【杖、ステッキ】
最も一般的な歩行補助具です。
上肢により体重を支持し、左右のバランスを取りながら 前方に重心を移動しやすくします。
屋内、屋外ともに使用できますが、不整地での使用には注意が必要です。また、歩く速度が早くなりますので気をつけましょう。
介助のポイントは マヒ側に立つことです。
マヒ側は足が地に着いていない状態(遊脚期)が長く不安定なのです。
屋内では 靴下を履いているとすべりやすくなりますので 滑り止めのついた靴下などを使いましょう。
《症状別の杖》
関節リウマチ
→ T字型杖
軽く手のひら全体で支える握りのものがいいです。
片麻痺者
T字型杖
のストラップ付きが便利です。
下肢骨折、片足切断、股関節症
→ ロフストランド杖
脳血管障害による片麻痺
→ 多脚型(四脚)杖
下肢切断、脊椎損傷
→ 松葉杖
《T字型杖》
*対象*
脳血管障害などにより運動麻痺や、加齢による下肢機能低下、関節リウマチのある者などに使用する杖
握り部分がT字になっている為体重がかけやすくバランスが取りやすい。
*選び方*
肘を軽く曲げた状態で握れるぐらい(a足先の横 15cmぐらいで腕が150度ぐらいの角度で曲がった感じ)の長さが適当です。長さの調節ができるタイプの杖もあります。
《ロフストランド杖(前腕固定型杖)》
*対象*
手首で杖を支えたり動かすのが困難な者
下肢の骨折、片足切断、股関節症、などによる障害のある者
下肢に運動障害があっても 上肢機能に障害がない場合 この杖を2本使って歩行が可能になる場合もあります。
*選び方*
支柱に握り部分と カフといわれる輪があり ここに前腕を入れて支持する構造となっていますので このカフの大きさと握り部分の高さを対象者に合わせて選びます。
握りの部分はT字型杖と同じく 肘を軽く曲げた状態で握れるぐらいです。
《多脚型(四脚)杖》
*対象*
脳血管障害による片麻痺、
歩行に安定した支えが必要な者(右麻痺、左麻痺 どちらでも可)
*選び方*
杖先が3~5本の足で支えてる安定性のよい杖です。
自分の足より先に杖が出るような位置で 腕を軽く曲げる程度の高さのもの。
杖の足がしっかりと接地できる平らな場所でのみ使用できますので屋外での場合は注意しましょう。
これで歩行が安定してくると T字型杖
使用へ進めましょう。
*松葉杖*
*対象*
下肢切断、脊髄損傷、 その他下肢の怪我、骨折時
*選び方*
固定型と調節型があります。
横木が わきの下から4~5cm下が適当な長さです。
《ステッキ》
*対象*
加齢によって 歩行に軽い支えが必要な場合
足の関節痛のある場合
*選び方*
脳血管障害により 歩行困難が生じている場合は不適切です。
握り部分がU型で腕にかけやすいものもあります。
杖の高さの基本
足先の前方150mm、外150mmのところに杖をついた状態で、肘が30度ぐらい軽く屈曲している高さ、もしくは 大腿骨大転使子(腰骨)の高さや 立位で腕を下に下げた状態で手首の高さが適当です。