Jun 14, 2004
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カテゴリ: 本のこと
グロテスク/桐野 夏生/★★★☆☆

タイトルだけ見たときはグロテスクな殺人か何かを題材にした
ホラーっぽい小説だと思っていたので、手を出さずにいた。
先日桐野夏生がトーク番組に出ていて、興味をそそられたので
図書館で借りてきた。

最近文庫本を読むことが多かったので、ハードカバーの
上下2段組は読み慣れるのに少しかかった。



主人公の語りと、その他の人の手記という形式でストーリーはすすんでいる。
主人公の「わたし」はスイス人の父親と日本人の母親を持つハーフで
妹「ユリコ」との2人姉妹。
「わたし」とユリコは姉妹でも全く似ていない。
ユリコは怪物的な美貌の持ち主で、私の容姿は平凡。
小さい頃からユリコと比べられ、ユリコの美貌を妬み、
それはユリコ自信への恨みとなった。
ユリコから離れたい一心で「わたし」は猛勉強の末、
都内の一流校Q女子高に入学。
しかし、後に「ユリコ」は美貌を武器に中等部の帰国子女枠で
入学してくるのだった。

Q女子高は小中高大学一貫校で、
内部生による外部生蔑視。
内部生のなかでも家柄、学力、容貌によって
自ずとランク付けがされる階級社会。
『太陽の季節』の世界だ。
たぶんモデルになっているのも同じ学校だろう。

そこで出会ったのが、「わたし」と同じ外部生の和恵と
中等部からの内部性のミツルだった。

和恵は上の階級を目指して努力をするが、
「わたし」からみるとその努力は無駄で滑稽なものだった。

一方ミツルは成績はずっとトップを保ち、運動能力も抜群。
だが、そんなミツルも中等部では外部生として
虐められていたのだった。

誰の心の中にも少しはあるだろう「妬み」「恨み」「蔑み」
「羨望」「悪意」などの感情が
突出したそれぞれの人物のグロテスクさ。

筆者が女性だからこそ、ここまでグロテスクに感じ、
慄然とする内容に仕上がったのだろう。





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Last updated  Jun 17, 2004 11:39:25 PM
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だぶるえんだー@ 初めまして  私も手紙魔です。よく出しているのです…
うさ★うさ @ Re[1]:結婚のお祝いに(09/29) ウメグミさん こんばんは♪ 参考だなんて…
ウメグミ @ Re:結婚のお祝いに(09/29) こんばんは。 素敵なアイデアですね。 …
うさ★うさ @ Re:はじめまして。(09/20) 小梅6388さん はじめまして。 お返事が…
小梅6388 @ はじめまして。 Postcrossingですね。 私もやっています…
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柊♪ @ Re:台風よりすごかった(09/17) 台風よりすごい、ってすごいですね^^; そ…
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