あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

愛の飛鳥路殺人事件

愛の飛鳥路殺人事件 ~愛の飛鳥路殺人事件~


駆け出しの女優、中川亜矢子のもとに、奈良へ取材旅行に同行していた編集者の小田から、推理小説家の大西秋彦が行方不明になったという報せが入る
亜矢子と秋彦は結婚を誓い合った仲だけに、気が気でない亜矢子
すぐにでも奈良に駆けつけたい気持ちでいっぱいだったが、ドラマの撮影があるため、そうもいかず、悶々とした日々を過ごしていた

数日後…
飛鳥で、秋彦の死体が発見されたという一報を亜矢子は受ける
恋人の死に嘆き悲しむ亜矢子だったが、さらに追い討ちをかけるように、弟の死を聞き九州から駆けつけた秋彦の兄である大西夏彦から、「弟から結婚の話は聞いていない」と一蹴され、冷たい仕打ちを受ける

秋彦の死の真相を探るべく亜矢子は、女優という職業を活かし、京都や奈良へのロケがある作品を選び、その撮影の合間を縫って、京都と奈良の取材旅行で秋彦がどういった行動をしたのか、付き人のユキや、小田の協力のもとに調べていく
京都の嵯峨野では、秋彦は赤いコートの女と話しこんでいて、飛鳥では、男と何やら口論をしていたという情報を得る

次第に明らかにされていく事実
しかし、第二の事件が起きてしまった
秋彦の取材旅行に同行していた編集者の小田が、京都駅で服毒死体となって発見されたのである
前日、小田と偶然会った亜矢子は、「ちょっと調べたいことがある」と小田の口から聞いていたこともあり、秋彦の死と関係があると睨む

恋仲にあった女流作家、ライバル作家、秋彦の兄、取材先で揉めた男性、謎の赤いコートの女…
浮かんでは消えていく容疑者たち
事件の真相に迫る亜矢子の身に降りかかる数々の罠…
果たして犯人は!?



~感想~
長編推理作品なので、新しい容疑者が浮かんでは消え、浮かんでは消えの繰り返し
なので、読んでいてちょっと中だるみしてしまうのだが、最後は大団円というか、幸せに向かっていく明るい結末だったので、読んだ後、晴れ晴れとした気分になった

という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです

この作品は、「山村美紗長編推理選集」月報に載っていた『春の大和路殺人事件』を改題したものです



◆この原作のドラマ化作品◆
平成4年11月14日放送
土曜ワイド劇場
『京都―飛鳥路の旅殺人事件・婚約旅行で恋人が消えた!・華やかな女を誘う疑惑の罠』
出演/中川亜矢子…柏原芳恵/遠藤ユキ…西村知美/狩矢警部…若林豪/大西夏彦…中野誠也/大西秋彦…北詰友樹/大西文子…中島ゆたか/小田悟…桂三木助/野上悠子…山村紅葉 ほか

…ドラマの内容
サスペンスドラマの撮影で鳥羽を訪れていた中川亜矢子は、付き人の遠藤ユキの計らいもあり、恋人の大西秋彦と落ち合う為、奈良へと向かった
売れっ子の小説家でる大西は、編集者の小田悟とともに、奈良に取材旅行に来ていたのだ

女優と小説家、お互い忙しい身の二人は、なかなか会う時間が作れないこともあって、奈良ではつかの間のひと時を楽しむ
翌朝、小田から、大西と連絡が取れないことを聞かされる
落ち着いてホテルで待っていることができない亜矢子が、宛てもなく車を走らせていると、なにやら野次馬が騒いでいる場所に遭遇する
気になって人混みをかき分けてみると、男性の遺体が発見されたという
胸騒ぎを覚えた亜矢子が制止を振り切って駆け寄ると、それは変わり果てた大西の姿であった…

大西と亜矢子は、結婚の約束をしていたが、それは周囲には明かしていない二人だけの話だったので、大西の死を聞き駆けつけた兄の夏彦には、「そんな話は聞いていない」と、軽く一蹴されてしまう
恋人を失い、遺族からも虐げられた亜矢子は、一体誰が大西を殺したのか、付き人のユキと事件の真相を探る

亜矢子が真っ先に疑ったのは、大西とは恋仲だった女流作家の野上悠子だった
奈良の前に京都に取材していた大西は、哲学の小径で偶然にも赤いコートを着た悠子と会ったことを、取材に同行していた小田から聞かされる
実は、亜矢子が大西と室生寺を訪れたとき、大西と赤いコートの女が密会している現場を亜矢子は目撃していたのである
もしや、悠子は室生寺まで大西を追ってきて、揉めて殺害したのだろうか?

恋人の死の真相を探る亜矢子に降りかかる数々の疑惑と、新たなる殺人…
果たして犯人は?

…ドラマの内容
原作からはだいぶ枝葉が落とされていて、スッキリした展開になっている
細かな設定の変更はあるものの、ほぼ原作に忠実な仕上がり
ただ、主演の二人の女優さんの演技(台詞回し)がちょっと、ぎこちなかったように思う




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