たぬきぶたの日記2

たぬきぶたの日記2

撮影後の早朝 その1



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新入生歓迎の簀巻き



昭和48年5月7日早朝に事件は起きた

撮影後に東京に戻った友達と別れて寮に帰ったおいらは疲れで爆睡した。

着の身着のままで蒲団にもぐりこんで意識はなくなった。


大正時代に建築された学生寮は木造だがりっぱな造りだった。

(古いので消防署から危険建造物に指定を受けていた)

南寮、中寮、北寮それぞれに2階建で各20部屋、一部屋に2名で定員は120名。

当時は約90人ぐらいは居ただろうか。ほかに女子寮もあった。

松本駅を出るとメインストリートがあり、それをひたすらまっすぐに進むと、

突き当たりに旧制松本高校の校舎が見えてくる。

僕が入学する前年までここに文学部と理学部があった。

ドイツ風建築の建物で敷地内にはヒマラヤ杉の大木がうっそうと繁っていた。

それまでの町並みが急にとぎれて、別世界に入ったような雰囲気です。

現在は県(あがた)の森公園として保存されているが、寮があったのは駐車場あたりになる。

SLを写した残りのフィルムでりっぱな校舎跡を写した。

残念ながら寮の建物写真がまだ見つからない。



 文理学部421縮小.jpg



 文理学部422縮小.jpg



 文理学部426縮小.jpg

寮の玄関付近から校舎方面を写した。



文理学部423縮小.jpg

「松本高等学校跡 われらの青春ここにありき」

旧制高校の同窓会有志が前年に立てた石碑です。



さて、話はSL撮影から帰った夜に起きた。

この寮では新入寮生への歓迎ということで、簀巻きにしてどこぞに捨てられるという、

うわさがあった。

何のことやら分からないし、先輩に聞いても話しをはぐらかされていた。

撮影から帰った僕は爆睡状態で寝ていた。

4時頃だったろうか、部屋のドアがスーと開いた。

誰か入ってきたな。おぼろげな意識の中で、ひそかな声が聞こえた。

「みんな、用意はいいか。やるぞ。」 とたんに、大きな声で、


「南寮9号たぬきぶた、簀(す)巻き!!」

何事だ!なんだ!

その瞬間に何人かが蒲団の上からのしかかってきた。わあ~、動けない。

一瞬、恐怖で暴れたが、多勢に無勢。それに疲れていたので力も出ない。

でも恐怖から暴れた。すると、 ボコッ、ボコッ、

「静かにしろ!」うむ、その声は副寮長のT先輩。

殺される訳でもなさそうだ。

あ~、これが噂にきいた簀巻きかあ。

そうしている内に、縄で蒲団ごとぐるぐる巻きにされた。

まだ寝ぼけている。蒲団ごと数人で部屋から運び出された。

周りは何も見えない。玄関あたりにリヤカーが用意されていたようだ。

リヤカーに乗せられて待つこと少々。しばらくすると、別の部隊がもう一人を運んで来た。

「よいしょ。」 どすん。

俺がどの向きに押し込められているか、そんなことは彼らには知ったことではない。

窮屈な姿勢で、俺の上にもう一人が乗っている。苦しいよう。なんとか息はできる状態。

しばらくして出発した。

寮歌を歌いながらぞろぞろと目的地まで行くのです。続く・・・・



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