怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】

怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】

2005/06/04
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カテゴリ: 読書
『ザ・コクピット』
松本零士/作(小学館文庫刊)

『「戦場で泥水の中を這いずり回りながら、それでもなお、夜空の星を眺めようとする心」・・・・・それが、男のロマンだ!』(注1)
作者の松本零士氏が、当時アシスタントだった愛弟子、新谷かおる氏に語った言葉である。
この言葉を聞いた時、新谷氏は一生この人に勝てないと思ったらしい。

そんな作者が描く『ザ・コクピット』には、やはり男のロマンがたっぷり詰まっています。
戦争モノですが、別に戦争を「美化」しているわけでもないし「反戦思想」が見え隠れするわけでもない。
人間は戦場にいても『人間』だし、『男』は『ロマン』を追い続ける。
そんな様が淡々と描かれています。

その中でも、珠玉のお話がこの『スタンレーの魔女』です。

ある航空探検家の探検記(注2)を読む主人公。
その探検記の中で、探検家は愛機とともにスタンレー山脈の山越えに挑み、そして敗れます。
敗北した探検家の目には、山がまるで笑っているように見えました。無力な人間をあざ笑う魔女のように・・・・。
この探検記を何度となく読み返していた主人公は、いつかはスタンレーの山越えに挑みたいと思っていました。
そしてそれは、ポートモレスビーへの爆撃と言う任務によって叶えられます。
高くそびえるスタンレーを越え、彼は同乗する仲間に言います。
「スタンレーを征服したぞ!」
だが、爆撃を終えた時、彼の一式陸攻は傷だらけ。
片肺で帰りの山越えに挑むことになります。
高く、高くそびえるスタンレーの魔女。
彼は仲間と共に銃器を捨て、機体を軽くします。
何が何でも、血に植えたスタンレーの魔女を征服するのだ、と・・・・・・。
そして、、
山肌に腹をこすりつけながらも山越えに成功する一式陸攻。
「みろ、おれはスタンレーの魔女に勝ったぞ!!みんな・・・・・」
振り返る主人公。
だが、彼の目に映ったのは・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
魔女が笑っていました。

この作品の登場人物は敵も味方も、みな『男のロマン』を知っています。
ゆえに、
それは時としてひどく哀しい。

そんな物語がたくさん詰まった『ザ・コクピット』
『男のロマン』が知りたい人は、是非読んでみてください。



(注1)
昔、雑誌で読んだだけのため一言一句正確なわけではありませんが、このような意味の言葉だったと思います。
(注2)
この探険記に登場する探検家の名前は「ファントム・F・ハーロック」、愛機の名は「わが青春のアルカディア号」と言います。
キャプテン・ハーロックの物語は、ここから始まるのです。










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最終更新日  2005/06/05 12:54:48 AM
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