心の旅 II


昨日は食事が出たのか?

後ろの闇の中に誰かがいる
誰がいるんだ?
私は一人ではないのか?


光が洩れてきた
朝なのか?

壁の向こうに沢山の人が集まっている
誰かが歌っている
誰が歌っているんだ?
何の曲?


どれだけ時間が過ぎたのかわからない
昼なのか夜なのか・・・
どうでもよくなった
世界で私だけが存在しているのか?
私の他に誰もいないのか?
でも背中の方に誰かがいる
なぜだ?


身体も動いていないのに横揺れが激しい
気を付けないと倒れそうだ
身体のバランスが取りにくい

食事が来た
メニューはうどんが1/4玉とそば粉を水で溶かし固めた団子2つである
この頃は箸を使わない
手が震えて持てないからだ
うどんを食べようとすると
うどんが動いているのだ
まるで丘に出て来たミミズのように
結局うどんは残した


団子からお湯に溶かしただけのものに変わったが、やはりうどんは残した
その頃だろうか
ぼくの後ろの方で男がふたりぐらいで話している
「もうすぐだな」「あぁ、もうすぐで死ぬな」
ヒソヒソと話している割にはっきり聞こえる
笑っている。。。
久しぶりの他人の声を聞いた

まだ死んでいない
でも声がでない



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