怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】

怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】

2005/06/02
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カテゴリ: 読書

『釣りキチ三平 平成版7』


矢口高雄/作(講談社刊)

釣りキチ三平も平成版になって7巻目である。

今回も前巻に続いて、カムチャッカの釣りだ。
谷地坊主が加わって、新種のイワナを釣り上げるべく旅を続けるのだが・・・・・。

いやぁ、相変わらずおもしろい。

釣りキチ三平は30年ほど前に始まった釣り漫画である。
その後、10年の連載を経て、一度完結をみている。
それが18年の沈黙を破り、平成の世に蘇ったのが現在の平成版だ。
最初に復活の話を聞いたときは少々困惑した。
なにしろ、18年である。
三平君も、いい「おじさん」になっている頃だ。
一体、どんな話になるんだろう?
不安である。
しかし、平成版の一巻を読んだ時、その不安が消し飛んだ。
三平君は三平君のままだった。
時代は平成になっているが、物語は「完結編」で一平じいちゃんが死んだ数年後からはじまっているようだ。
しかし、登場人物は皆変わってなく、ユリッペはユリッペだし、正治は正治だった。
魚紳さんなんか、まだ結婚していない。
「早く愛子姉ちゃんと結婚してやれよ」
突っ込みたくなるくらい変わっていない。
なんともはや、である。

でも、それが全然違和感ないのだ。

これだけ開発が進み、未踏の山野など国内にはあるはずもないだろうに、三平くんが登場すると幻の魚の棲む山中の池や謎の巨大魚の存在が不思議に思えないのだ。
また、あの子供の頃感じた「ドキドキワクワク」が蘇ってくるのだ。
本当に不思議である。
不自然なくらい未踏の渓谷、不自然なくらいに出現する奇魚・大魚。
それが、三平ワールドでは自然なのだ。
これは、作者の矢口高雄氏が描く美しい自然がそう思わせるのかもしれない。
矢口氏には、これからもずっと、三平ワールドを描き続けて欲しい。

小学生の頃、コミックに載っている仕掛けを真似して釣りにいったものだ。
全然釣れなかったけど、友達とワイワイやりながら川や池を巡ったのを思い出す。
最近の子供たちはどうだろう?
身近な池や川には『キケン』の看板が立ち、ザリガニ釣りやメダカすくいをすることもできない。
遊べる水場は整備された公園の池くらいしかないのではないだろいうか?
でも、きっとそれではだめなのだ。
自然の中に、本当に安全な場所なんて存在しない。
「キケン」と「キケンじゃないところ」を区別してはだめなのだ。
キケンと言って子供たちを遠ざけようとしても、子供は遊びたいのだ。
自分たちがそうだったではないか。
なにが危険か、経験が教えてくれた。
自然と接することで、何が「キケン」かを自分が判断するのだ。
他人が「キケン」「キケンじゃないところ」を区別しても駄目なのだ。

そんな「キケンな自然との接し方」をこの作品は教えてくれているような気がする。

これまで、数々の釣り漫画が描かれているが、いまだこれを超える作品は出てきていないと言って良いであろう。
今後、この作品を越える釣りマンガが出てくるだろうか?
いや、「釣りキチ三平」が続いている限り、それは無理なのだろうと思う。


釣りキチ三平( 著者: 矢口高雄 | 出版社: 講談社 )




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最終更新日  2005/06/07 12:19:27 AM
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