「 四国の仙人 」さんから写真等が届いたので紹介します。 四国三郎の異名を持つ吉野川の最上流に、老兵のような佇まいの堰堤がある。早明浦(さめうら)ダムから更に30km上流に造られた高藪(たかやぶ)取水堰である。昭和5年(1930年)に完成している。
この頃、香川県の豊稔池(ほうねんいけ)や台湾の烏山頭ダムなども同じ年に完成し、御年82歳。ともに現役で働いている。 高藪取水堰 は周辺の岩盤に融け込んでいるが、玉石や割石を使用した練積コンクリート構造物。越流天端は緩やかな曲線のデザイン。高知県吾川郡の山奥でも設計者の思いを感じる。
この高藪堰で取水された水と落差158mを使い 高藪水力発電所 では、最大出力14300KWの電気をつくっている。現在は住友共同電力(株)が管理運営。この会社は四国で11箇所の水力発電所を有し、住友グループ企業に主に配電している。
水力発電所の寿命は、メンテナンス如何で原子力発電所の「原則40年」よりはるかに長い。雨が降る限り80年、100年以上電気をつくるだろう。国内における 水力発電の比率は約8% だと言う。この数字は決して小さなものではない。将来、産業の空洞化や人口の減少で分母が小さくなるかも知れないのだ・・。
写真-1 82歳、まだ役立っている。魚道もある高藪取水堰を下流から望む。
写真-2 緩やかな曲線で越流頂を仕上げている。当時、アーチ形がブームだったのだろうか。
写真-3 堰下流面には玉石や割石が露出している。丁寧に施工した当時の様子が偲ばれる。
写真-4 四国の土木遺産とも言える豊稔池。高藪堰と同時期に完成していた石積み五連のアーチダム。
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