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昨年の2月に「ベッコウマイマイの1種(続)」を掲載したが、その記事の最後に「先日、性懲りもなく植木鉢の下を探していたら、もっと小さなベッコウマイマイ科と思われるカタツムリを見付けた.(中略)此処暫く寒い日が続いて新顔のネタも現れないので、その内また超微小カタツムリを紹介することになるかも知れない」と書いた。しかし、昨年の冬はネタ切れの為カタツムリを4回も掲載したので、余り同じ様なものが続くのも「如何なものか」と思い、結局、その儘御倉入りにしてしまった。 昨年の更新回数を調べてみると、1月は5回、2月は6回、ネタ不足の割りには結構頑張っている。一方今年はどうかと言うと、1、2月合わせてたったの6回、しかもその内の3回は去年の秋に撮った写真である。少しサボリ過ぎと言える。 其処で、今日は上で言及した「超微小カタツムリ」を紹介することにした。石の上を這う殻径1.4mmの超微小カタツムリ(写真クリックで拡大表示)(2010/02/09) 殻径は僅か1.4mm。これまでに紹介した「超微小カタツムリ」の中で最も小さい。今日の写真は、小さい被写体を撮る時にテレプラス×2を使うのが常道になっていなかった時期のものなので、普通の等倍撮影である。だから、最近の写真と比べて解像度がかなり低い。殻がベッコウ色をしていて中々美しい(写真クリックで拡大表示)(2010/02/09) 土の上では撮影し難いので、平らな径10cm位の石の上に載せて撮ることにした。土の中からほじくり出したのだから、当然、中身(軟体部)は殻の中である。しかし、前回(「ベッコウマイマイの1種(続)」)の経験で分かったことだが、こう云う殻に閉じこもった微小カタツムリは、水を1滴かければ中身を出して来る。先ず石全体を良く洗ってからカタツムリを置き、その上に水を一滴垂らす。何しろ殻径1.4mmと小さいので、表面張力でカタツムリの周囲に水がしっかりとくっ付き、一寸水滴の中で泳いだ様な状態になってしまうが、特に問題はない。乾燥した場所に移動して軟体部を殻に引き込めるところ中段は上段の50秒後、下段はその4秒後(写真クリックで拡大表示)(2010/02/09) 直ぐに軟体部を出して来て、暫くすると石の上を這い始めた。写真だけ見ると、普通の大きなカタツムリと何ら変わることはない。これが殻径1.4mmの「超極小カタツムリ」とは一寸思えない姿である。 この日は最高気温が21℃(気象庁過去の気象データ検索に拠る)にもなり、南風が少し吹いていた。忽ちの内に、石の表面は乾いて行く。2番目の写真で右側が白っぽく写っているが、これは水が蒸発し乾いて来た部分である。 水分は体長の3乗、表面積は2乗に比例するから、殻径1.4mmでは、あっと言う間に干物になってしまう。上の写真は、カタツムリが表面の乾いた部分へ移動してしまい、乾燥を恐れて軟体部を体に引っ込める所を撮ったものである。上段から下段まで、約55秒。殻頂から見たベッコウマイマイの1種.螺層は3層半に満たない(写真クリックで拡大表示)(2010/02/09) カタツムリに水滴をかけ、付いた土が落ちたところで、貝殻を撮影することにした。 撮影した写真から、一応科の検索をしておこう。東海大学出版会の「日本産土壌動物」にある腹足綱(マキガイ綱)の検索表を引くと、「渦巻き状の殻を持つ→殻口に蓋がない→触角の先に眼がある→殻口内に歯状突起などがない→殻は半透明で薄くてもろい→殻は低円錐形、臍孔は狭いが閉じる」で簡単にベッコウマイマイ科(Helicarionidae)に落ちる。臍孔は閉じている.半透明の殻を通して軟体部が見える(写真クリックで拡大表示)(2010/02/09) 以前、「ベッコウマイマイの1種」で書いた様に、この文献の本文解説を読むと、「貝殻は殻径2~18mm、薄質で多くは黄褐色を呈し、光沢がある.殻口縁は単純で薄い.(中略)日本産として記録されているのは22属約100種であるが、貝殻の特徴からの分類に加えて、生殖器形態を重視しなければならず、本科の分類学的検討が遅れている.そのため、本科の属までの検索は割愛する」と書かれている。 従って、属は不明だが、以前の「ベッコウマイマイの1種」とは殻高が異なり(今日の方が殻高がずっと低い)、明らかに別種であろう。結果として、今日の表題は「ベッコウマイマイの1種(その2)」と相成った。殻口は薄く、かなり丸味を帯びている(写真クリックで拡大表示)(2010/02/09) この超微小カタツムリを殻頂の方から見ると、巻数(螺層)はまだ3層半に満たない。保育社の「原色日本陸産貝類図鑑」のベッコウマイマイ科各種の解説を読むと、その多くは4~6層である(中にはスジキビガイの様に3.5層と云う巻き数の少ない種もある)。恐らく、このカタツムリはまだ成貝になって居らず、今後成長して、もっと大きくなるのであろう。
2011.03.10
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昨日今日と、少し暖かい日が続いている。しかし、我が家の庭にはユスリカの類が時折飛んでいる程度で、撮る気の起こる虫は現れない。昨年の暮れに撮ったネタもあるが、これは英国の古本屋に注文した文献が届いてから掲載したい。・・・と云う訳で、今日は昨年の今頃撮った土壌生物を紹介することにする。 普通、土壌生物を採集するにはツルグレン装置と云うものを使用する。それなりの店に行けば完成品を売っている(通販でも買える)が、白熱電球のスタンド、篩、大きなロートとコップがあれば、自分でも作れる様な簡単な装置である。その内、徹底的にネタ不足になったら自作するかも知れないが、今のところは作るのも面倒なので、土壌生物を探す時には、シャーレに土を入れ、少しずつ掻き分けて調べる程度にしている。 そんな簡単な操作?でも色々と奇怪な虫が出て来る。今日、紹介するのはそうやって見つけたヤスデの幼体である。ヤケヤスデ(多分)の幼体.体長は約7mm胴節は18節ある様に見える(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 体長は約7mm。この辺り(東京都世田谷区西部)に居るヤスデと云えば、ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)位なもので、成体の体長は20mm程度だから、これはその幼体であろう。この幼体は色が極く薄いが、成体は背面が焦茶色乃至海老茶色で、腹面と肢はかなり淡い色をしている。危険を感じると丸まって防御態勢に入る。これは、フサヤスデ等の一部の目を除いたヤスデ類(倍脚綱)の特徴である。ヤケヤスデの幼体で間違いはないと思うが、確証は無いので、一応「?」を付けておくことにした。尚、似た様な種にアカヤスデと云う別属の種が居るが、これは成虫越冬なので、その幼体である可能性はない。 村上好央氏の「ヤケヤスデの生活史」(動物学雑誌 71(8), 1962)に拠れば、ヤケヤスデは秋に繁殖活動を行い、5~7齢の幼体で越冬し、翌年の初夏に成体になるとのこと。他に、春に繁殖行動をし、成虫で越冬する別の系統(strain)があるとしていたが、これは後に同著者により別種であることが明らかになった(村上好央(1966) ヤケヤスデの生活史についての訂正, 動物学雑誌 75(2))。少し横から撮った写真.第2~4胴節には各1対以降の胴節には各2対の歩肢がある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) ヤスデの体は、頭部と胴部に分けることが出来る。写真の幼体の胴節数を数えると(胴部の第1節と最後の2節程度は、その間の部分とは少し形が異なる)、胴部は18節から成る様である(最初の写真)。 ヤケヤスデはオビヤスデ目ヤケヤスデ(Paradoxosomatidae)科に属し、「日本の有害節足動物」では、成体の胴節数は20とされている。渡辺力著「多足類読本」に拠ると、オビヤスデ目は完増節変態を行う。これは加齢(脱皮)と共に体節数が増加し、成体になると脱皮を止め、同時に体節数の増加も止まる変態形式である。丸まって防御態勢に入ったヤケヤスデ(多分)の幼体頭部を内側にして守っている(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/25) 写真の幼体の胴節数はまだ18なので、これは今後脱皮により節数が2つ増加すると云うことである。体長は約7mmで、まだ成体の1/3程度だが、「多足類読本」には、ヤケヤスデは7齢を経て成体となると書いてあるので、6齢位の幼体なのかも知れない。防御態勢を解除しつつあるヤケヤスデ(多分)の幼体頭部が内側になっているのが良く分かる歩肢には折れているものが多い(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/25) ヤスデは、一般に第2~4胴節には各1対、以降は最後の2節を除いて各胴節に2対ずつの歩肢を持つ(第1胴節に肢はない)。ヤスデは、この世で最も肢の多い生き物である。最大はカルフォルニア産のIllacme plenipesで、何と、750本もの肢を持つと云う。 一方、ムカデ類では、後部の胴節でも歩肢は各節に1対しか持たない。ムカデは漢字で「百足」と書く。しかし、ジムカデ目以外のムカデ類では、歩肢数は最大で46本、100本には遠く及ばない。100本に達する歩肢を持つのはジムカデ目のみで、最大は191対(382本)の種類があるそうである。しかし、何故か、歩肢対の数(=肢を持つ胴部の節数)は何れも奇数ばかりで、偶数の歩肢対数を持つ種類は知られていない。100本の肢、と云うことは歩肢対数は50で偶数であり、この様な歩肢対数を持つムカデは未だに知られていないのだそうである(以上、何れも「多足類読本」に拠る)。第1胴節は他の胴節と形が異り肢もない触角の先端2節は色が濃い(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/25) ある種のヤスデは時々大発生し、これが大群を成して線路を渡り、それを踏んだ汽車の動輪がヤスデの脂で空転して汽車が動かなくなる、と云う記事を新聞などで見ることがある。この種の騒動を引き起こすのは、普通、その名もキシャヤスデ(汽車馬陸)と云う種類なのだが、今日のヤケヤスデも汽車を止めることがあるらしい。「新島溪子(2001):ヤケヤスデ列車を止める,Edaphologia (68)」に拠れば、平成12年7月19日に大糸線平岩駅の近くでヤケヤスデが大発生し、臨時急行列車「リゾート白馬アルプス」は2時間半に亘る停車を余儀なくサルルノ已ムナキニ至レリ、とのことである。 ヤケヤスデなど、何処にでも居る「つまらない」ヤスデだと思っていたが、時には、中々やるモンですな!!
2011.02.05
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さて、今日は殻径1.8mmの「ベッコウマイマイ科の1種」の続きである。 前回は、フキの葉裏で見付けたベッコウマイマイ科(Helicarionidae)の不明種に水を振り掛けた後、綺麗になった貝殻の写真を撮っていたら、殻口の中から何か黒い舌の様なものが出て来たところ迄であった。 先ず最初に、前回の最後の写真をもう一度出すことにする。なお、写真は全て拡大するとピクセル等倍になる。殻口の中から黒い舌の様なものが出て来た.カタツムリの足であろう(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) これはカタツムリの足であろう。これまでに殻の中に閉じ籠もったカタツムリがどう云う順序で体を表に出して来るのか観察した記憶はないが、漠然と頭から出して来るのだと思っていた。小学唱歌の「でんでん虫々 かたつむり、お前の頭は 何処にある、角出せ、槍出せ、頭出せ」の影響もあるかも知れないし、また、感覚器を最初に出さなければ、外部の情報(危険)が掴めないだろうと思うからである。 しかし、写真を見ると、足から先に出すものらしい。約25秒後、頭が出て来た.大触角(左)と小触角(右)が見える(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) 次は最初の写真の約25秒後、頭部が出て来た。長い1対の突起があり、まだ充分に伸びていないがその先端に眼がある。これが大(後)触角である。その右にある小さな突起は小(前)触角で、味触角とも呼ばれるので、その種の感覚器が備わっているのであろう。その間の下側(写真では右)に口がある。約50秒後。頭が完全に出た(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) 約50秒後、頭が完全に出て来た。しかし、殻が水に浸っており水の凝集力で殻が倒れないので、頭が下にある葉っぱに中々届かない。暫く、頭を伸ばしながら左右に振っていた。頭を一杯に伸ばして漸く下の葉っぱに届いた殻口の周りは外套膜で被われている(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) 次は漸く頭が下に届いたところ。約30秒後の写真である。その約10秒後、殻が傾いて来た(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) その約10後には殻が傾いて来た。その後、殻の位置は「正しい位置」となり、普通に這い始めた。フキの葉の上を這うベッコウマイマイ科の1種(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) しかし、これはどう見ても普通の殻径3cm位のカタツムリが這っているのと大して違う様には思えない。上の写真では、右の触角の先端から左の殻の端まで僅か3.0mmである。触角が体全体に比して大きいのは分かるが、殻径1.8mmの微小なカタツムリとはとても思えない。前から見たベッコウマイマイ科の1種大触角の先端に黒い眼の粒が見える(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) 前方からも撮ってみた。大触角の先端部に黒い粒が見える。これが眼である。しかし、カタツムリの眼にはどの程度の機能があるのだろうか。 そこで、若かれし頃に参考書として使っていたRobert Barnesの「Invertebrate Zoology」を書庫から引っ張り出して読んでみた。すると、巻き貝の中でも海産のMurex属(ホネガイの仲間)等はレンズ付きの眼を持っており、更に海洋浮遊性の異足類(Heteropoda)は最も高度に発達した眼を持っていて多くの魚の眼よりも優れていると思われるが、多くの腹足類(Gastopoda:巻貝)では光を感知するだけである、と書いてあった。カタツムリの眼も、恐らくは、結像する様な高級な代物ではないであろう。オマケにもう1枚.フキの葉上を這うベッコウマイマイの1種(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) 先日、性懲りもなく植木鉢の下を探していたら、もっと小さなベッコウマイマイ科と思われるカタツムリを見付けた。これも生きているカタツムリであった。同じ様な貝だが、体の色が違うので別種の可能性が高い。此処暫く寒い日が続いて新顔のネタも現れないので、その内また超微小カタツムリを紹介することになるかも知れない。
2010.02.18
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先日紹介した「ホソハネコバチ科Gonatocerus属の1種?」を撮影したとき、やはりフキの葉裏に小さなカタツムリが居るのを見付けた。殻径1.8mm、昨年掲載した「超極小カタツムリ」と同じ大きさだが、葉の裏にくっ付いていると云うことは、このカタツムリは屹度生きているに違いない。フキの葉にくっ付いていた殻径1.8mmのカタツムリベッコウマイマイ科の1種と思われる(写真クリックで拡大表示)(2010/01/29) カタツムリの検索には、殻口の形状(内側に突起があるか、縁が反曲するか)、殻の性質(薄く半透明か)、臍孔(裏側中心部の窪み)の有無やその形状などが重要な指標になる。 其処で、カタツムリをフキの葉から剥がし、色々な方向から撮ってみた。殻口の内側には乾燥した粘液の様なものがあるが突起は認められない.殻口の縁は白いが反曲(反り返る)はしていない(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) 殻口内を見ると、何分にも生きている貝なので、殻口の内側には乾燥した粘液らしきものあって良く見えないが、殻の内側から伸びる突起のような構造は見当たらない。上の写真では、縁が少し白く光っており、少し反曲(反り返る)している様にも見える。しかし、別の角度から見れば、殻口は薄くて単純な構造をしているのが分かる(下)。臍孔はあるが狭い.殻はベッコウ色をしており、半透明でカタツムリの体の色が透けて見えている(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29)臍孔はあるが、狭く閉じており、先日紹介したヒメコハクガイの様に、渦巻いた内側の殻が見える様なことは無い。殻は薄く、半透明である。殻の表側には黒い汚れも付いているが、裏側から見たときの黒っぽい部分は汚れではなく、カタツムリ本体の色が透けて見えているのである(これは後で分かったこと)。同じ様な写真をもう1枚.殻は半透明で臍孔は閉じている(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) 以上の形態的特徴を把握した上で、東海大学出版会の「日本産土壌動物」にある腹足綱(マキガイ綱)の検索表を引くと、簡単にベッコウマイマイ科(Helicarionidae)に落ちた。この本の検索表は、普通は属までの検索が出来る様になっているのだが、ベッコウマイマイ科に関しては属の検索表はなく、その代わりに「属・種が多く、検索は困難」とある。 本文解説を読むと、「貝殻は殻径2~18mm、薄質で多くは黄褐色を呈し、光沢がある.殻口縁は単純で薄い.(中略)日本産として記録されているのは22属約100種であるが、貝殻の特徴からの分類に加えて、生殖器形態を重視しなければならず、本科の分類学的検討が遅れている.そのため、本科の属までの検索は割愛する」と書いてある。巻はまだ4層程度なので今後更に成長すると思われる水をかけたら綺麗になったので写真を撮り直した(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) 実際、保育社の「原色日本陸産貝類図鑑」を見ても種類が多過ぎてサッパリ分からない。また、関西学院大学の微小貝のHPを見ても類似の貝は無かった。 写真のカタツムリは、貝殻の中心部が良く見えないが、巻はまだ4層程度の様である。図鑑を見ると、ベッコウマイマイ科の多くは5~6層なので、このカタツムリは今後更に成長する可能性が高い。大きさによる判断も出来ないので、此処では「ベッコウマイマイ科の1種」とする以外に手はない様である。水をかけて暫くしたら、中から何やら出て来た(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/29) このカタツムリは、今後更に観察しようと思い、葉っぱごとシャーレの中に入れ、水を少々振り掛けた。水に濡れたら表面の汚れが少し取れ、それまでよりも多少綺麗になったので写真を撮り直していたら、何やら殻口の奥で動くものがある。やがて、真っ黒に近い舌の様なものが出て来た。 さて、この後はどうなるでありましょうか。それは次回のお楽しみ。
2010.02.11
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今日は植木鉢の下に居た、少々「キツイ生き物」を紹介する。 「キツイ」と言っても大したことはない、イシムカデの1種である。「ムカデ」と名前は付いても、咬まれるとかなりの被害がでるオオムカデ類とは異なり、体長1cmに満たない極く小さなムカデである。植木鉢の下に居たイシムカデ(ヒトフシムカデ属の1種?)急に明るくなってビックリして逃げ出したところ体長は1cmに満たない微小なムカデである(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 日本産ムカデ類(ムカデ綱=唇脚綱)には、ゲジ目(所謂ゲジゲジの類)、イシムカデ目、オオムカデ目、ジムカデ目の4目がある。ゲジ目は歩肢が非常に長いので簡単に区別が付く。他の3目は歩肢の数で見分けることが出来る。イシムカデ目では15対、オオムカデ目では21か23対、ジムカデ目の仲間は肢が多く31対以上(「日本産土壌動物」に拠る)。但し、オオムカデ目、ジムカデ目は脱皮しても胴節(頭部以外の体節)数が変わらない成長の仕方(整形変態)をするのに対し、ゲジ目やイシムカデ目では、始めは脱皮に伴い胴節数が増加するがある段階以降は脱皮しても胴節数が変化しない半増節変態と呼ばれる生長の仕方をする(「多足類読本」に拠る)。従って、ゲジ目(歩肢15対)やイシムカデ目の場合は、幼体であれば15節より少ないこともある。苔の間を逃げるイシムカデ(ヒトフシムカデ属の1種?)歩肢は15対で、第2、4,6,9,1113胴節の背板は少し縦に短い(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 写真のムカデは歩肢は15対、イシムカデ目である。「多足類読本」に拠れば、他にこの目の特徴として胴節背板に異規性が認められ、第2、4,6,9,11,13胴節の背板は少し縦に短い。写真のムカデを見ると確かにその通りになっている。イシムカデ目で間違いないであろう。触角は19節、歩肢には各節に棘がある。歩肢の付節は1節にも見えるが2節の様に見えるところもある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) さて、このイシムカデ、一体種類は何であろうか。歩肢の各節に棘(武装棘と言う)があり、眼が数個の極く少数の単眼から成る(最後の写真、但し、変態に伴い単眼数が増加する)ので、イシムカデ科(Lithobiidae)に属すと思われる。「日本産土壌動物」の検索表では、日本産イシムカデ科にはイシムカデ属とヒトフシムカデ属があり、前者は第1~13歩肢の付節が2節、後者では1節なので、容易に区別が出来ることになっている。 ムカデ類の歩肢の構成は、昆虫の脚とは異なり、基節、転節、前腿節、腿節、脛節、付節から成る。付節以外はそれぞれ1節ずつで、基節転節は短いから、長い節が5節であればイシムカデ属(Lithobius)、4節であればヒトフシムカデ属(Monotarsobius)と云うことになる。しかし、これが写真からはどうも良く分からない。4節の様に見えるところもあるし、もっと多い様にみえるところもある。チョッカイを出すとあまたを内側に丸くなる(腹側)ヤスデだけでなくイシムカデも丸くなるらしい(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 「日本産土壌動物」の解説を読むと、イシムカデ属は「体長10~20mm.触角は20~40小節」。一方、ヒトフシムカデ属の方は「体色は淡褐色のものが多く、体長10mm以下が多い.触角小節数20個以下.眼は数個の単眼が1列か2列に並ぶ」とある。 写真のイシムカデは、体長は1cm未満、触角は3番目の写真から判断すると19節、眼は数個の単眼が2列に並んでいる様に見える(下の写真)。これらから判断すると、ヒトフシムカデ属(Monotarsobius)と云うことになる。 しかし、イシムカデ属の単眼数についての情報は見つからなかったし、写真のイシムカデはもっと成長するかも知れず、触角は19節に見えるが先端部にもう1節あるかも知れない。かなり怪しい部分があるので、「ヒトフシムカデ属の1種?」と「?」を付けておくことにした。 尚、ムカデ綱に属す種は全て肉食である。こんなに小さいイシムカデでも、もっと小さいトビムシやダニなどを餌にしているとのこと。丸くなって居たのを解いて?逃げ出すところ眼は数個の単眼2列から成るのが見える(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) このイシムカデ、写真を拡大してみると、意外に結構可愛い。また、最後の写真など、中々勇ましい感じがして、何となく支那の「龍」を思い起こさせる。どんな虫でも、先入観無く見れば、それなりに可愛いものなのかも知れない。
2010.02.08
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昨年の9月に殻径1.8mmの「超極小カタツムリ」を紹介した。その時は知らなかったのだが、本年の第1回目に紹介したトクサオカチョウジガイの写真にも何個か写っている様に、この手の微小なカタツムリは植木鉢の下の土から極く普通に得られる様である。その土から得た貝の写真を撮って見たところ、昨年の「超微小カタツムリ」とかなりよく似ていた。其処で、その気になって調べてみると、どうやらこれらはコハクガイ科(Zonitidae)のヒメコハクガイ(Hawaiia minuscula)らしい。土の中から出て来たヒメコハクガイの貝殻.殻径1.5mmと小さい左上と右にボワーと写っているのはトクサオカチョウジガイ(写真クリックで拡大表示)(2010/01/08) 実は、保育社の「原色日本陸産貝類図鑑」には検索表が無いので諦めていたのだが、東海大学出版会の「日本産土壌生物」にカタツムリの検索表があるのを思いだした。その検索表を辿ると、マイマイ目(柄眼目)→殻口内に歯状突起などがない→殻はそれ程薄くはない(半透明で薄くて脆いことは無い)→殻口縁がうすくて単純(殻口縁が反曲しない)→低円錐形状で臍孔[裏側中心部の窪み]がある(蛹形や塔状ではない)→低層周縁が丸い(鋭い龍角はない)→殻表は平滑、光沢がある、白色~黄褐色(殻表に成長脈が無く褐色でない)、で簡単にコハクガイ科ヒメコハクガイ属に落ちてしまった。 しかし、同属の解説の方には、3種が記録されており移入種であると云うこと以外は大したことは書いていない。汚れを少し落として台紙の上で撮影.巻きほぼ4層で縫合(巻いた殻と殻の間)はやや深い明確な成長脈は認められない(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/01/08) 保育社の図鑑にある記述はどうかと言うと、ヒメコハクガイ属にはヒメコハクガイしか載って居らず(他の種は珍種か?)、その解説を読むと「殻はうすく小さく、殻高1.3mm、殻径2.1mm、4層。白く、やや透明。螺塔は低く、螺層はふくれ、緩やかに増大する。体層の周縁は丸く、縫合はやや深い。殻口は丸い。広い臍孔がある。(中略)原産は、北アメリカのオハイオ州で、明治時代の中ごろに日本へ移入されて、現在では全国にひろく分布している」とある。 今日の写真の殻径は1.5mm、以前のは1.8mmだから、少し小さいが、小さ過ぎると言うことはない。殻の形状に関する記述も一致する。また、移入種で全国に広く分布しているならば、我が家の庭にいてもおかしくない。同一個体の裏側.貝殻はかなり薄いが半透明と云う程ではない臍孔(中心部の窪み)が非常に大きく内側の殻が見える(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/01/08) Web上の情報を調べると、植木鉢の下には、ヒメコハクガイの他に同科別属の只のコハクガイも多いらしい。コハクガイの貝殻は名前の通り琥珀色をしているが、死後は白色化するのでヒメコハクガイと区別が難しくなるとのこと。しかし、大きさが違う。保育社の図鑑に拠れば、コハクガイの殻径5mmで、4層半とある。写真のカタツムリは既に4層(巻数)あるから、4層半に成長しても殻径5mmにはなり得ない。 また、関西大学の「微小貝のホームページ」を参照すると、写真のカタツムリはヒメコハクガイに大変よく似ており、他に類似のカタツムリは無かった(但し、コハクガイ科の種類数は多くなく、只のコハクガイも無かった)。 ・・・と云う訳で、この微小カタツムリは、些かいい加減ではあるが、ヒメコハクガイと考えることにする。螺塔は低く、殻口は丸い(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/01/08) 先日、フキの葉裏で虫を探していたところ、別の微小なカタツムリを見付けた。殻径1.8mmとこれも小さいが、チャンと中身のある生きているカタツムリであった(近日中に掲載予定)。調べたところ別科の貝であったが、今日のヒメコハクガイも貝殻だけではなく、是非生きているところを撮りたいものである。生きているときに白っぽい色をしていれば、ヒメコハクガイであることが確実になる。
2010.02.04
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正月も7日を過ぎて、もうしめ飾りにもお引き取り願ったのだが、ネタは全然現れない。この冬は何故か毎年1~2頭は居る筈のホソヒラタアブですらも全く姿を現さない。この分だと1月の更新は無い、と云うことにもなりかねないので、非常の手段を執ることにした。 地面に直に置いている植木鉢の下に居る連中である。余り可愛い生き物は居ない。多足類(ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジ)やダンゴムシ、或いは、もっと不気味なコウガイビル・・・、何れも新年早々のネタとしては相応しくない。其処で、今日はその中でも比較的マトモなカタツムリの1種を紹介することにした。植木鉢の下に居るトクサオカチョウジガイ(写真クリックで拡大表示)(2010/01/08) 縦長の筆状のカタツムリで、殻高は1cm前後、小さな陸生貝類である。実は、始めはキセルガイの1種だと思っていたのだが、調べてみると、キセルガイは左巻きで殻口に上板と下板と云う2つの突起が有るのに対し、この貝は多くのカタツムリと同じ右巻きで殻口は平滑である。 縦長で右巻きの陸生貝類には、キセルガイモドキやオカチョウジガイその他のグループがある。保育社の「原色日本陸産貝類図鑑」の図版を見てみると、どうやらオカチョウジガイの仲間(オカクチキレガイ科)らしい。図鑑には同科に属す3属7種が載っている。 因みに、キセルガイ科はこれよりずっと大きな科で、日本には200種近くが棲息するとのこと。最初の写真左端の個体を拡大(写真クリックで拡大表示)(2010/01/08) しかし、図鑑を持ってはいるものの、カタツムリ類に関しては超ド素人である。図鑑の図版は小さいし、解説も余り詳しく書かれていない。其処で、関西学院大学の「微小貝」と云うHPを参照してみた(オカクチキレガイ科は8種あり)。・・・すると、写真の貝が最もよく似ているのはトクサオカチョウジガイ(Paropeas achatinaceum、Allopeas javanicumとしているサイトもある)であった。 貝殻の形(尖り方)と質感(不透明で光沢がない)や色彩、殻表の生長線が粗いこと等がよく似ている。また、この貝は平地に多産するそうなので、その点でも一致する。我が家の庭の貝は大きさにかなりの変化があるが、恐らく生長度の違いであろう。しかし、何となく自信が持てないので「?」を着けておくことにした。 トクサオカチョウジガイは、アフリカマイマイ超科オカクチキレ(ガイ)科に属し、関東以南に分布する。外来種(移入種)だそうで、分布拡大中とのこと、要注意種かも知れない。最初の写真とは別の場所に居た(写真クリックで拡大表示)(2009/01/08) この貝、植木鉢の下の土にワンサと居るが、皆既に死んでいる。生きている貝は居ない。今年は余り多くなかったので、丁度1年前に撮った写真を下に示した。多くの貝はまだ土の中に埋もれており、その儘放置して雨に晒し、12日後に撮ったのがその次の写真である。 かなり沢山の貝殻が写っている。しかし、この間に40mm以上の雨が降っており、しかもかなり強い降雨があったので、土の上にあった貝殻の多くは流れてしまったものと思われる。昨年の1月上旬に撮った写真.16~17個の細長い貝殻が認められる丸い微小なカタツムリも左右に見える(写真クリックで拡大表示)(2009/01/08) 其処で、どの程度の密度で貝殻が存在するのかを調べてみた。植木鉢直下の約7cm四方の土を、深さ約1cm(約50cc)まで採取し、泥を洗い流して貝殻のみを取り出した。一つ前の写真の12日後に撮影、雨に洗われて土の下から合計40前後の貝殻が現れた(写真クリックで拡大表示)(2009/01/20) 何と、71個もあった(下の写真)。1リットル当たり、約1400個と云うことになる。印象として今年は昨年よりも数が少ないので、昨年ならばもっと沢山の貝殻が見つかったかも知れない。約50ccの土の中にいたトクサオカチョウジガイ全部で71個体、大きさにはかなりの違いがある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/07) しかし、これらの貝殻、全部中身はない。全て死んでいる。恐らくこの貝は1年生の卵越冬で、秋に産卵した後、風の当たらない湿り気の多い植木鉢の下に移動し、其処で一生を終えるのであろう。 しかし、普段は何処で生活しているのか? 朽木や落葉等の腐植質を食べているのだろうが、暑い時期に見た記憶がない。尤も、夏には余り植木鉢の下など調べないから、気が付かないだけなのかも知れない。大きいもの(殻高約9.5mm)と小さいもの(殻高約5.0mm)を1個ずつ拡大してみた.大きさや巻数が違うのは生長度の違いか?なお、左右の写真の拡大率は同一(写真クリックで拡大表示)(2010/01/07-08) 新年早々余りパッとしない生き物の残骸を紹介した。しかし、こうも新顔が少なくなると、今後は地表や土中の生き物を探すしかない。何分にも酷いネタ不足なので、暫くこの手の生き物の紹介が続く可能性が高い。[覚書]:編集中に何回(合計5~6回)もIEが予告無く落ちた。御蔭で更新作業に1時間半もかかってしまった。システムをリセットしても同じで、どうもこの楽天ブログの編集ページにあるスクリプトに何らかのバクがあるのではないかと思われる。編集途中で「下書き保存」を4回も行って、何とか作業を完遂できた。
2010.01.09
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昨日紹介したコブマルエンマコガネの写真は、勿論、原画から必要部分だけを切り抜いたものである。その原画の隅に一寸面白いものが写っていた。微小なカタツムリである。殻径1.8mm、こんなに小さなカタツムリは生まれて此の方見たことがない。 3年程前、殻径3mmのカタツムリを紹介したことがある。その時これを「極小カタツムリ」と形容したが、3mmで極小ならば、これは超極小カタツムリと呼ぶべきであろう。超極小カタツムリ.殻径1.8mm.肉眼では識別できなかったピクセル等倍(以下同じ)(2009/08/28) 海産の貝はトロコフォア幼生を経て貝になるが、淡水産や陸生の巻き貝は直達発生で、卵からいきなり貝になる。生まれたばかりの普通のカタツムリ(殻径3~4cm程度)の仔貝は殻径3mm位らしいから、それよりもかなり小さいと言える。 一方、目に付く機会は少ないが、親になっても微小な種類がかなりの数存在する。保育社の「原色日本陸陸産貝類図鑑」を見ると、ムシオイガイ科、コハクガイ科等では4mm以下の種が普通だし、ナタネガイ科には2mmに満たない種もある。上の写真を見ると、かなり「大人びた」感があり、とても仔貝とは思えないが、ひっくり返してみると、下の写真の通り、既に死んだ個体であった。死後に殻が風雨に晒されて、この様な「大人びた」感じになったのかも知れない。ひっくり返してみると、中は空、既に死んだ個体であった風雨に晒されてこの様な古びた感じになったのだろうか(2009/08/28) この辺り(東京都世田谷区西部)では、1~2cm位で親になる扁平な種類を見た記憶がない。一方で、3mm程度の微小種は棲息して居る様である。良くは分からないが、このカタツムリは成長して3mm程度に達する種類の生長途中の個体か、本来2mm程度にしかならない極小種かの、何れかではないだろうか。 しかし、こう小さいと、改めて写真を撮り直すために探そうにも、裸眼ではその所在が全く分からなかった。度の強い老眼鏡をかけて漸く見つけ出した。生きている昆虫ならば1.8mmでも見えるのだが、岩の上にある貝殻は岩の模様やゴミに紛れて全く判別が付かない。後10年もすると、生きている虫も見分けが付かなくなるのだろうか。
2009.09.06
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今日は一寸変わった虫を紹介する。一般にgrotesqueとされている虫で、こう言う虫を掲載すると、今後閲覧者が激減する可能性もある。 虫と言っても勿論昆虫ではない。コウガイビルの1種、今時の人は「郊外に建てられたビル」のことかと思うかも知れないが、漢字で書くと「笄蛭」、私自身は子供の頃「山蛭」との連想から「郊外に棲む蛭」の意味だと思っていた。 しかし、「ヒル」と付いても血を吸うヒルとは全く無縁である。血を吸うヒルは環形動物門に属し、まァ、言ってみればミミズやゴカイの親戚だが、コウガイビルはプラナリア、サナダムシ、吸虫類と同じ扁形動物門に属す。血を吸うヒルよりはずっと「下等」な生き物なのである。 ついでに「笄」とは、字引を引くと色々書いてあるが、私の記憶としては髪に挿す簪(かんざし)の様なもので、片側がイチョウの葉の形をしていた。祖母が使っていた鏡台の引き出しの中に入っていたのを憶えている。コウガイビルの頭部がこの笄のイチョウ型をしているので、笄蛭の名が付いたらしい。コウガイビルの1種.体長10cm程度最初の写真なので小さめに表示(2008/09/20) 御覧の通り「ケッタイ」な生き物である。体長は10cm程度。この辺り(東京都世田谷区西部)では、昔から居る真っ黒なクロイロコウガイビルと、最近目立つ様になった東南アジア(中国南部?)原産の外来種オオミスジコウガイビルをよく見かける。写真のコウガイビルは、クロイロコウガイビルかも知れないが、「日本産土壌動物」には「背面は一様な黒色、腹面は灰黒色で、体側縁は浅い鋸歯状である」と書かれているので、一致しない。「コウガイビルの1種」とした所以である。次は縦長にしてやや大きめに表示.前半は黄褐色、後半は黒色体の正中線に沿って細い筋が認められる(2008/09/20) 体の後半は黒いが、前半は黄褐色、体表の正中線に沿って細い筋が認められる。全身ヌメッとしており、特に目立つ器官も見当たらない。そこで、頭部を接写してみた。頭部と言っても、神経節の多少の固まり(頭神経節)が有るだけで、口はない。口は裏面の真ん中辺にあり、表側からは見えない。 コウガイビルはガラに似合わず?捕食性で、ナメクジやミミズ等を捕らえて食べる。口から咽頭を外に出して相手を包み込んでから呑み込むのだと思っていたが、消化液を体外に出して相手を溶かして吸う様なこともするらしい。コウガイビルの頭部.笄の形をしている(2008/09/20) 先端部には小さな黒点が散在している(下の写真)。これらは恐らく何らかの感覚細胞であろう。若い頃に勉強した「Integrated Priciples of Zoology」を引っ張り出してみると、プラナリアの場合、頭部の側面に味覚、臭覚、触覚に関する感覚細胞があり、この部分を除去すると、プラナリアは餌を探すことが出来なくなる、と書いてある。コウガイビルの場合は、プラナリアとは異なり眼点がないので、光を感じる細胞もこれらの中に含まれているものと思われる。頭部の拡大写真.先端近くに細かい黒点が沢山ある何らかの感覚細胞であろう(2008/09/20) この連中は、カタツムリやナメクジとは異なり、体表にある繊毛運動により移動すると言う。ガラス板の上を這わせても、波模様は見られないとのこと。しかし、その割にはかなりの速度で移動する。写真が著しい露出不足であったので、撮り直そうかと思ったが、もう、何処に行ったのか分かるはずもなかった。最初の写真の部分拡大.尾部に青色の部分が認められる著しい露出不足を増感で誤魔化しているので荒れが酷い(2008/09/20) 写真を見て驚いたのは、尾部に鮮やかな青色の部分があったことである。昆虫の場合とは違って、これは構造色(光の反射と干渉によって生ずる色)ではなく、実際の色であろう。このコウガイビル、中々の隠れた洒落者なのかも知れない。 なお、コウガイビルの属名Bipaliumで画像検索すると、外国産の様々なコウガイビルの写真を見ることが出来る。中には、横縞の入ったビックリする程の「美麗種」もある。興味のある御仁は検索され度。但し、「不気味」な種類の方がずっと多いので、その御積もりで。
2008.09.20
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我が家の狭い庭には、時に4匹のカナヘビが現れるが、その内の2匹は我が家に定住しているらしい。先日「ニホンカナヘビ(その3)」として掲載した「我が家のカナヘビ君」(別名「赤古」)は2年以上前から居るが、今日紹介するのは昨年辺りに引っ越して来たらし個体で、かつて「ニホンカナヘビ(再登場)」に出演したカナヘビ君はこれではないかと思われる。この比較的新参者のカナヘビ君の名前は「赤新」。他の我が家に定住していない2個体は色が白っぽいのに対し、定住しているこの2匹は赤味が強いのである。 色の違いは雌雄の差かと思っていたが、調べてみると色では区別が付き難いとのこと。カナヘビの雄は尾の付け根がやや太く、雌ではやや細い・・・、飼育でもして観察眼を養わないと区別は難しそうである。我が家のカナヘビ君2号「赤新」.シッポを何回も切った跡がある(2008/06/24) この「赤新」君には、尾っぽが切れて再生した跡がある。再生部分の詳細を接写しようと思ったのだが、まだ撮っていない。しかし、上の写真を見ても、何回かに亘って切った形跡が認められるから、かなりドジなのか、或いは、よほど運が悪いらしい。 この赤新君、昔は直ぐ逃げたが、最近は余り逃げない。其処で前例に倣って頭部を等倍接写してみた。「ニホンカナヘビ(その3)」に出演した赤古と比較すると、体の腹側は白っぽいが、基本的な模様の入り方は同じである。「赤新」の顔.下側がかなり白い(2008/06/24) 眼の部分だけを拡大すると下の写真の如し。「ニホンカナヘビ(その3)」の赤古とは虹彩の模様がかなり異なる。やはり、虹彩の模様で個体識別が出来そうである。 興味深いのは、鱗の基本的な配列方式は同じでも、例えば写真の右下部分を見ると、何処が鱗の境目になるかは2匹の間でかなり異なる。しかし、色の配置は鱗の配列とは関係なく同じになっている。「赤新」の眼.虹彩の模様は「赤古」とは異なる鱗の配列と模様の配置の関係を「赤古」と比較すると面白い(2008/06/24) 鱗の境目や色の配置がどの様に決定されるのかは、かなり厄介な発生生物学上の問題である。昔から「発生の場」(「場所」ではなく「磁場・電場」の場(field))と言う概念があるが、今では分子生物学的にどう説明されているのであろうか。時間的余裕があれば、また、勉強してみたいものである。
2008.07.04
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薄ら寒い雨の日が暫く続いたが、今日は久しぶりに暑い程の日差しとなった。葉の裏に隠れていた虫達も、そぞろ葉の上に姿を現して、日光浴を楽しんでいるかの様である。 葉の上に出て来るのは虫だけではない。我が家のカナヘビ君も、お決まりの場所(クリスマスローズの葉の上)に這い上がり、日向ぼっこと洒落込んでいる。 このカナヘビ君、2年以上も前から我が家に棲み着いているらしい。現れる場所は何時も同じだし、大きさ(少し小さめ)と色(赤紫っぽい)、体付き(お腹がペシャとしている)も何時も同じである。更に、人を恐れないと言う特徴を持っている。 このカナヘビ君は既に2年前にこのWeblogに登場している。同じ個体をまた撮っても面白くないので、今年は撮らないつもりだったのだが、一寸妙なことを思い付いた。我が家のカナヘビ君.等倍接写(2008/06/06) 前述の様に、このカナヘビ君、人を恐れない。他の人は知らないが、少なくとも私が近寄っても逃げない。其処で、カナヘビ君の顔を等倍接写してみることにした。我が家のカナヘビ君.反対側(2008/06/06) 最初の2枚の写真は、横を少し詰めてあるが、上下は原画の儘である。等倍接写だから、画像の上下の実寸法は焦点面でCCDの縦幅と同じ15.8mmの筈である。 ・・・カナヘビ君、思ったよりも小さい。もっと大きく写るかと思った。カナヘビ君の眼.虹彩に不規則な模様がある(2008/06/06) 期待通りに大きく写らなかったので、眼の部分だけを拡大してみた。あまり「円らな瞳」でなくて些かガッカリだが、虹彩に不規則な模様があるのがよく分かる。特に眼の後の部分では縞模様になっている。 反対側の眼(1枚目の写真)を見てみると、やはり同じ様な模様がある。そこで、Internetでカナヘビの色々な画像を調べてみた。すると・・・、我が家のカナヘビ君だけではなく、どのニホンカナヘビにも虹彩の後の部分に不規則な縞模様があるではないか。どうやら、種(或いはそれより上位のレベル)としての特徴と考えてよいらしい。 人の虹彩の模様は指紋と同様個人によって異なり、最近は虹彩識別システムと言う装置も出来ている。これは恐らくニホンカナヘビでも同じであろう。だから、虹彩の写真を撮ることによって、我が家のカナヘビ達(多い時は4匹)の個体識別することが可能になるはずである。 しかし、これには大きな問題がある。「我が家のカナヘビ君」以外のカナヘビは、眼の詳細な写真が撮れるほどに近づけば、みな逃げてしまうのである。
2008.06.06
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昨年、7月中旬までは順調に生長していたシソが、盛夏になったら葉が次第に薄くペラペラになり、最後は恰もハトロン紙の様になってしまった。今年も同じである。 これは屹度ハダニのせいに違いない、と思って葉裏を見てみたが、全く生気のない葉で、生き物が居る気配はまるでない。マクロレンズで覗いてみても、粉のようなものがあるだけ。 しかし、今年は暑さが酷いせいか、段々シソの葉が縮んできた。すると、葉の下に繊細な網状のものが現れて来たではないか。ハダニの多くは糸を紡ぐ。これはやはりハダニに違いない。縮んだシソの葉とハダニの網.微小なハダニが写っている(矢印)(2007/08/25) 其処で、もう一度葉を取って来て、マクロレンズでよ~く見てみた。葉の表面には何もいないが、葉から少し離れたところに蜘蛛の巣の様なものが浮いていて、その上にハダニが沢山居るのが認められた。以前は、葉の上しか見なかったので、気が付かなかったらしい。網の上を歩くハダニの1種.上側のやや透き通っているのは若虫であろう.ピクセル等倍(2007/08/25) 体長0.3~0.4mm。以前紹介したカタバミハダニや其処に一緒にいた種不明のハダニよりも小さい。これくらい小さいと、マクロレンズで覗いていても、気を付けないと見落とす。 「日本原色植物ダニ図鑑」によると、シソには2種のホコリダニの他、アシノワハダニ、カンザワハダニ、ナミハダニが付くそうである。シソという植物は、昆虫にもハダニにも好かれる存在らしい。脚の細いハダニ.アシノワハダニに似ているが定かでない.ピクセル等倍(2007/08/25) 今回もまたピクセル等倍の見苦しい写真で恐縮である。2枚目と3枚目の写真はアシノワハダニ、次のはナミハダニかカンザワハダニ、最後の左はナミハダニ、右はアシノワハダニの若虫の様に見えるが、何分にもハダニは超初心者なので、「種類は不明」としておく。これらのハダニは本来体長0.4~0.6mmなので、写真のハダニ類は少し小さ過ぎる気もする。脚のやや太いハダニ.カンザワハダニかナミハダニの様に見えるがこれも定かでない.ピクセル等倍(2007/08/25) 我が家では数箇所にシソが生えている。その内、日当たりの良いところほどハダニの被害が酷く、朝日しか当たらない所に生えているシソだけがハダニに侵されていない。やはり、教科書通り、ハダニは乾燥した所が好きらしい。左はナミハダニ、右はアシノワハダニの若虫の様に見えるが定かでない.ピクセル等倍(2007/08/25) シソの葉裏にこれだけハダニが沢山居ても、老眼の眼には全く何も映らない。ハダニを食べても特に感染症に罹ったりする可能性はないと思うが、シソは生食するので、ハダニも一緒に生で食べているのかと思うと何となく気分が宜しくない。 庭のシソを食べるときには、ルーペかマクロレンズでよ~く覗いてからにした方が無難の様である。
2007.08.27
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以前カタバミコナジラミの写真を撮っていたとき、其処に2種類の微小なダニが居るのが認められた。今日はその内の1種、カタバミハダニを取り上げよう。 どうも、ハダニと言うのは、名前はよく知られているにも拘わらず、現実的には、農業や園芸関係者を除いては、余り関心の及ばない生き物である。第一に小さ過ぎる。殆どは体長0.5mm以下、肉眼では何だか判別できない大きさである。しかも普通は葉裏に居るから、尚更目に付くことはない。カタバミハダニ.第1脚が特に長い.体長0.5mm、大きいので雌であろう.白くて丸いのはカタバミコナジラミの幼虫.ピクセル等倍(2007/07/30) そんな訳で、ハダニ類については殆ど何も知らなかったのだが、今回初めて興味を持って調べてみた。 ハダニ類は悪名高いし、微小な生き物で移動性に欠けるから、屹度ゴマンと種類が居るのだろうと思っていた。しかし、意外にも、ハダニ科は世界でたったの1000種、日本には約70種しか居ないとのこと。随分小さなグループである。まァ、ダニ類自体が、余り成功した生き物ではない様ではあるが・・・。 70種しか居ないのだから同定は簡単か、と言うと、やはり小さ過ぎて顕微鏡がないと一寸難しい。しかし、このカタバミハダニは非常に脚が長いので容易に他種と区別が付く。しかも、カタバミ以外には基本的に付かないと言うから、まず、間違いない。上と同じ個体.ピクセル等倍(2007/07/30) 長い肢をタカアシガニの様?にして、思いの外早く移動する。マクロレンズで覗いていると、結構可愛い!! 因みに、ハダニ類は幼虫、第1若虫、第2若虫、成虫の順で生長する。幼虫には3対6本の脚しかないので識別は簡単だが、第1若虫以降は顕微鏡がないと、一寸判別できない。中央やや左下がカタバミハダニ.体長0.26~8mm、雄にしては小さ過ぎるので若虫かも知れない.上に見える大きなハダニは別種右下の赤い玉は卵.ピクセル等倍(2007/07/30) 上の写真には、もう1種、別のハダニが写っている。右下の赤い玉は、カタバミハダニの卵と思われる。ルビー色で中々美しい。 今回もピクセル等倍なので、御世辞にも綺麗な写真とは言い難い。しかし、一眼レフ+等倍マクロではこれが限界の様である。
2007.08.20
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我が家の庭には「簡易雨量計」が設置されている。と言っても、出来るだけ円筒形に近い只の屑入れを置いているだけである。深夜などに雨が降ったとき、朝になって地面が濡れていてもどれだけの雨量があったのかは分かり難い。鉢植えの植物に水をやる必要があるか否かを、この「雨量計」に溜まった水量で判断するわけである(周囲からの飛沫がかなりあるし、口の方が僅かに広いので、実際の雨量は水の深さの2/3程度)。 昨日、庭を歩いていたら、この「雨量計」にカナヘビ君が落ちて、外に出られなくなってバタバタやっていた。我が家のカナヘビ君(ストロボ使用)(2007/04/30) 昨年紹介したカナヘビ君と同一個体かは分からないが、この辺りではカナヘビも少なくなっているから、多分同じ個体であろう。昨年よりも少し大きくなっている。 「雨量計」を逆さにしてみたが、中で踏ん張っているらしく、落ちてこない。そこで、横にしてクリスマスローズの葉の上にそっと置き、そのままにして暫く様子を見ることにした。 しかし、警戒しているらしく奥の見えないところに引っ込んで容易に姿を現さない。少し経って、恐る恐る顔を出したかと思ったら、サッと草の中に入ってしまった。 逆光なので写真が撮りにくい。始めはストロボを焚いて撮ったが、自然光で見ると丁度カナヘビ君の鱗の凹凸が良く見えるので、天然光でも撮ってみた。 ストロボを使った方がニホンカナヘビの形態的特徴が正確に出ている。しかし、自然光の方が質感が良く描写されて雰囲気はこちらの方が宜しい。読者諸氏は何れが御好みであろうか?我が家のカナヘビ君(自然光)(2007/04/) 昨年紹介したと言えば、クビキリギスを一昨日見かけた。単なる偶然であろうが、昨年撮った場所と寸分違わず同じ場所から飛び出した。クビキリギスはこの辺りでは滅多に見ない「珍種」なので、これも昨年撮影したのと同一個体であろう。 バッタは余り好きではないのだが、昨年しばし御付き合いをしたのと同じ個体かと思うと、何かとても懐かしい思いがした。
2007.05.01
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今日は趣向を変えてヒメダカを紹介することにする。ヒメダカの他に魚は生息していないことが判明しているので、魚の紹介は今回が最初で最後になる筈である。 我が家には祖父が大切にしていた長径120cmもある小判型をした超特大の鉢がある。改築時には中身を開けて保管し、工事が終わってからまた庭に置くことになったが、庭に空の鉢をゴロンと置いておくのは何とも奇妙な風景なので、当然水を入れスイレンの花でも浮かべて風流を決め込むことと相成る。 水を入れれば当然の帰結としてボウフラが湧く。だから、魚でも飼わなければならない。昔は金魚を入れていたが、金魚は好みに合わないので、ヒメダカを入れることにした。今から、20年近く前のことである。ヒメダカ.水中に居るのを撮った割にはチャンと撮れている白い点々は水面に浮かんだゴミ(2007/03/30) しかし、スイレンとメダカだけだとメダカの稚魚が孵化しても隠れるところが無く、メダカの成魚は稚魚を食べてしまうので、世代交代が行われない。このままでは、メダカの寿命が来れば、ハイそれまーでェよー(先日他界した植木等氏の名文句)、と言うことになってしまう。 そこで、水藻を買って来て入れてみた。ところが、家のメダカどもは食欲が旺盛で、何回藻を入れても葉を全部食べて枯らしてしまう。 それでは沢山藻を入れれば良いだろう、と言うことになり、今までの量の10倍位入れてみた。ヒメダカの拡大.胸鰭の分岐軟条がよく見える(2007/03/30) 作戦は大成功(当たり前だ)だが、今度は藻が繁茂し過ぎて、スイレンは新葉を水面まで出すことが出来なくなり、やがて枯れてしまった。 しかし、メダカの方は孵化したばかりの目玉だけの様な稚魚から成魚までの各段階の魚が見られる様になり、これで世代交代は順調に行われることが保証された。まァ、目出度し目出度しというところ。 ところで、この大鉢の中、水を入れてから一度も掃除をしたことがない。これだけ藻が繁茂すると、掃除の前に藻の間に隠れたメダカを見付出して他に移すことは不可能だし、藻を取り出せば20年分に近い物凄い腐植が沸き上がってきて、メダカが死んでしまうかも知れない。実際には多分死なないと思うが、それでも腐植の中に隠れたメダカを一匹残らず稚魚まで含めて見付けるのは、これまた不可能であろう。メダカの学校.これだけ狭い範囲に7匹も集まるのは一寸珍しい.思わず、「メダカーの学校はー・・・」と言う歌詞が頭に浮かんだ(2007/03/30) と言うことで、今まで掃除をサボっているのだが、鉢が大きいせいもあり、今では一つの生態系として安定している様に見える。水量が減れば水道水を入れるし、また埃や落ち葉も溜まる一方なので、次第に水の塩濃度が高くなるはずだが、何処かで緩衝作用が働いているらしく、今のところ目立った変化は見られない。 この平衡状態何時まで続くか? こちとらが生きている間は、大丈夫な様な気がしている。
2007.04.07
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3回も「シオンの1種」の花が続いたので、少し雰囲気を換えて、カタツムリを出すことにした。 カタツムリもナメクジも同じ様な生き物に思えるが、ナメクジは沢山いるのに、何故かカタツムリはあまり見なくなった。腐植を食べる大カタツムリ(2006/09/28) このカタツムリ、相当に大型で、直径(殻径)は5cmに近い。最近こんなに大きいのは珍しい。カタツムリの種類など良く分からぬが、どうもミスジマイマイという種類らしい。 蹲踞(つくばい)の台の上で、頭を左右にゆっくり振りながら、腐った植物を食べたべ、少しずつ前進している。この植物、何だか分からないが、随分長いものだった。カタツムリの顔(2006/09/28) 1時間位経ってからもう一度見に行ったら、この腐った植物は跡形もなく無くなっていて、カタツムリも何処かへ行ってしまっていた。意外と素早い奴!! その後、この大カタツムリは一度も見ていない。 10日も経ったある日、何時ものベランダの席で煙草を吸っていたら、目の前の植木鉢に生えているスミレの葉に、何か丸い小さいものがくっ付いているのに気がついた。極小カタツムリ.直径約3mm(2006/10/11) マクロレンズで覗いてみると、何と、カタツムリであった。直径約3mm。カタツムリの赤ちゃんか? 海産の貝はトロコフォア幼生を経て貝になるが、淡水産や陸生の巻き貝は直達発生で、卵からいきなり貝になる。しかし、直径10mmに満たない種類も沢山あるから、仔貝なのか極小種なのか、こちとらには区別が付かない。 何れにせよ、こんなに小さいカタツムリをかつて見た記憶はない。大カタツムリの次に見たのが極小カタツムリとは、一寸面白い。 連日天気が良く、次の日もこのチビカタツムリは同じところに留まっていた。空気が乾燥して水気がまるでないからであろう。親切心を出して少し水をかけてやったら、ちょっとの水に流されて行方不明になってしまった。 しかし、まァ、この程度で死ぬことはないだろうから、特に探したりはせず、そのままにしておいた。
2006.10.25
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昨日クリの木の下を歩いていたら、その木の根元で何か長さ5cm位の黒っぽいものが動いた。良く見るとガマちゃんである。まだ子供で元気が良く、大きなガマとは違ってピョンピョン跳ねて逃げる。 急いでカメラを持って来たらもう隣との柵の所まで達していて、結局撮り逃がしてしまった。 しかし、その柵の所に何と体長10cm位の中ガマが居て、小ガマはこの中ガマの頭を踏み台にして隣へ跳ねていったのである。 昔は庭が広かったからガマが何匹か棲んでいた。それぞれ縄張りを持っていて、こっちに1匹、向こうに1匹、裏に1匹・・・と言う具合に棲み分けていた。 今は庭が何分にも「猫の額」なので、ガマが棲むには狭すぎると思っていたし、これまで近く(昔はお隣さんだった)のNさんのお宅にある池からやって来るチビガマは別として、ガマと言える程のガマは見たことがない。 縄張り紛争でもあって、我が家に逃げてきたのだろうか。或いは、昔から居たのか?アズマヒキガエル.ご機嫌が宜しくない(2006/10/04) 何れにせよ我が家の新しい住人なので、早速お披露目の写真を撮ることにした。 しかし、ガマ君、こっちを向いてくれない。普通ならば手で掴んで移動させるのだが、カメラを持っているので手が汚れると困る。仕方なく木の葉で突っついて写真の撮り易い所までご移動願ったが、突っついたせいかご機嫌が宜しくない。アズマヒキガエル.怒って怖い顔をしている(2006/10/04) 写真の様に随分と怖い顔をしている。と思うと直ぐに後ろを向いて逃げ出してしまう。 何回か同じことを繰り返しているうちに、段々ガマ君が可哀想になって来た。もう少し撮りたかったのだが、そのまま逃げるにまかせた。逃げるガマ君(2006/10/04) せっかく我が家に来たのに、ガマ君、変なオジサンにいじめられてもう2度と行かないと思っているかも知れない。
2006.10.05
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昆虫と植物ばかりだったので、今回は一寸趣の異なった生き物を紹介することにしよう。 我が家の愛嬌者、カナヘビ君である。爬虫類と言うと気持ち悪がる人が多いが、不思議でならない。ヌルヌルしていると思っている人も多い様だが、本当はザラザラしている。直接手に取って見ればよく分かる。 手に取っただけでなく、目の前に持って来てマジマジと見てみると、可愛らしい澄んだ目をしていることに気付くであろう。Wikipediaの「ニホンカナヘビ」の項にも、「カナヘビの語源については詳細不明であるが、可愛いらしい蛇の意で「愛蛇(かなへび)」と呼んだという説がある」と記されている。日向ぼっこするニホンカナヘビ(2006/09/16) 現在我が家に住んでいる爬虫類は、他にはゲコちゃん(ヤモリ=家守)しかいない。青い金属光沢を持つニホントカゲ(成体になると金属光沢はなくなる)も昔は沢山いたが、最近は全く見ない。 ヘビも極めて稀で、家を改装してからは我が家を通過するシマヘビを一度見ただけである。寂しくなったものである。カナヘビ君の横顔(2006/09/16) カナヘビは普通はかなり敏捷で、近づくと直ぐに草藪に逃げ込んでしまう。しかし、この時はマクロレンズで目の前まで近づいたが、全く反応しなかった。 数日気温の低い日が続いた後なので、日向ぼっこをしていたらしい。日向ぼっこしている間に居眠りしてしまったのかも知れない。爬虫類は普通死んでも目を閉じないから、昼寝するときも目は開いたままだろう。
2006.09.25
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