~ 今日の風 ~

~ 今日の風 ~

定型俳句



=俳句=

*春

 母と居しあの日に帰る春の空

 春の花見つけてメール送る夜半 

 辛夷咲くいつまでたっても行き違い


 地蔵様顔風化して落ち椿

 縁日のにぎわいに降る花の色

 モノクロの空家にポピー咲きそろう

 黒猫が影となりゆく春うらら


*夏


 葱坊主しみじみと見し雨の中

 鉄棒に温もりありて蝉時雨

 見下ろせば霧に隠れし千枚田


*秋


 父逝きて寝床の虫の鳴き止まず

 柚子たわわ吾子生まれ出て二十年

 かくれんぼ見つからぬまま秋暮れる

 秋深し洗濯物の冷たさや

 秋深し犬の温もり抱え込み




 流星群待ちて夜長の民話かな

 天高く仁義を切ってみたくなり

 遠き世にピリオド打てぬ虫の声

 嵐過ぐ青きどんぐり散りばめて


*冬


 冬晴れにメジロの影も落ち着かず

 しがらみは消えることなく雪の道

 寒の内息子は進路決めかねて







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