『エロスに古文はよく似合う』阿刀田高／『深爪』中山可穂 | うさぎのなんとなくな日々

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Jun 6, 2004

『エロスに古文はよく似合う』　阿刀田高　／　『深爪』　中山　可穂

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91884)

カテゴリ：本のこと

『エロスに古文はよく似合う』　阿刀田高

高校の時の友人が阿刀田高が好きで
何冊かもらったのだけど、1ページも読まないままに
本棚で眠っていた。

高校生のとき、古文と漢文はとにかく嫌いだった。
古文の先生はよく言えばとってもレトロな雰囲気の
悪く言えば…ダサイ年齢不詳の女の先生。
とにかく堅くて、授業はちっとも面白くなかった。
漢文はちょっとナヨっとした新米男性教師。
虎の巻を読み上げるこれもまたちっとも面白くない授業。
元々国語とか生物とかっていう文系科目は好きではなかったうえに
授業が面白くないので、全く勉強しなかった。
故に私は古文の常識レベルの知識も興味もない。

この本は『今昔物語集』の中から何作かをとりあげて
わかりやす～く紹介している。
「今は昔…」ってやつだ。
高校の時全く勉強していなかった私は
この本を読んで「へぇ～そうだったの～」ということが
たくさんあった。
全31巻からなるのだが、1～5巻が天竺（インド）、
6～10巻が震旦（中国）、11～31巻が本朝（日本）の
お話らしい。
芥川龍之介の有名な『羅生門』をはじめ
『鼻』『藪の中』などは『今昔物語集』がもととなっているらしい。
その他、武者小路実篤、堀辰雄、菊池寛など
多くの作家に『今昔物語集』に題材をとった作品があるようだ。

今まで「今は昔…」くらいの知識しかなかった私にとって
初めての『今昔物語集』に近い状態なのだが、
この本はタイトルからもわかるように
『今昔物語集』のなかでもエロスに関するお話を集めたもの。
え～こんなもの高校の授業で習ってたの～と思ってしまった。

それにしても昔の人って単純だったのね…と思ってしまった。
（不謹慎発言？）
酔っぱらった勢いで（？）自分の奥さんを他人に献上してしまって
その結果えらい落ち込んで死んでしまったお話とか…。
他にもえええ？という話が多い。
もちろんエロスに関するお話ばかりではない。

芥川龍之介の『羅生門』の元となっている
本朝（日本）の部の第29巻第十八話「羅城門登上層見死人盗人語」。

うさぎフリークとしては興味のある月に兎が住むようになった由来話の
第5巻第十三話『三獣行菩薩道兎焼身語』なども紹介されている。
ただ、これはちょっと兎がかわいそうな気もする。

高校の時の古文もこんな風に教えてもらっていたら
もう少し興味がもてたかもしれない。
実際、この本を読んで『今昔物語集』が元となった
芥川龍之介他の作品を読んでみたくなった。

『深爪』　中山　可穂

読書好きの友人からもらった本。
同性愛（レズビアン）を扱った作品。
深爪、落花、魔王の3部からなる。

第１部「深爪」は、主人公は人妻を愛したビアンの女性「なつめ」が主人公
第２部「落花」は、第１部の人妻「吹雪」が主人公。
第３部「魔王」は、第2部の妻「吹雪」に逃げられ、幼い息子と共に取り残された夫が「マツキヨ」が主人公。

私はどうも恋愛小説があまり好きではないらしい。
愛だの恋だのと騒いでいた学生時代なら少しは感動できたのだろうか。
しかもこの作品は同性愛（レズビアン）を扱っている。
了見が狭いのかもしれないが、同性愛はどうも分からない世界だ。

それにこの作品、同性愛ではなく、異性との不倫だとしても
3歳の子供を置いて恋愛に走ってしまう人妻はどうなんだろう…。

しかもこの夫が滅茶苦茶好男子。
実家にも頼らずに息子の面倒をせっせと見るのだが、最終的には…。
この結末も納得いかず！
私にとっては唯一まともだと思える夫の章だけ感情移入できたが、
やっぱりこの手の作品は苦手だ。

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