ワールドホリスティックアソシェーション公式ブログ

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歯科医 黒沢誠人


ホリスティック友達の輪         黒沢誠人



初めまして。埼玉県熊谷市で歯科医をしております、
黒沢誠人と申します。
東京と長岡で開催された「ワールドホリスティックアソシエーション」
主催のセミナーでは「医療従事者のためのカウンセリング技法」という
ことで、講義を担当させていただきました。
さらに、この度は、こういった機会をいただき、大変恐縮しております。
ここにいたった経緯を簡単ではありますが、思うままに綴らさせていただ
きました。

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大学進学にあたって、僕が歯学部を選んだのは、兄が医学部に進学して
いたからという、ちょっといかがわしい動機からである。同じ高校に
通っていたので、なにかというと、すぐに成績を比較されるのが常だった。
「兄が医学部で弟が歯学部」という結果から推測されるとおり、
通信簿を渡される日に、憂鬱なのはいつも僕のほうだった。

医者には、正直、憧れてもいたが、同じ土俵で勝負を続けるのは、もう
うんざりだった。幸い、手先の器用さには、いささか自信もあったので、
自ら進んで、歯学部を志望した。このときの僕はまだ若かったから、そ
れなりの夢もあった。歯学も医学のひとつと、思い込んでの決断だった。

が、歯科医になって、愕然とした。歯科医の仕事は、まったくの流れ
作業だったことに初めて気づいたのだ。「Drilling Filling Billing
Dentistry」を和訳すると「掘って、詰めて、請求書を書く歯科医療」
となるが、まさにこういったことの繰り返しだったのである。

なんのために勉強してきたんだろう。ここには、物理も化学もない。
ただの肉体労働じゃないか。悩んだ。深刻に悩んだ。
このまま、一生を終えるのかと思うと堪え難かった。

でも、世の中、捨てたものじゃなかった。あちこち、ぶつかっている
うちに、縁あって、もう1種類の歯科医療が存在することを知った。
そのときの感動は、たぶん、一生忘れることはできないだろう。
救われたと思った。
それは、「予防的な歯科医療」だった。「歯は駄目になるもの」という
概念がここにはなかったのだ。

「歯は駄目になるもの」として歯科医療を行うのか、それとも
「歯は一生もつもの」として歯科医療を行うのかで、アプローチの
しかたが全然違う。
なにがなんでも、これを自分のものにしたかった。そこから、僕は
猛然と勉強を始めた。歯科医になって4年半。29歳の秋だった。

当然のことだが、予防的な歯科医療をやろうと言っても、すぐにできる
ようなものでもない。大学では教わらなかったし、当時の熊谷では、
とても奇異に映るようなスタイルだったから。でも、ひとつひとつの
困難を克服しながら、僕はここまで来た。
「カウンセリング」に興味を持ったのは、予防的な行動変容をもたらす
のに、心理的なアプローチが必要だと痛感したからだ。

歯科医をはじめとする歯科医療従事者に、「カウンセリング」の技法を
教えて、2年が経とうとしている。試行錯誤はまだあるものの、予防的
な歯科医療を身近なものにして欲しいという願いは、当初となんら変わりがない。

歯科のみならず、いろいろな医療従事者や非医療従事者の方々にまで、
僕の話を聴いてもらう機会をいただくことも多く、自分でもびっくり
している。

歯科医になった当初、悩みに悩んで、家族にまで当たり散らしていた
ことを思うと、今は夢のようだ。「歯は一生もつもの」と信じて医療を
行えることの幸せがある。僕も41歳となり、人生もいよいよ後半戦が
始まった。
これからの40年で、僕は何ができるだろうか。
そう思うとなにやら、ワクワク、ソワソワ、ゾクゾクしてしまうのだ。



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