バカ足日記

ブレスト


そんなこともあって手始めに平泳ぎ、というのも今にしてみれば無謀。わーけわかんない世界の扉を叩いてしまいました。

3ヶ月経過、踵の引き付けをするにも左右のバランスが崩れる。たまに、水にバレずにできても蹴ったことで崩れてストリームラインになれない。
でも、なんだか近くに来ている気はする。蹴ってほしくてちょろちょろ遊びにくる水の気配がある。
「目だ。」
いつも、目は大きなな役割を果たす。連れて行く、引き寄せる、押し遣る、目も使いよう。
比べて弱い左半身を気にして、見る。それがマイナスに働いていた。
顔はおそらく動いていないが目でちらっと左側の世界を気にする。視界は変わらないが一瞬左目が泳ぐのを自覚した。それでバランスを崩している。

陸上競技の短距離選手だった人に「バランスを崩したときにはどうやって立て直すのか」と尋ねたら、「その勝負は負け」と答えられてしばらく考えながら泳いでいた。
そうか。前に倒れ込めばいい。地面相手ではできないが、水ならできる。バランスを崩したら、とにかく前を見て上半身に体重をかけて倒れ込む。ブレストではブレスを除いて顔は底、というがそれはキックができてからでいいことにした。横に暴れないために前を見据える。

壁からスタートでうまくいかないときのことに思い当たった。
左目が騒ぐとラインがぶれる。

キックの引き付け、ちょうど良い角度が私にもあるような気がした。作るものでも気をつけるものでもなく、腰が決まっているときに膝から先がふっと軽くなり、そのときならば足でまあるく水の玉を作る感じがある。金メダリストの言っていた「これが平泳ぎのタイミングです」のような気がした。
呼吸で顔を上げたあとで腹が崩れ脚が落ちる。板付きバタ足で呼吸を練習するときには背中を保っているのに。まだまだ甘い。
肋骨をしまう感じ、いつも何度でも。あああ。いいんだ。この、もがいているのが楽しいんだ。ひとりsmの世界。

泳がずにいると最後に泳いだときの記憶は美化される。
ちょっとできたような思い込み(これはとても大切だが)のまま時間が経つのはまずい。


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