こんなものですが

こんなものですが

官僚という生き方(3冊)


『官僚たちの志と死』(佐高 信 平成11年 講談社文庫) 
『異色官僚』(佐橋 滋 平成6年 現代教養文庫)

以上の3冊から、官僚について、具体の名を挙げながらご紹介する。

 基本的に、僕は、「あなたの尊敬する人は?」という質問の際、躊躇してしまう。というか、困ってしまう。両親には感謝しているし、かつての職場で1人、温厚、実直で、勉強を怠らず、休みの日には託老所というお年寄りを預かるボランティア団体に参加している上司がいて、「あんな人になりたいな」と思う人もいる。
 しかし、先に挙げた本を読んで、尊敬できる一人の官僚を知った。

 「山内豊徳」という人である。

 なぜ、さっきの質問で躊躇し、困ってしまうかというと、「徳川家康」「勝海舟」「坂本龍馬」といった世に知られた人物の名を挙げれば、相手にも分かってもらえるし、「両親」「友人」という回答でも自分としてはそのとおりなのである。

 でも、僕は「山内豊徳」と答えたいと思っている。かつて人間らしい感性を持った官僚がいて、自らの良心と官僚としての立場に苦しみ抜いたあげく、命を絶つことでしか自らの解決を求められなかったことに、やりきれなさ、嘆息せざるを得ない思いを、これらの本を読んでから、拭えず、記憶に残り続けているからである。



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