堰の番付表があれば、利根大堰は間違いなく横綱だろう。心・技・体にあたる風格・役割・規模を併せ持つ 東の横綱 だ。埼玉県行田市と群馬県千代田町の利根川に建設された大堰。河口より154km地点。中流域の河川を横断する取水堰では、国内最大級だろう。全長700mの大関の初場所は1968年。
利根大堰の建設は、 東京オリンピック前 に決定された。それまで水源としていた多摩川だけでは首都圏の水が不足すると判断された。利根川上流にダムをつくり、新たに開発した都市用水を武蔵水路、および荒川を経由して東京・埼玉に導水することを国家百年の計とした。
鮭の遡上が続いている。利根大堰には魚道が3本ある。昨年の遡上数を大幅に上回り、11月24日現在 11,500匹 だと。ピーク日は11月12日の906匹。近隣の小学生達の見学会があり、鮭を見て大はしゃぎ。小生も1号魚道の観察窓を5分間程度観る。大きな鮭一匹を確認した。サケの旅はまだ続く。
中流での堰建設は、流速の早い河川を切り回すことになる。より困難な工事を強いられる。山で大雨が降れば短時間で増水する。流木や転石も押し寄せるので危険がいっぱいである。東京で飲む水の一部が70km離れた場所で取水されているのだ。利根大堰も年齢を重ね 43 歳。いずれ引退の秋が来る。
写真-1 利根大堰を行田市側から観る。堰柱11本と橋脚3本を有し、全長700m。
写真-2 大堰中央より利根川下流を望む。護床工がつくり出す水しぶきの彼方に筑波山がある。
写真-3 右岸上流の取水口と須加樋管施設。鉄塔の右側に富士山が見えるはずだか・・。
写真-4 1号魚道の観察窓。この日は、3つの魚道で320匹の鮭が遡上したという。125km下流の河口堰を経て辿りついたサケだ。
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