に

行っていた。「授業?そんな関係ねえ~。」と言ったかどうかは

知りませんが、まあ、僕は機関区での撮影でよかったんじゃないかな。



機関区長さんのあいさつがありました。みなさんはいつもの作業服

のままです。すすにまみれて働くのが国鉄マンの印象がありますが、

まさしくそのとおりでした。




普段は目立たない地味な仕事の旗ふりさんも、大勢の人たちに

見られながらの最後の誘導です。




次は車掌区に行ってまたセレモニーです。

2台とも戦後に作られたきれいなカマでした。ボイラーの上の

ドームも丸型のきれいな形です。




この日は機関士も普段のナッパ服ではなく、制服着用の正装

でした。




客車の清掃を担当する客貨車区のみなさんとも紙テープの

見送りです。




客車との連結です。もう一台の363号機はずっと向こうの後ろに

すでに連結が終わっています。




準備ができて職員の皆さんも緊張のとれたところで、おもむろに

記念撮影です。さっきは363号機だったので、今度は331号機です。




いよいよ発車を待つばかりです。さて、この後のシーンですが、

残念ながら、ない。 え~、なんで?


不思議ですが手元にありません。

可能性として、36コマ目が多重露光になっている。あれ~。なんで?

なんで40枚も撮影できるの?  おそらくフィルム送りの穴が切れて

終わりの感知ができなかったじゃあないかな。残念でした。

だから発車シーンは   ない。

なんというミステーク。おお神よ、なんといういたずらでしょうか。

これも授業をサボった罰なんでしょうか。許してくれ~。

こんなことで意地悪は   やめてよ。

帰りの列車を野里~京口間で写しました。これです。




後ろが入りきらない場所なんですが、まあ仕方ない。

次の写真はどうでしょうか。僕も初めて見るコマなんです。びっくりです。




これだけはサイズアップにします。

夕方の4時ごろの列車だと思う。天候も悪かった。

シャッタースピードが60分の1秒だった。SLに照準をあてているので、

なんとなく流し撮りみたいになっている。このスピードだとブレるのは

明らかなので、SLの動きに合わせてシャッターを押したのかな。

結果的に流し撮りみたいになった。背景の家がずれているように見えますね。

ピントはばっちり番号に合っている。

お見事。残念ながら、水平な位置でないので、ちょっと見にくいね。

後ろのC11も写していますよ。じゃあ、一枚だけね。




小雨が降っていたのかなあ。写真のなかに傘を差している人もいる。

監視の警察官も白い雨合羽を着ているのがわかる。

そして、写しているジャン。そうです、思い出しました。このとき

警察官も写していたんです。まあ、いいじゃあないですか。

線路に入るばかな奴がいないかと、警備しているわけだけど、

みんなマナーを守って撮影していることだし、記念すべき日の

二度と見られない光景なんですから。

撮影後は機関区へ走った。まだ余韻はない。会いたい。C11に。




すでに車庫に収まっていた。明日から客車を牽引しての運用はない。

せいぜい構内での入れ替え作業ぐらいのものでしょう。

そして、全般検査が切れるのを待って廃車の運命です。

この播但線でSLの撮影を始めて一年半。ついに、終焉の時を迎えました。

さよならC11



前のページ | ホームに戻る | 次のページ




© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: